「えー。100歳? 私が? うそでしょ?」そう思っている人はいませんか?

国連の人口推計によると、いまこの記事を読んでいる日本の50歳以下の人たちは、ほとんどが100年以上生きる時代。従来考えられてきた、教育、仕事、その後定年(引退・隠居)という3つのライフステージの時代は終わり、新しい人生の組み立て方が必要となるそうです。

100歳まで見据えたキャリアプランを……と言われても、何をどう考えればいいのか、わからない人は多いでしょう。今を含むこれからの人生の生き方、キャリアの築き方についてヒントをくれるのが、こちらの1冊です。

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LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

リンダ・グラットン著,アンドリュー・スコット著,池村千秋訳

東洋経済新報社・2016年

著者は、ロンドン・ビジネススクールのリンダ・グラットン教授。前著『ワーク・シフト』で、今後の働き方は、専門的なスキルを複数持つこと、人的ネットワークを通じて給料ではなく経験を重視するようになることへとシフトしていくだろうと予測し、私たちに仕事に対する意識の改革を求めていました。本書では、100年ライフ時代を生きるために必要な、これまでとは全く違う人生戦略について、生き・学び・働くための指針を説いています。

「自分がどのような人間か、自分の人生をどのように組み立てたいか、自分のアイデンティティと価値観を人生にどのように反映させるかを一人ひとり考えなくてはならない」

(引用元:リンダ・グラットン著,アンドリュー・スコット著,池村千秋訳(2016),『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』,東洋経済新報社.)

さあ、100歳時代を有意義に生きるための戦略的人生設計書を考えましょう。

人生が長くなれば、アイデンティティも変わる

定年後のことを真剣に考えてみてください。100歳まで生きるとすると、定年後の時間は30~40年。その間、お金(有形資産)があることも大事ですが、より重要なものがあります。それは、見えない資産(無形資産)。つまり、ソフトスキル(知識、仲間、評判、健康、生活、友人関係、アイデンティティ、人的ネットワーク、オープンな姿勢など)です。

また、定年後の生活では、それまでの男女の役割分担(仕事と家庭)も変わってきます。残りの人生を、数十年単位で、それまでより密接にかかわりながら共に歩んでいくのですから、お互いに高め合える質の高いパートナー関係が必要。徹底した計画のもと、役割を交互に調整しながら、信頼関係を築いていくことが不可欠です。

さらには、長年続けていた仕事を離れて新たなコミュニティに踏み出せば、他の世代を含む新しい仲間と一緒に生き、交流する機会も増えるでしょう。

このようにして、人生が長くなれば、各人のアイデンティティ自身もどんどん変わっていくのです。

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貯蓄に取り組む

ではここからは、100歳まで生きることを前提に、若いうちから心がけておくべきことについて見ていきましょう。

単純な理屈なのですが、平均寿命が延びているので、定年を基準にして考えると、そのあと必要な生活費がものすごく増えます。それはつまり、働いているうちに、定年後のための生活資金を蓄えておかなければならないということ。例えば本書では、2016年現在45歳のジミーさんは、もし70代前半まで働いたとしても、所得の10%を貯蓄に回していかないと老後資金には足りない、という試算がなされているのです。

平均寿命が延びると、新卒後約40年の労働で老後の20年はカバーできても、その倍の40年の長い引退生活をカバーするのは難しくなります。また、テレビの前やゴルフで過ごすだけでは、40年はあまりに長く、老後は余生(おまけ)という考えはもう当てはまりません。定年後の長い生活を有意義に過ごすには、今のうちからコツコツとお金を貯めておかなければならないのです。

対策は、必要な金額を計算し、真剣に貯蓄に取り組むこと。働いた分のお金は、即時消費するためのものではなく、人生を通して使うお金なのだと心得ましょう。

生涯学ぶ

自分が、労働の即戦力として必要とされ続けるためには、生涯を通して学び続ける意志を持たなくてはなりません。あなたが今している仕事は、もしかしたら、早いうちにロボットにとってかわられるかもしれないのですから。

労働市場に存在する職種は、これから数十年で大きく入れ替わります。エクスプローラー(探求者)、インディペンデント・プロデューサー(映画監督のような独立プロデューサー)、ポートフォリオ・ワーカー(いろいろな仕事を同時にする人)という新しい勤労形態が出現するのだそうです。

こうした観点で考えると、大学卒業後、皆が就職するからといってすぐに就職を考えるのは危険です。自分の強みや嗜好をしっかり見きわめ、選択肢を広げましょう。

そうでないと、もし自分が満足できる仕事の需要がなくなったとき(テクノロジーによって代替されるようになってしまったとき)、好きでもない仕事に就かなくてはいけない可能性が出てきます。自分でなければ務まらない仕事、自分だけの価値が長く発揮できる仕事とは何なのかを、真剣に考えなければならないのです。

長く働く

人生が長くなるのですから、早々に定年を迎えるのではなく、長く働くことも視野に入れる必要があります。そのためには、仕事に対する考え方、仕事の意義の見出し方についても、見直さなければなりません。

食べるための仕事から、意味を感じる仕事へ。忙しいだけの仕事から、ともに生きるための仕事へ。仕事とレクリエーション(娯楽・余暇)を分けるのではなく、投資とリ・クリエーション(自己の再創造)として考えて時間を使うのが理想です。

「仕事をする期間は短い。とりあえず稼ぐために仕事していればいい」と考えるなら多少つまらない仕事でもいいかもしれませんが、50年も働きつづけるなら、自分の強みや個性が生かせる仕事に就きたいものです。

時代の変化にアンテナを張り、常に誰かの「困った」を探す努力をして、自分がどう生きるかを考えつづけましょう。

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「100歳のあなたが、今のあなたの決断をどう見るのか?」を考えて欲しい、と著者は問うています。

長寿化時代には人生の設計と時間の使い方を見直してはじめて、長寿を厄災ではなく、恩恵にできます。

人間の認識能力は年齢と共に低下するので、変化を予測して早い段階で行動することが重要です。若いうちから計画的に準備しておかないと、長寿化は災厄の種にもなりかねません。考え方を転換して、自分に向き合って、「年齢」と「人生のステージ」が変わりつつある時代に対応しよう、ということですね。

時代の変化、環境の変化、自分自身の変化は着実にやって来ますが、その変化を的確に予測・理解できれば、対処する時間は十分にあるということも事実です。

さああなたも100歳時代の計画を作りましょう!

(参考)
リンダ・グラットン著,アンドリュー・スコット著,池村千秋訳(2016),『LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 』,東洋経済新報社.
リンダ・グラットン著,池村千秋訳(2012),『ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』,プレジデント社.
ダニエル・ピンク著,大前研一訳(2010),『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』,講談社.