この連載の第1回「“想定外” を想定せよ! 時間管理は「矛盾」との戦いだ。」で紹介したように、私たちが普段行っている仕事は「アポイントメント」「タスク」「予定外の仕事」の3つに分類することができます。前回「タスクは「実行日」に書け! “本当に使える” タスク管理の方法とは?」のタスクの話に続いて、今回はアポイントメントについての話です。

前回紹介したように「タスクをどう管理するか?」は時間管理の最重要ポイントといっても過言ではありません。ただし、タスクをうまく計画・実行するために絶対に必要な情報があります。それがアポイントメントに関する情報です。

アポイントメントの管理は、いわゆる「スケジュール管理」であり、皆さん普段からやっていると思いますが、そのなかで実践しておくといいポイントを紹介していきましょう。

「空き時間」は「使える時間」

そもそも、私たちがアポイントメントを管理する目的ってなんでしょう? 最も重要な目的は、アポイントメントを忘れず実行すること、そしてダブルブッキング(同じ時間帯に予定が重なること)を起こさないことですよね。これは相手との「約束を守る」ことでもあります。

しかし、時間管理の観点では、もうひとつ重要な目的があります。それが自分の「空き時間」、つまりアポイントメントが入っていない時間がどれだけあるかを把握することです。

いわゆる「スケジュール管理(アポイントメントのみの管理)」では、重要なのはアポイントメントであり、空き時間に注目することはあまりありません。一方、時間管理の観点では、空き時間はタスクを行うために、そして「予定外の仕事」に対応するために必要な時間です。空き時間はただの「空いている時間」ではなく「使える時間」なのです。ですから、空き時間がどれだけ残っているかを常に把握できるようにしておくことが重要です。

たとえば、アポイントメントが多い日(空き時間が少ない日)には、タスクはあまり実行できませんし、逆にアポイントメントが少ない日(空き時間が多い日)には多くのタスクを実行できます。つまり「空き時間がどれだけあるか?」という情報なしにタスクの計画を立てても、うまくいかないのです。これは当たり前のことですが、とても重要なことです。

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「空き時間」を可視化する

では、空き時間がどれだけあるか把握するためには、どうすればいいでしょうか?

たとえば、手帳を使ってアポイントメントを管理する場合、その書き方がポイントになります。次の2つの図を見比べてみてください。

こちらの図はアポイントメントの開始時刻と件名だけを書いたものです。私も昔はこんなふうにアポイントメントを書いていましたが、これはよくない例です。

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こちらがいい例です。こちらの図ではアポイントメントの所要時間(開始時刻から終了予定時刻まで)がわかるように線を引いています。

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下の図のほうが空き時間の量がわかりやすいですよね。たとえば、火曜日と水曜日を比べると、どちらもアポイントメントは2件ありますが、火曜日のほうが空き時間が多いことは一目瞭然です。空き時間が可視化できているわけです。

このように空き時間を可視化しておくことは、前回紹介したタスクの計画に役立ちます。前回はタスクの「実行日を決める」ことの重要さを紹介しましたが、空き時間を把握したうえで実行日を決めると、より適切な実行日を選択できるようになります。

「月」よりも「週」の表示がおすすめ

パソコンなどにアポイントメントを入力する場合はどうでしょうか?

こちらの図はMicrosoftのOutlookにアポイントメントを入力したものです(下にあるのが前回紹介したタスクです)。

time-management-04-04

スケジュール管理ソフトやグループウェアの多くでは、アポイントメントはこのようにブロック状に表示されますので、空き時間は可視化されています。この例では、さらに空き時間をつかみやすくするために、お昼休みの時間を表す「定期的な予定」も入力してあります(色をグレーに変えてある部分です)。

ただし、同じソフトウェアでも表示形式を「月」にしてしまうと、各用件は開始時刻と件名だけしか表示されなくなるものが多いです。この場合、先ほどの手帳のよくない例と同様に、空き時間が把握できません。また、表示形式を「日」にするとその日の空き時間は可視化されますが、先の日程まで見渡すことができませんので、やはり計画を立てるのには向いていません。

ですから、スケジュール管理ソフトやグループウェアを使用する場合は、表示形式は「週」(または「稼働日」)を中心に使うのがおすすめです。

「行動」を基準に時刻を入力する

最後にもうひとつ、アポイントメントについてのちょっとしたポイントを紹介しておきましょう。先に紹介した2つの手帳の図は同じアポイントメントを示していますが、開始時刻の書き方が違う部分があることに気づかれたでしょうか? これは時刻の基準の取り方が違うんです。

仮に10:00から始まる会議があるとして、その会議が自分のデスクからすぐの場所で行われる場合はそのまま10:00と書きますが、会議の場所が遠い場合は移動時間を考慮して9:55のように書きます。つまり、人と約束した時刻をそのまま書くのではなく、自分がいつ「行動開始」すべきか? という基準で時刻を書いているのです。

このように行動開始時刻で書いておくのは意外に役立つものです。私は昔「そんなの、そのときに時間を逆算して考えればいいんじゃない?」と思っていたのですが、そのせいでうっかりしたり、勘違いしたりして会議に遅れることが多かったのです……。それが、この行動開始時刻で書くようになってからは、そういう失敗が激減しました。考えてみれば、自分にとってのアポイントメントは自分が席を立って歩き始めるところから始まっているわけで、その時刻(行動開始時刻)で書いておくほうが合理的です。

これはタスク管理にも共通することですが、人との約束や決めごと(タスクの期限や会議の開始時刻)をもとに自分の行動(タスクの実行日や行動開始時刻)を計画するのが時間管理だといえます。

さて、前回、今回と私たちが行う3つの仕事のうち、タスクとアポイントメントについて紹介してきました。次回は3つめの仕事である「予定外の仕事」にどう対応するのがいいか? を紹介しましょう。

■連載『仕事も学びも効率化 目からウロコの時間管理術』一覧はこちら
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