「あ! すっかり忘れていた!」
仕事をしていると、何かを忘れていたというミスはつきものだと思います。日常でもよくあるでしょう。マイナビニュースの「職場で上司に怒られると焦った失敗ランキング」は以下のようになっています。

1位 頼まれていた仕事をすっかり忘れていたとき 24.8%
2位 電話の取り次ぎメモを書き残すのを忘れた 16.8%
3位 会議中眠ってしまい手に持っていた資料やペンを落としてしまった 15.9%
4位 上司あての電話をかけてきた相手の名前を聞き忘れたor聞き間違えた 14.9%
5位 会議の資料や企画書に誤字があったとき 11.2%

1位と2位は何かをすることを忘れていたという「メモリーミス」です。物事を忘れてしまうことによるミスがいかに多いかが伺えますね。

そこで今回は、このようなメモリーミスの原因とその対策について考えていきたいと思います。

メモリーミスが起きる原因

なぜ、人はメモリーミスを犯してしまうのでしょうか?

もちろん、ミスをしようと思う人はいません。メモリーミスは、自分の記憶に対する「期待」と「現実」のギャップから生まれるもの。自分では「よし覚えたぞ」、「これは忘れないだろう」と思っていても、脳は思いのほか早く簡単に忘れてしまうのです。

“忘却曲線”という言葉をご存知でしょうか?
これは、ドイツの心理学者のエビングハウスが発表したもので、時間の経過と記憶の関係を表したもので、これによると私たちは何かを覚えた20分後に42%を忘れてしまうというのです。1時間後には56%、1日後にはなんと74%も忘れてしまいます。

ここからもわかるように、私たちの記憶力とは非常にもろいものなのです。

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キーワードはワーキングメモリ

メモリーミスの原因は、脳のメモ帳といわれる“ワーキングメモリ”という記憶です。この記憶は、作動記憶や作業記憶などと訳され、長期記憶とは違い、何かの目的のために一時的に貯蔵されます。文章を読むときや会話をするときには、このワーキングメモリが前後の言葉や文章を留めることで理解することができるのです。

しかし、このワーキングメモリは容量がとても小さいことが分かっています。新しい情報が入ってくると古い情報がはじき出されてしまうのです。

では、ここで突然ですが質問です。この記事の冒頭で紹介したアンケートのランキング第1位は何でしたか?
おそらく多くの人が思い出せないことだと思います。それほど、ワーキングメモリの容量は小さいのです。だからといって、記憶力を強化すれば容量が増えるわけではありません。それほど、ワーキングメモリの容量を増やすことは難しいのです。

「忘れない」ではなく「忘れる」前提に立つ

ワーキングメモリはもちろん、人間の記憶力はもろく、強化することも難しいものです。

そこで、私たちは「人はすぐに忘れる生き物だ」という前提に立つ必要があります。記憶力が良い人は、脳のつくりが高性能なわけではなく「自分の記憶の限界はどれくらいか」、「忘れないためにはどれくらいすればいいか」といった“自分の脳の特性”を知ったうえで効率良く対策をしているだけなのです。

どうすれば忘れないようになるかではなく、どうすれば忘れっぽい自分をカバーできるのか。この発想の転換ができるかが重要になります。

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メモですべて解決

簡単にできるメモリーミスの解決策は「メモ」をすることです。

そこでオススメなのが、パソコンとスマホで同期できるメモアプリ。さまざまなメモアプリがありますが、筆者はEverNoteというアプリを愛用しています。どこにメモしたか迷わないために、1つのアプリに絞ることが大切です。

また、補助や周りの人に見せるためのメモとしてA4用紙を机の上に置いておきましょう。席を立つときや会議のときは、これを四つ折りにして、クリップ付きのペンと一緒にポケットに入れて持ち歩きます。

会議のときは、スマホではなくノートパソコンでメモアプリに直接書き込みましょう。もし、パソコンやスマホが使えない状況であれば紙に書き込むと良いでしょう。

そして何よりも大切なことは、頑張って記憶しておこうという努力をやめることです。その努力がワーキングメモリの容量を圧迫してしまいます。メモを取ることを続ければ、メモの本当の価値がわかってくると思います。

***
なんでも覚えようと無理せずに、メモを取ることで脳への負荷を減らしましょう。そして、メモリーミスを減らし、効率の良い仕事をしてみませんか?

(参考)
マイナビニュース|【男性編】職場で上司に怒られると焦った失敗ランキング
宇都出雅巳(2016),「仕事にミスが絶対なくなる頭の使い方」, クロスメディア・パブリッシング
コトバンク|忘却曲線