記憶力アップのカギは “恋愛”? 記憶を司る「海馬」を活性化させる2つの方法

「最近記憶力が低下してきている」「もっと記憶力が良くなりたい」そんな思いを抱えている人はいますか? 実は筆者もここ最近、やや記憶力が低下していることに頭を悩ませています。そこで今回は、記憶を司る「海馬」に注目しながら、記憶力を向上させる方法を探ります。

記憶の領域は増える? 増えない?

記憶力は側頭葉(脳の両サイド)の内側にある「海馬」という領域に関係しています。海馬は外から入ってきた情報を数十秒間ほどの短期記憶に形成し、それを長期記憶に固定する働きをしているのです。つまり、海馬の細胞数が多いほど記憶力が良いということ。

しかし、脳のニューロン(神経細胞)数は年齢を重ねるごとに減少し、増えることはないというのが定説でした。つまり、人間の記憶力は生まれながらにして限度が決まっていて、向上させることはできないという論理だったのです。

ところが近年の研究で、海馬という領域だけは後天的にニューロン数を増やすことが可能だとわかりました。つまり、努力次第で、記憶力アップを実現できるということ。記憶力を高めるには、海馬の細胞数を増やし、肥大させることが必要なのです。

睡眠不足とストレスが海馬を縮める

認知症は、記憶を担う海馬から萎縮が始まり、だんだんと脳全体に広がって脳が働かなくなる病気です。認知症の種類により原因はさまざまですが、よく知られているのは加齢です。

その加齢を除き、脳を縮小させる主な原因は「睡眠不足とストレス」。アメリカの研究チームによる実験では、睡眠を6時間以内に制限した被験者が、夜間に2時間までの認知能力障害を生じさせたと伝えています。また、シンガポールの研究チームも、睡眠時間が1時間短いと脳が萎縮し、認知機能が低下すると明らかにしました。東北大学東北メディカル・メガバンク機構の瀧靖之教授らの研究でも、睡眠時間が1日5~6時間ぐらいの子供よりも、9~10時間ぐらいの子供のほうが、海馬は1割程度大きかったとのこと。

また、厚生労働省健康局の資料によれば、睡眠不足は脳の代謝活性を低下させ、ストレスホルモンのコルチゾール分泌量を増加させます。そのコルチゾールの大量分泌は海馬の神経細胞を破壊するため、海馬を萎縮させてしまうのです。それに、ストレスによる影響はかなり厄介です。なぜならば、自分がストレスを認識していなくても、身体がストレスを感じている場合、知らないうちに脳細胞にまでダメージがいってしまうから。

そういったことから、記憶力をアップしたいならば、睡眠不足とストレスといった二重の弊害に気をつけなければいけません。

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海馬肥大に最適なのは、ジョギング

海馬を肥大させ記憶力をアップさせるには、しっかりと睡眠をとり、ストレスを軽減すると良いことがわかりました。

そのほかにも、気軽にできる記憶力アップのための習慣があります。それは、海馬を刺激してくれる「軽い運動」。具体的には、心拍数が1分間に90〜100程度になるものが最適だそうです。

だいたい心拍数が95前後になる運動は、はやく歩く程度の軽いジョギング。筑波大学の研究では、軽いジョギングを1日10分間、2週間続けることで脳の神経細胞が増え、認知機能が上昇するということが明らかになりました。運動によって海馬が増えるのは、脳の神経細胞のエネルギー源ともいえる栄養素が体内につくられるから。それで神経回路が増え、機能が高まり、海馬の体積も増えるというわけです。

また、ジョギングの強度を高めると、集中力や判断力にも効果があるとされています。日頃からジョギングすることで、脳を活性化させることができるのです。

恋愛も海馬の肥大に役立つ?

ちなみに皆さんは恋をしていますか? 海馬を活性化する物質のひとつにβ-エンドルフィンという脳内ホルモンがあります。このβ-エンドルフィンを多く分泌させる最も効率的な方法は、好きな人と接することです。好きな人と触れ合うことで、私たちは幸福感を味わいますが、その際、脳内ではβ-エンドルフィンが分泌されています。好きな人、気になる人がいるならば、ぜひとも一緒にいる時間を増やすようにしましょう。幸福感を得ながら海馬を鍛えられます!

*** 人間の記憶力は、海馬の活動に大きく関係しています。その活動を低下させる睡眠不足やストレスを避け、ぜひ軽いジョギングをしたり、好きな人とたくさん接して海馬を活性化し、細胞を増やしてください。

<参考> 厚生労働省|健康づくりのための睡眠指針 2014 PRESIDENT Online|「平日の睡眠時間と海馬の大きさ」5~6時間しか寝ない子は、やや小ぶり Van Dongen (2003), “The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation,” Sleep, Vol. 26, No. 2, pp.117-126 nounow (ノウナウ) | 睡眠の質の低さと認知症の関係 筑波大学|軽い運動でも認知機能は高まる! 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団ホームページ|認知症予防はカラダづくりから! Wikipedia|海馬 (脳) 瀧靖之著(2016),『脳が目覚めるたった1つの習慣』,かんき出版 . e-ヘルスネット 情報提供 | β-エンドルフィン

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