技術革新のスピードがますます速くなっている現代。昔と比べると驚くような変化が、身の回りでは起きています。

例えば、1946年に発表された世界最初のコンピュータと言われるENIACは、非常に高価で、重量は約30トン、大きさは倉庫1個分にもなる巨大なものでした。それから70年後の今、コンピュータ機能は、PC、タブレット、スマートフォン、腕時計のような通信端末だけでなく、「モノのインターネット」(IoT: Internet of Things)としてあらゆるものに搭載され、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながる社会が進んでいます。こうした「インターネットにつながるモノ」の数は爆発的に増加し、2020年までに約530億個まで増大するのだそうです。

あなたは、こうした時代の劇的な変化に、ついていくことができていますか? 変わりゆく時代で活躍できる人材だという自信はあるでしょうか? ただ最新の情報を知っているだけでは、十分ではありません。では、新しい知識やスキルを身に着ける以外に、どのような心構えをしておくべきなのでしょうか。

価値ある人材になるには、行動することで自ら変化を作り出す

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ(The best way to predict the future is to invent it.)」という言葉があります。これは、パーソナルコンピュータの父と言われ、アメリカの教育者でもあるアラン・ケイ氏による言葉。

この言葉にある通り、未来を予測して切り開き、変化の激しい時代に活躍する人材となるためには、自ら学び、考え、行動し、新たなものを創り出すことが必要です。このような時代では、スキルや知識はすぐに陳腐化してしまいます。古いスキルは惜しまず捨て、常に貪欲に新しいスキルを学び続けることが、とても大切です。

ビジネスパーソンにも、時代の変化は影響を及ぼしています。

例えば、過去に就職先として人気が高かった、化学、造船、鉄鋼、家電、銀行、TVなどの業種は、グローバル競争の中で勢いが弱くなり、その当時成績優秀でこれらの上位企業に入社した人たちは今、能力を存分に生かす場が少なくなっています。

その反面、以前はまだ規模が小さく、知名度もなかったインターネットサービスやゲーム関連企業などに就職したり、自分で起業したりした人の市場価値は、今やとても高くなっています。ベンチャーへの憧れも高まり、大企業よりもベンチャーに就職することを選択する学生も増えてきました。

また、AI(人工知能)の登場により、従来人が担ってきた仕事はAIに取って代わられる傾向にあります。驚くべきことに、10年後には702もの職業が必要なくなるという研究結果があるのです。一方で、データサイエンティストなど新しい職種も次々生まれています。時代の変化に応じて、職種は生まれたり廃れたりするということ。これについて、インテル元社長の吉田和正氏は、文部科学省の会合で次のように述べています。

2010年の人気職というのは2004年には存在してないものであろうと、2004年にこれを言った人がいます。今2011年ですから、どういう職種があるか調べてみますと、アメリカのランキング4位になっています、医療データ情報技術者、これは2004年には存在してなかった。あと、もう一つ調べてみたらば、イギリスでのランキング1位は、データコミュニケーションアナリスト。(中略)科学技術アドバイザーとか、職種というのはどんどん変化しています。

(引用元:文部科学省|今後の高校教育の在り方に関するヒアリング(第7回)配布資料・議事録 吉田和正氏(インテル株式会社代表取締役社長)意見発表

吉田氏によれば、「18歳から40歳までにおよそ11の仕事を経験するだろう」「今後の100年に起こる変化は、過去の2万年分の変化に相当する」などとも言われているのだといいます。そのような時代においては、環境変化にしなやかに対応するだけでなく、常に行動し、新しいものや変化を自ら作り出すほどの気概がなければならないのです。

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変化の重要性を説いた土光敏夫氏

日本にも、将来を予測するよりも常に「行動し変化を自ら作り出す」ことの重要性を提唱した人たちがいました。一人は、石川島播磨重工業・東芝・経団連などの再建リーダーを歴任し、辣腕を振るった土光敏夫氏です。

