決断力がない。

こう悩む人は、たくさんいるのではないでしょうか。思い切った決断が必要なのに、人の意見を気にしたり、責任を過剰に考えたりして、なかなか一歩を踏み出せない……。

そんな決断力に悩みを抱えるあなたに、朗報です。

決断力がないのは、あなたの意志が弱いせいではありません。「決める」ための脳科学的なコツを知らないだけだったのです。

今日は、そんな「決められない」人が陥りがちな3つの罠を脳科学の観点から紹介します。これらの罠を知り、はまらないようにすれば、決められない自分から卒業できます。どうすればいいか、一緒に考えてみましょう。

第一の罠:ソロモンのパラドックス

ソロモンのパラドックスとは、カナダ・ウォータールー大のイゴール・グロスマン氏が研究の中で名付けた用語です。

ソロモンは深い知恵をもつ王様でした。しかし、その知恵にも関わらず、自分のことになると失敗が多かったんだとか。そこから「他人へのアドバイスは的確なのに、自分のことになるとつい間違った判断をしてしまう」さまを表す言葉として、「ソロモンのパラドックス」は生まれました。

グロスマン氏は、ある時こんな実験を行いました。

まず被験者に以下の2パターンのシナリオを想像してもらいました。

1. 自分の身に対人トラブルが起きたシーン
2. 友人の身に対人トラブルが起きたシーン

その後、全員にアンケートを取り、

・全体の状況に対する知識の限界を把握できているか?
・妥協できるポイントは認識できているか?
・多様な落としどころを想像できるか?

といった能力に違いが出るかを見てみました。 すると、友人の身に起きたトラブルを想像したグループのほうが、あきらかに冷静で総合的な判断をする確率が高くなっていたとか。

(引用元:HAPPY W|悩みを解決したいなら、そんな自分に「他人のつもりで」アドバイス

我々は、他人事なら冷静に判断できます。全体の状況把握、妥協点、落とし所なども、はっきりわかるのです。しかし、自分の決断になるとそううまくはいかない。実験結果はこの事実を示したものだと言えるでしょう。

決断力のある人になるためには、自分のことは冷静に判断できない可能性があることを認識したうえで、自分の決断すべき内容を俯瞰し、できるだけ客観的に考えることが求められます。研究によれば、自分の名前を頭の中で呼びかけるようにして考えると、第三者的な視点で考えられるようになるとのことです。お試しあれ。

daito-ec
90日でTOEIC835点、英語会議もストレスなしに。パーソナルトレーナー × 科学的トレーニングの『英語の90日』
人気記事

第二の罠:リスク思考

何かを決断する時、私たちのなかで必ず頭をもたげるのが「リスク」です。

今この決断をすることで、こんなことが起こるんじゃないか。
Aという選択肢に決めてしまったら、よくない結果を招くんじゃないか。

決めなければならない、とわかっていても、こうしたリスク思考は私たちを邪魔します。

ビジネスの現場で年間5,000人を教え、敏腕コンサルタントとして有名な横山信弘氏は、そんなリスク思考を「意味がない」と一刀両断します。彼曰く「現状維持のほうが得策だとする論拠がない限り、変化を遠ざける理由はない」んだとか。

つまり「決断によって発生するリスクはあるかもしれないが、現状維持の方がより大きなリスクである」ということですね。

そもそも、決断が必要になった理由を考えてみてください。現状に問題があるからこそ、策を考え、選択肢を複数用意し、決断を迫られていたはずです。それなのに、決断を避けて現状の問題を放置しておくのは、筋が通っていません。

さらに横山氏は、人々が決断を渋るのは、先に「落とし所」を考えるからだ、と説きます。

本来、仕事を実行する際には、1.ゴールを設定し、道筋を見積もってから達成方法を考える。2.実行中に発生するリスクや問題点をひとつずつ潰していく。という二段階を経るはずです。それなのに、人は決断を迫られると、1.のフェーズをすっ飛ばして、2.における実行中のリスクを考えてしまいます。行動しなければ、明確なリスクなんて明らかになるはずもないのに、行動前から知ろうとするのです。

決断力が欲しいなら、達成方法を考えてから、その過程で発生するリスクを考えましょう。先にリスクの方を考えてしまっては、決断することなどできないのです。

kimerarenai-3wana02

第三の罠:「私だけじゃ決められない」病

決断を迫られた人の多くは、「私だけじゃ決められないから、◯◯さんにも聞いてみて」「このまま決めてもいいのかな……××部長に聞いてみよう」と口にします。

他人の意見が参考になることもありますが、それはある程度自身での考察を深め、代替案を考えた場合に当てはまること。何も考えずに、あるいは考えを十分に深めないで他人の意見を求めるのは、議論を全くしないまま多数決に持ち込むようなものです。

「自分は◯◯と考えました。代替案としては××や△△がありますが、**という観点から◯◯が優れていると思います。部長はどうお考えですか?」これが相談・質問のあるべき姿と言えるでしょう。

また、複数人で意思決定を下すと、しばしば、1人で決断を下す際には絶対に犯さないようなミスをしてしまうことがあります。それは「集団思考 (group think) 」と呼ばれるもの。

この考え方は絶対におかしい。自分の意見と全然違う。そういう時、堂々と発言できればいいものの、異を唱える勇気が湧いてこなかったり、周囲の考えが正しくて自分の考えが間違っているのではと不安になったりしてしまう。集団思考ではこのような現象が起きます。

集団思考はこれまで、歴史的な意思決定の場面で大きな影響力を及ぼしてきたんだとか。スペースシャトルチャレンジャー号の爆発事故の原因の一つとしてあげられたり、米国ケネディ政権時に実行された「キューバ侵攻作戦」失敗の直接の原因だとされたりしています。

(引用元:Study Hacker|あなたはたとえ少数派でも自分の意志を貫ける? 同調圧力に負けない強い自分の作り方

誰かと一緒に考える。これは心強いようでいて、実は危うさも秘めていること。たとえ後から他人にアドバイスを求めるとしても、はじめに必ず自分の決断を下すようにしてください。それが、決断力を身につけるためにはとても重要なことなのです。

(参考)
ダイヤモンド社書籍オンライン|絶対達成する決断力のつけ方 【第2回】意思決定できない組織は、なぜ、3つの「直感の罠」にハマってしまうのか?
ダイヤモンド社書籍オンライン|絶対達成する決断力のつけ方 【第1回】あなたが決断できない本当の理由「ワースト10」
HAPPY W|悩みを解決したいなら、そんな自分に「他人のつもりで」アドバイス 
Association for Psychological Science|Distance From a Conflict May Promote Wiser Reasoning
Study Hacker|あなたはたとえ少数派でも自分の意志を貫ける? 同調圧力に負けない強い自分の作り方