人と話すときは目を合わせて話しなさい。皆さん、子供の頃に言われませんでしたか。目は口ほどに物を言う、ということわざもあります。

今回は、目を合わせる事とコミュニケーションの関係を科学的な視点から見てみましょう。

まばたきが与えるコミュニケーションへの影響

ヒトは、1分間に平均約20回ものまばたきをしています。まばたきの役割は目を乾燥させないこと、というのは広く知られていますね。しかし、眼球の表面を調べたところ、目を潤すためだけならば1分間に3回程度でも十分であることがわかっているのだそう。では、なぜまばたきをこんなにたくさんするのか。実は、まばたきの詳しい働きはまだはっきりとはわかっていません。

大阪大学の中野珠実准教授率いる研究チームは、被験者たちにストーリーのある3分半の無声映像を3回見せ、まばたきのタイミングを計測しました。比較として、被験者がストーリーのない風景映像を見ている時と、朗読音声を聞いている時にも、まばたきのタイミングを計測しました。すると、ストーリーのある映像を見ている時のみ、同じ被験者での3回の計測結果、複数の被験者間での計測結果ともに、まばたきのタイミングが一致したのです。

被験者達は、登場人物の動作の終了時など、展開の切れ目にまばたきをしていました。この実験から、人は無意識のうちに、環境の中から情報のまとまりを見つけ、その切れ目にまばたきをしていることがわかったのです。

他にも演説の場面を約3分流し、視聴している被験者のまばたきのタイミングを計測する実験を行いました。結果、聞き手は話し手のまばたきから0.25~0.5秒遅れてまばたきをする割合が高い、ということがわかりました。更に詳しく調べると、聞き手のまばたきの同調は、話し手のまばたきが話の区切れ目に行われた時にのみ起こっていたのだそう。

中野准教授は、人はまばたきを介して無意識に話の切れ目を共有し、相互理解や共感を深め、円滑なコミュニケーションを促進しているのではないかと述べています。

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瞳孔サイズの変化による、感情の察知と同調

私達人間は、時に相手がうなずくと自分もうなずいてしまったり、気が付かないうちに相手のしぐさに同調してしまったりします。

目を合わせたときの同調行動に関して言えば、他に瞳孔サイズの変化が挙げられます。相手の瞳孔サイズの変化に対応して観察者の瞳孔サイズも変化する、というものです。

瞳孔の拡大は交感神経の働きによって起こり、縮小は副交感神経の働きによって起こっています。交感神経とは、興奮した時に活発になる神経。瞳孔サイズの同調は、興奮という感情が共有されることによって起こると考えられるのです。まばたきと同じく、共感を促し社会的なコミュニケーションの基盤を支えていると言えるでしょう。

目を合わせて会話する利点は、相手と共感しやすいことだというわけですね。

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大切なのは、適度に視線を合わせること

目線を合わせることが大切なのがお分かりいただけたかと思いますが、相手の目をじっと見て話すのは苦手という人もいるかもしれません。

心理学的に、きちんと相手の目を見てコミュニケーションをとることは、信頼感の醸成のために確かに必要なことなのですが、見つめすぎるのは良くないのだそう。あまりに凝視してしまうと、相手を不快にさせたり、落ち着かない気持ちにさせてしまったりします。

コミュニケーションにおいては、視線を合わせたりはずしたりしながら、適切なバランスでアイコンタクトをとると良いですよ。

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私たち人間は、会話の中で、相手の動きなど言葉だけでないたくさんの情報を読み取り、コミュニケーションを行っています。今回は、目を合わせることについての研究結果の一部を紹介しましたが、コミュニケーションは多くの研究者の関心事。これからもコミュニケーションについてより多くのことが発見され解明されていくでしょう。冒頭で紹介したような教えやことわざ以外にも、科学的な根拠が見つかるかもしれませんね。

参考
生命誌ジャーナル|RESEARCH:まばたきは何のためにするのか?脳の情報処理とまばたきの関係を見る
Kret, Mariska E., Masaki Tomonaga, and Tetsuro Matsuzawa (2014) , “Chinpanzees and Humans Mimic Pupil-Size of Conspecifics”,PLoS ONE, Volume 9,Issue 8, e104886.
けあサポ|コミュニケーションスキル第4回 「どう話すか」に気を配る~その2~
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