誤解されがちなユーモアの本質。相手を楽しませる「聞くユーモア」を身につけよ。

「職場での会話が弾まない……」 「チーム内のコミュニケーションをもっと円滑にしたい……」

コミュニケーションに関わるそんな悩みを抱いたとき、「自分にもっとユーモアのセンスがあればいいのに」「気の利いたユーモアを言うにはどうすればいいんだろう」などと考えたことはありませんか。日々の生活に笑顔をくれるユーモア。手に入れられたら、身の回りの人間関係がいっそう明るくなりそうですよね。

しかし、そんなユーモアも、正しく理解していなければ、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。今回は、ユーモアの本質を分析したうえで、ユーモアを “正しく” 発揮する方法を探ります

ユーモアとは

そもそも、ユーモアって何なのでしょう。言葉自体はよく聞きますが、その詳しい意味はよくわからないなんて人も意外と多いかもしれませんね。

それもそのはず、実はユーモアという言葉は定義があやふやであり、言葉のとらえる範囲がしっかり定まっていません。

ユーモアとは、人を和ませるような《おかしみ》のこと

(引用元:wikipedia| ユーモア

このようにユーモアとは、広義ではおもしろいもの全てを指す言葉。私たちが「ユーモア」という言葉から想像しがちな “格調高い冗談” や “聞いている人が感心するような会話” といったものは、ユーモアのほんの一面にしか過ぎないのです。

非日常のユーモアに要注意

とはいっても、ほとんどの場合「ユーモア」は格調の高いおもしろさを示す「ウィット」の同義語として使われているようです。

それを裏づけるように、インターネット上で「ユーモア」について調べると、有名人が過去に行なった “カウンターのような鋭い切り返し” が数多くヒットします。そしてそのほとんどが、「おお!」と感嘆の声をあげたくなるような機転の利いたものばかり。そんなユーモアに憧れて「自分もこんなセンスが欲しい」と思うのも無理がないことでしょう。

しかし、そのようなユーモアは非日常なものであり、日常の生活で使うことで人間関係にプラスに働くことはほとんどありません。なぜならば、彼らが行なうような “痛快でかっこいいユーモア” というのは、相手への苛烈な攻撃があって初めて生まれるものだから。周囲を楽しませる・感心させるために、ある人を攻撃の対象とする。テレビやお笑いの世界では許されることなのかもしれませんが、日常の場面でそんなユーモアを乱発するのは考えものです。

また、攻撃的な言葉に対して攻撃的に切り返してしまうと、たとえそれがいくら機転の利いたものであっても、場はさらに緊迫するでしょう。職場や友人との会話でそんなことをしても、良いことは何もありません。

そうです。私たちが身につけるべきユーモアとは、攻撃性を帯びたものではなく、あくまで「会話を和やかに気持ちよく進めるもの」なのです。

ユーモアは相手が楽しくてこそ

ユーモアの話をするときに、忘れてはいけないのは相手の存在です。上で述べた通り、日常生活で必要なユーモアとは “相手との” 会話を和やかにしてくれるものですからね。

おそらく普段の会話では、相手は1人か2人といった場合が圧倒的に多いはず。その相手に合わせてユーモアを展開していくことが求められます。

ただ、ここで重要なのは、相手によって、笑いになる話題やタブーとされる話題は違うということ。日常でユーモアを発揮するためにまず大切なのは、それを適切に見極めることと言えるでしょう。

「話し上手は聞き上手」とよく言いますが、相手のことを知らなければ、相手にとっておもしろい話はできません。ユーモアのある会話をしたいと思うと、猪突猛進に話したがりがちですが、それでは相手が見えてこず、適切な話題選びすらできないでしょう。相手の話を聞いて情報を集めるのが最初のステップですよ。

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相手の情報を引き出す会話術

もちろん、情報を集めるといっても、こちらがただ黙っているだけでは相手は話してくれません。ある程度会話をしなければ、相手の口から情報が語られる機会は訪れないでしょう。

とはいえ、情報を集めようと無理に会話してもいけません。「詮索している」という空気が少しでも出てしまうと、相手は警戒するため、情報を集めるのがより難しくなってしまうおそれがあります。

実は、無理に探らなくても、日常の何気ない会話の中に、情報はたくさん転がっています。そのとっかかりになる要素として「口数」があります。

なにげない話題に対して、ある人の口数が増えたとき、その人はその話題に対して「興味がある」あるいは「詳しい」と予想することができます。逆に反応が芳しくないときは、「興味がない」「あまり踏み込んでほしくない」話題の可能性のほうが高いでしょう。

このように、口数が増えたときの話題をキャッチしておけば、次に似たような話題が出たときに、その人に話を振ったり、こちらが興味を持っているそぶりをしたりすることで、さらに詳しい情報を引き出せる可能性が高まります。

特に普段の会話は、次々と話題が移り変わり、様々な分野について浅くなでるように話をすることが多いはず。そんな会話は、多角的に相手の情報を集めるのに非常に適しています。無理に相手を探るのでなく、普段の会話から情報を拾い集められるように、しっかりとアンテナを張っておきましょう

相手を知ることで生まれる「聞くユーモア」

もしかすると、相手の情報を得ても、その生かし方がわからないなんて人はいるかもしれませんね。でも実を言えば、相手の情報を得た段階で、その情報を無理に生かそうとする必要はありません。なぜならば、そんなことをしなくても、情報を得る前と後では、会話でのあなたは大きく変わっているはずだからです。

最も劇的に訪れる変化は、自然と会話に集中できるようになることではないでしょうか。

普段の会話で、話している人の反応や次に話すべき話題を気にしすぎるあまり、肝心の会話の中身に集中できなかったなんて経験はありませんか。でも、事前に情報を充分に集めていれば、その心配はありません。

嫌な話題は特に意識せずに避けられるため、相手の反応をうかがいながら恐る恐る話す必要はありませんし、話題も相手にとって好ましいものを自然と選ぶことができます。つまり、ほかに割くリソースが減ることで、会話の内容そのものに集中できるようになるのです。

会話に集中しているかどうかは、思いのほか相手に伝わります。自分の話をしっかり聞いてくれることは、それだけで大きな好印象となりますから、「この人と話すのは楽しい」と思ってもらえるのではないでしょうか。

*** ユーモアとは、相手を楽しませるもののこと。ならば、話し手が楽しくなるような聞き方も、充分にユーモアだと言えますよね。

ユーモアのセンスがある人になるためには、話を聞ける人間になることが一番の近道なのかもしれません。「聞くユーモア」を実践してみませんか?

(参考) wikipedia|ユーモア 上野行良 (2010),「ユーモアに対する態度と攻撃性及び愛他性との関係」, 心理学研究, Vol. 64, No. 4, pp.247-254.

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