その誘惑はなぜ生まれるのか? 無意識にひそむ “裏の目的” が、目標達成への羅針盤となる。

資格試験に合格するという目標があるにもかかわらず、ゲームをすることが止められない。 ダイエットを始めたのに、気がついたらお菓子を買ってしまう。

このような本来の目標と相反する行動を取ってしまうのは、無意識の目的が原因です。そこで今回は、目標の妨げとなる無意識を把握し、目標達成へと導く方法を紹介します。

無意識が目標達成を困難にしている

人間の行動には必ず何らかの目的があります。一見、自分の気持ちと相反する行動に思えても実は無意識的な欲望が隠されているのです。

「食生活を改め、運動し、喫煙をやめなければ死ぬ」と医者から警告されても、それを実践できる人は7人に1人にすぎないそう。長生きしたいと思っており、何を変えればいいかわかっているにもかかわらず、どうして変えることができないのでしょうか?

ハーバード大学のロバート・キーガン教授はその理由を次のように述べています。

人は常になんらかの『裏の目標』に突き動かされているから

(引用元:ロバート・キーガン (著), リサ・ラスコウ・レイヒー (著), 池村千秋 (翻訳)(2013), 『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』, 英治出版.)

このように本来の目的を邪魔している隠された裏の目的を認識し、その対処法を導き出すことが目標達成に大きく貢献してくれます。

まずは “自覚していない目的” を見つけよう

まず最初に、自覚していない無意識の目的を見つけましょう。

無意識の目的を見つけるのはとても簡単。本来の目的と相反する行動をとってしまったときに、どうしてその行動をとってしまったのかを考えるだけです。

目標から遠ざかる行動をとった自分に落胆しているだけでは何の改善にもなりません。無意識の目的を自覚することで、目標達成に一歩近づきます。

では、無意識の目的を利用した真の目的の達成方法を具体的に紹介していきましょう。

1. より理想的な行動で代用しよう

無意識の目的がわかれば、無意識の目的を満たす別の方法を考えます。それが目標の達成を促す方法であれば、無意識の目的も意識的な目標も叶える理想的な行動となります。

仕事のために英語力を上げたいのに、帰宅すると疲れて気力がなくなり、ついついテレビを見て過ごしてしまう人の場合。これは無意識の目的である「疲れをとりたい」という気持ちが働いているからでしょう。英語力を上げたいという意識的な目標と疲れをとりたいという無意識的な目的に合致する、お風呂で半身浴をしながら、英単語を覚えたりリスニングに取り組んだりすることにします。

ダイエットをしたいのに間食が止められないという人は、おいしいものは我慢せず食べたいという本来の目的とは相反する目的が隠されているかもしれません。こんな人は、この2つの目的を両立させるのは難しいので、ダイエットをするために間食を止めるのではなく、ダイエットをするために運動をするというように別の方法を考えましょう。

逆にダイエットをするために運動すると決めていたけれど、運動が続かないという人もいるでしょう。そんな人にはダイエットをするために間食を止めるという方が効果があるかもしれません。

目標の妨げとなる無意識的な目的は千差万別。自分に合った理想的な行動は自分自身で考えましょう。

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2. 目標の優先度を高めよう

遠い先の未来の目標は優先順位が低下してしまいがち。カルガリー大学のスティール・ピアーズ教授によれば、目先の快楽を優先させてしまうのは、人にもともと備わった性質なのだそう。前頭前野の発達によって、人は長期的な目標を掲げるようになったとはいえ、それはつい最近のこと。長い歴史の中で見れば、生き延びるための衝動的ですばやい判断こそが重要であり、目の前の欲望を満たしていけばよかったのです。

もし、あなたが1年後の資格試験合格の目標や終わりの見えない英語力を向上するという目標を掲げているなら、今目の前にある誘惑に負けてしまう可能性は大きいでしょう。そこで、そのような大きな目標を意識したまま、「今日の目標は教科書10ページ分の勉強をする」、「1か月後のTOEICまでに100点得点を伸ばす」というような小さなスケールの目標を課します。

レポートの締め切りが明日に迫ると一生懸命やり始めるという人は多いでしょう。この特性を生かします。期限が短くなることで締め切り効果が生まれ、やらなければいけないという気持ちは強くなりますし、優先度は高くなるはずです。

また、目標達成の状況を強くイメージして目標に対するモチベーションを大きくすることで、無意識の目的を上回るモチベーションを得る方法もあります。その資格を取得して活躍されている方の情報を得て「この資格がどうしても欲しい!」と強く思い直すことができれば、一時的に勉強への意欲は高まり、無意識の欲求に負けることはないでしょう。

*** 目標の達成を妨げているのは、自覚していない無意識の目的があるからでした。無意識をしっかりと捉え、意識の上にあげることで目標を妨げる行動を減らしてきましょう。そうすれば、目標達成はすぐそこです。

(参考) ロバート・キーガン (著), リサ・ラスコウ・レイヒー (著), 池村千秋 (翻訳)(2013), 『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』, 英治出版. Study Hacker|誘惑に負けない強い心。『意志の強さ』を身につけるには、たった10分あれば良い。

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