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(引用元:吉本佳生 (2015),『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』,光文社新書.)

なんだか魅力的な金融広告ですね。でも実はこれ、申し込むと10%の利息がつくどころか損をしてしまう金融商品。金融リテラシーがないとハマりやすいワナです。

今回は、吉本佳生さんの『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』を参考に、こういった金融広告がいかに危険であるかを説明します。そして、そんな広告にだまさないよう、正しい金融リテラシーを身につけることができる基本書3冊をご紹介します。

ぼったくり金融商品を見分ける力

冒頭で紹介した「年10%」の金融商品に申し込むと、なぜ損をしてしまうのでしょうか? 気づくべきポイントがふたつあります。

1. 年率表示のトリック

ひとつは「年」と書かれた下に小さく記された「3ヵ月もの」の文字です。これは、3ヵ月後に満期がくる定期預金であるということ、つまりキャンペーンによる高金利が適用されるのは3ヵ月間だけであることを示しています。

では、3ヵ月後の満期になったとき、この定期預金につく利息はどれだけでしょうか?

年10%は「1年間預けた場合に10%の金利がつく」という意味。つまり、6ヵ月なら半分の5%の金利、1年の1/4である3ヵ月なら2.5%の金利しかつかないということ。3ヵ月で満期がくるにもかかわらず、年利になおして利息が大きいように見せるこの手法は“年率表示のトリック”といわれています。そしてさらに利息の20%は税金でもっていかれてしまうので、元本につく実際の金利は2.5×0.8=2%ということになります。

2. バカ高い為替手数料

気づくべきポイントふたつめは、「円現金あるいは円預金口座から外貨定期預金をお始めいただいた時に、初回満期日まで適用されます」と「外貨預金への入出金の際には、外貨現金・トラベラーズチェックはお取り扱いしておりません」と「円から外貨に交換する際には、所定の手数料がかかります」の部分です。

これらの部分をわかりやすく言い換えると、「このキャンペーン金利を適用してほしい人は、円の資金(現金か預金)をもってきて、うちの銀行で、その円をオーストラリアドルに両替したうえで預けてください。また、満期日以降に外貨預金を引き出す時は、必ずうちの銀行でオーストラリアドルから円に両替してもらいます(外貨のまま引き出して使うなんて方法は許しません)。それで、預け入れの時、引き出しの時の両方で、両替手数料をいただきますから、文句を言わずに支払ってくださいね」といった感じです。

2005年2月調べによると、1A$(オーストラリアドル)を換金するのに2~2.5円の手数料がかかり、レートは80円/1A$ほどでした。つまり、外貨預金をする時に少なくとも2円、引き出す時に2円の手数料がかかるので、往復の為替手数料は4円/A$になります。80円に対して4円払うわけですから、手数料は運用額の5%になってしまうのです。

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投資をすると元本に対して3%の損をする

冒頭でご紹介した危険な金融広告の、気づくべきポイントをふたつご説明しました。お気づきだと思いますが、それらを見落とすと、お金が増えるどころか、損をしてしまうことになります。

つまり、この金融商品は3ヵ月で2.5%の利息がつき、そのうち2割が税金として引かれるので、最終的にもらえるのは元本の2%。しかし、実際には5%の為替手数料があるので、トータルでは3%ほど損をすることになります。100万円預けると、110万円になりかえってくるように見えるこの金融商品は、なんと預けると3ヵ月後には97万円に減ってしまうということです。

金融リテラシーを身につける基本書3冊

吉本佳生さんの著書にしたがい、年率表示のトリックで魅力的な商品だと錯覚させ、結果的にはたっぷりと手数料をとる危険な金融広告について説明いたしました。このようなワナにはまらぬよう、正しい投資法を身につけることが大切です。こちらでは、金融リテラシーを身につけるための基本書3冊をご紹介します。

1.ロバートキヨサキ著『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』
2.勝間和代著『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 』
3.『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』

1番目の本は、いかに金融リテラシーが重要かを教えてくれます。仕事でお金を稼ぐだけでなく、資産運用という形で“お金自身にお金を稼いでもらう”ことを「お金に働いてもらう」と言いますが、その正しい方法を知らないのは、本来なら得られるべき収入を放棄しているようなものです。

2番目の本は、株式投資、外貨預金、デリバティブなど、金融用語を平易な言葉で説明してくれます。さらに、「金融リテラシーを身につけるための10のステップ」と称して、実際に読者が独り立ちするまでの筋道を教えてくれるので、投資を始めたい入門者にはピッタリです。

3番目の本は、保険や年金の構造をちゃんと理解できているか、不動産価格が上がり続けるというのは本当かといった様々な事例や研究内容を用いながら、わかりやすく日本が直面している問題について説いています。

これら金融リテラシーの基本書3冊から始め、そこから必要だと思った分野の専門書へと進んでいきましょう。なお、株式投資の仕組みについて知りたくなったら橘玲氏の『臆病者のための株入門』もおすすめです。

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例えば1,000万円の資産を運用する場合、利率4%なら10年後には1,500万円ですが、7%だとなんと2,000万円。その差は500万円にのぼります。これは、知らぬ間にあらゆるところで生じていること。しかし、いったん金融リテラシーを身につけてしまえば、少しでも高い利率で運用することが可能なのです。これを機に、ぜひ正しいお金の知識を身につけてくださいね。

(参考)
吉本佳生著(2005),『金融広告を読め どれが当たりで、どれがハズレか』 ,光文社新書.
ロバートキヨサキ著,白根美保子訳(2013),『 改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学』,筑摩書房.
勝間和代著(2007),『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 』,光文社新書.
橘玲,海外投資を楽しむ会著(2003),『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』,講談社.
橘玲著(2006),『臆病者のための株入門』,文藝春秋.
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