ゆくゆくは起業しようと考えている方はもちろんのこと、会社員の方でも、いつかはチームのリーダーを任されるかもしれません。働き方改革が叫ばれるいま、AI時代も近づきつつあります。これからのリーダーに求められることはいったい何でしょう。

リーダー像の軌跡をたどりながら、「未来のリーダー」を探ります。

リーダー像は、時代とともに変わりゆく

アメリカのフォード社が、ベルトコンベアによる組み立てラインを導入したのは1913年のこと。当時は単純労働がほとんどだったため「統制型のリーダーシップ」が活かされ、生産効率は劇的に向上しました。統制型のリーダーシップとは、中央から組織の末端まで意のままにコントロールすることです。リーダーを信頼する以前に、いわれた通りに従うことが前提です。

しかし、機械やコンピュータが単純作業をこなすようになったいま、人間は機械ができない「精神的・知的」な仕事を担当するようになりました。そうなると、統制型リーダーシップは全く活かされません。もしも無理に行使したら、部下は反発し仕事へのやる気を失ってしまうでしょう。

そんななか、AT&Tマネジメント研究センター長を務めたロバート・K・グリーンリーフ氏は「サーバントリーダーシップ」という考え方を提唱しました。この考え方の根本は、リーダーが進んで奉仕者となること。メンバーが主体的に行動するのでモチベーションが高くなり、信頼関係も築きやすくなります。

一方『グランズウェル』の共著者であるシャーリーン・リー氏は、「オープンリーダーシップ」という概念を提唱しています。これは、謙虚にかつ自信を持って、コントロールせずに相手から献身と責任感を引き出すリーダーのあり方です。

従来型のリーダーが、職務上の権限を用いて統制的に部下をコントロールしていたことに比べ、「サーバントリーダーシップ」や「オープンリーダーシップ」は信頼関係のもと部下が自律的に行動できる力を与え、可視化を重視して情報共有します。そして、社員あるいはメンバーと肩を並べてリーダー自ら奉仕し、全体の納得を得ながら計画を進めます。

支配的なリーダーは、いまの時代にはそぐわないものになったのです。

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なぜリーダー像が変わったのか

では、なぜこのようにリーダー像は変わったのでしょう。グローバルリーダーシップ人材育成・研修などを行う岡本純子さんは、以下3つの要因をあげています。

1.情報伝達がマスメディアによるトップダウン型ではなく、相互対話のソーシャルメディア型に変化している。
2.給料や知名度だけではなく、その企業の役割や存在価値に共感・賛同できることが重視されるようになった。
3.企業に対し、利潤追求だけではなく、社会に対する貢献性を求めるようになった。

リーダー像が変わったのは仕事の変化だけではなく、情報のかたちや価値観の変化も大きく影響しているのですね。

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昔の優れたリーダー像に学ぶこと

では、昔のリーダーたちからは、もう学ぶことはないのでしょうか? そんなことは絶対にありません。たとえば現パナソニック(旧松下電器産業)を一代で築き上げた、経営の神様と呼ばれる松下幸之助氏の言葉は、時代を超越した普遍性と説得力を持っています。ある全国紙の記者が、生前の同氏に“指導者・経営者にとってひとつ必要な条件を挙げてください”と頼みました。するとこのように答えたそうです。

「――自分より優れた人を使えるということですな。そう、これだけで十分ですわ――」

また、同氏は社員に、松下電器は何をつくるところかと尋ねられたら、「人をつくるところでございます。併せて電気器具もつくっております」と答えるよういったのだとか。どんなに素晴らしい技術やノウハウ、機械や設備があっても、人なしで事業は発展しないからです。社員教育のなかには「自主独立の精神を持たせて、思いきって任せる」といったものもあるとのこと。

部下の能力や才能に敬意を払い、信頼関係のもと自律的に行動する力を与えているところは、「サーバントリーダーシップ」や「オープンリーダーシップ」とあまり変わらないのではないでしょうか。昔の優れたリーダーから学ぶことは、たくさんあるのです。

未来に求められるリーダー像とは?

では、未来に求められるリーダー像とはどのようなものでしょう。

シャーリーン・リー氏が提唱する「オープンリーダーシップ」のルールは以下の5つです。

1.顧客や社員の持つパワーを尊重
2.絶えず情報を共有して信頼関係を築く
3.好奇心を持ち、謙虚になる
4.オープンであることに責任を持たせる
5.失敗を許す

また、「サーバントリーダーシップ」を持つには以下が必要だといわれています。

1.仕事について分かりやすくメンバーに共有
2.相手に寄り添って話をきちんと聞く
3.話し合い、納得し合いながら進める

岡本純子さんいわく「グローバルリーダー」を目指すには以下が大切とのこと。

1.相手の話を真剣に聞く
2.命令ではなく対話する
3.しかめっ面ではなく笑顔

これらを総括し推測すると、未来のリーダーに必要なのは「共有力」「共感力」です。なおかつ、アル・ピタンパリ著『すごいヤツほど上手にブレる』のリーダーシップ論を参考にすると、上手にブレられる力も必要でしょう。この本では、世界の優れたトップリーダーは相手を説得するのではなく、説得を受け入れる「心の柔軟さ」を持っていると説明しています。

リーダーになるために、いまのうちからできること

さて、これからのリーダーには「共感力」「共有力」「柔軟性」が必要だと推測しました。では、いまのうちにできることとは何でしょう。

それは、「人との対話を大切にする訓練」と「自分に自信をつけること」です。

対話が共有力を育み、人としっかり向き合い、相手の言葉に対し真剣に耳を傾けることで共感力を養えます。また、相手から発せられた違う意見を受け入れることで柔軟性も養われます。そして、どんなに謙虚なリーダーといえ、指導者ならば「自信」をもつことは不可欠です。見た目を整える、スキルを磨く、知識を増やす、コミュニケーションの場数を増やすなど、どうしたら自信を持てるか自分なりに試行錯誤してみましょう。

***
米経済誌フォーチュンが2015年にまとめた「世界の偉大なリーダー50人」のランキングでは、アップルのティム・クックCEOが1位に選ばれたそうです。あなたもぜひ尊敬を集めるリーダになってくださいね!

(参考)
ZDNet Japan|統制がきかない時代のリーダー像–鍵を握る「オープンリーダーシップ」
PARAFT|理想的なリーダー像?サーバントリーダーシップの考え方とは
東洋経済オンライン|「オラオラ系上司」の時代は、もう終わった 「コミュ力」は鍛えられる!
東洋経済オンライン|松下幸之助が考えた「指導者の条件」とは? 松下幸之助の珠玉の言葉
松下資料館|館長からのメッセージ
アル・ピタンパリ著,岩崎晋也訳(2017),『すごいヤツほど上手にブレる (T’s BUSINESS DESIGN)』,TAC出版.
FOCUS-ASIA.COM|「世界の偉大なリーダー50人」、1位はあの経営者 オバマ大統領は“圏外”