ランチタイムの後は眠くなってしまい仕事に集中できない、と悩んではいませんか? 実は、昼食後の眠気には明確な原因があるのです。エネルギーを補給して午後からも仕事をがんばるために取るはずの昼食のせいで逆に作業効率が下がってしまうのは、非常にもったいないことですよね。そこで今回は、昼食後に眠くなるメカニズムと、その対策方法をご紹介します。
なぜ眠くなるのか
昼食後に眠気を感じるのには主に2つの原因があります。
1つ目は、人間の生体リズムの影響です。生体リズムとは、言わば体内時計のようなもの。元来私たち人間の身体は夜間の午前2時~午前4時ごろに強い眠気を感じるのですが、就寝時間の約15時間後にも眠気を感じるつくりになっています。そのため、午前0時ごろに就寝した場合はちょうど午後3時あたりに眠気のピークが来てしまうのです。午後の眠気は昼食だけが原因であると考える方もいらっしゃるかもしれませんが、昼食を抜いた場合や普段よりも2時間ほど早めに食べた場合であっても、午後には同じように眠気が生じます。昼休憩後の眠気は、生理現象だったのです。
2つ目は、血糖値の上昇です。白米やカップラーメンといった糖質を多く含む食事を取ると食後の血糖値が高くなり、上がった血糖値を低下させるために、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの濃度が高まります。インスリンは休息ホルモンとも呼ばれており、過剰に分泌されると食後の眠気につながってしまうのです。また、血糖値が高まるとオレキシンという物質をつくる神経細胞の活動が抑制されて脳内のオレキシンが減少します。オレキシンは摂食活動の促進・睡眠と覚醒のコントロール・エネルギー消費の促進といった働きがあり、人間の睡眠と覚醒に密接に関わっているもの。そのオレキシンが少なくなると、エネルギーの消費がうまくいかずに眠気を感じてしまいます。
眠くならないためには
それでは、午後の眠気を軽減させるにはどうすればいいのでしょうか。その方法を3つ紹介しましょう。
1. 食事の前に紅茶やコーヒーを飲む
紅茶やコーヒーに含まれるカフェインは中枢神経を興奮させることで覚醒状態を作り出します。カフェインを摂取してから30分くらいで効果が出るので、食事の前に取ることで食後の眠気をやっつけてくれます。
2. 食事中は食べる順番に気を付ける
野菜類を最初に食べ、次にタンパク質がメインのおかずを食べ、最後にご飯やパンを食べるようにしましょう。初めに食物繊維を摂取することで腸内での糖質の吸収が穏やかになり、また食欲を満たす働きのあるインレクチンというホルモンが分泌されるからです。食べる順番を工夫するだけで、糖質の吸収が抑えられインスリン濃度の上昇を緩やかにできるのです。
3. 食後には歯磨きをする
歯磨きで歯茎が刺激されると、脳内でメラトニンという眠気を引き起こすホルモンの分泌が減ります。そのため、食後にはきちんと歯磨きをするようにしましょう。歯茎を刺激するのが目的なので、歯茎が傷つかない程度に優しくこするようにして磨いてください。また、ミント系の歯磨き粉を使うとあの清涼感が眠気を飛ばしてくれるのでより効果的になりますよ。
どうしても眠くなってしまった時には
上記のような対策をしてもどうしても眠くなってしまう、という時もあるかと思います。眠気の原因でも挙げた通り、昼食後に眠くなるのは人間の身体にとっては自然なこと。そういう時には無理に抗うのではなく、いっそのこと少しだけ昼寝をするのが良い解決策です。
昼寝は長ければいいというものではありません。時間は15~20分くらいがちょうどよく、それ以上になると深い眠りになってしまい起きた時にボーっとしてしまいます。寝るといっても、本格的に横になる必要はありません。デスクに突っ伏して寝ても良いですし、その体勢が恥ずかしいと感じる方は、椅子に座って目をつむる程度でも十分に効果があります。
昼寝をすれば眠気を取り除くことができ、午後の仕事の効率もアップします。昼寝をする際は、昼寝の前にカフェインを摂取するとすっきり起きることができますよ。
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ランチ後の眠気はしかたがないもの。ご紹介したことを実践し、すっきりとした気分で午後の仕事に取り掛かってください。
(参考)
裴英洙著(2012),『10の仕事を1の力でミスなく回す トリアージ仕事術』,ダイヤモンド社.
nikkeiBPnet|昼休みに15~20分の昼寝で午後の業務効率カイゼン
大塚製薬|眠気と集中力低下はグルコーススパイクが関係
JBPRESS|これが「昼食たべて眠くなる」本当の理由
ごちクル|ランチ後の睡魔対策、歯磨きの効果とは?
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