土光氏は、抜群の行動力と質素な生活から「ミスター合理化」と呼ばれました。東芝社長に就任して事業再建に取り掛かった時には、「諸君にはこれから3倍働いてもらう。役員は10倍働け。俺はそれ以上に働く」と社員に語ったというエピソードがあります。

土光氏の考えは、変化を重んじるものでした。次のような言葉によく象徴されています。

「この変化の激しい時代に固定したものの考え方は許されない。スローガンは逆に新しいものの考え方をはばむ。もしつくるなら、毎日変わる社是社訓をつくるべきだ。」

「変化することが企業の本質であり、変化に先んじて変化を作り出す企業が必要ではないか。」

「考えるより当たれ。体当たりによって生きたアイデアが生まれる。」

(引用元:名言DB|土光敏夫の名言 一覧

土光氏は、ルールをはじめたときは新鮮味があっても、すぐマンネリになってしまうので、企業と組織には絶えずダイナミックに揺さぶりをかけておく必要があると説いています。清水でも動かなければ腐るそうです。私たち自身にも同じことが言えますね。

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自分から変わる姿勢を重んじた実業家たち

積極的に変わることを重視した実業家。もう一人は、江戸末期から大正初期までを生き、多種多様な企業の設立・経営に関わり「日本資本主義の父」ともいわれた、渋沢栄一です。

世の人が元気をなくしており、社会の発展が停滞している。
いままでの仕事を守って間違いなくするよりも、さらに大きな計画をして発展させ、世界と競争するのがよいのだ。

(引用元:cocoaCANA|【渋沢栄一名言集】ドラッカー「経営において右に出る者はいない」- 明治を築いた人物の言葉

また、阪急電鉄・宝塚歌劇団・阪急百貨店・東宝をはじめとする阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者、小林一三も、将来は自分から切り開くべきだと説いていました。

今日の若い人々は学校を出て就職する時、名の通った大会社に入りたがるが大会社に入れば一生楽に暮らせるわけではない。どこでも激しい生存競争はある。偉そうに振舞えても単なる機構の一部の上で踊っているかかしに過ぎぬ。中小企業に進んで就職する方がよほど身のためになる。中小企業で仕事をする ということは、その目的がサラリーマンになることではない。将来独立自営の主になるのが目的なので、仕事はその見習いが主になる。したがってサラリーマン 希望で入ったら大いに当てが外れるだろう。むしろ月給はいらない、手に職を与えてもらう、その道の専門家に生き方を教わる心構えで入らなければならない。

(引用元:名言DB|小林一三の名言 一覧

急速に変わりゆく近代日本で活躍した人々の言葉は、テクノロジーの急激な進展により今までにない変化を遂げつつある現代にも通用するものだと言えるでしょう。

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どんな時代であろうと、自分の将来は自分が決めること、自ら変わることで価値ある人材になることが非常に大切なのだということが学べます。

最後に、土光氏にまつわる話をもう一つ紹介しましょう。

ある人が自宅の庭木の手入れは植木屋に頼んでいることを知った土光氏は、「じゃあ経団連をやめて暇になるから、僕が行くよ。僕のほかにも会社を辞めて植木屋のアルバイトをやっている人がいるから、2、3人連れて行く」と本気で語ったそうです。

こんなユニークなエピソードにまで、土光氏の行動力が見てとれますね。

(参考)
名言DB|土光敏夫の名言 一覧
総務省|平成27年版情報通信白書 第2部 ICTが拓く未来社会
Wikipedia|小林一三
名言DB|小林一三の名言 一覧
名言DB|渋沢栄一の名言 一覧
cocoaCANA|【渋沢栄一名言集】ドラッカー「経営において右に出る者はいない」- 明治を築いた人物の言葉
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文部科学省|今後の高校教育の在り方に関するヒアリング(第7回)配布資料・議事録 吉田和正氏(インテル株式会社代表取締役社長)意見発表
Wikipedia|ENIAC
Wikipedia|アラン・ケイ
Wikipedia|土光敏夫