初対面の人と自己紹介をして会話を始めても、少し時間が経つだけで聞いたはずの名前を忘れてしまう、という悩みを抱えた人は多いと思います。

例えば、年度や季節の変わり目で、新たな環境に身を置くことになったとき。複数の会社から大人数が集まるセミナーなどの交流会で、名刺交換をしながら会食することになったとき。営業や接客など、人との出会いが多い仕事をしている人。

このような状況では、一対一の会話ならともかく、一度に数人の初対面の人と話すのにはかなりの方が苦労するでしょう。かといって、名前を覚えることにばかり集中していては、会話がおろそかになってしまう可能性があり、それもなんとか回避したいところ。そこでこの記事では、「すぐに名前を覚えるための6ステップ」と「自然な会話が続くコツ」をご紹介します。

「視覚」「聴覚」「身体感覚」の3つの学習形態を組み合わせる

私たちが聞いた名前をすぐに覚えられないのは、聴覚の刺激だけに頼っていることが原因です。メモリー・コンサルタントのRoger Seip氏は、次のように、様々な知覚を組み合わせて人の名前と顔を覚える方法を提案しています。

外見的な特徴を見つける
初対面の人と会話を始めたら、まずゆっくりと相手の外見を観察し、何か目立った特徴を探しましょう。身長が高い、白髪、眼鏡をかけているなどの情報を集め、視覚的に相手の外見(特に顔))を記憶します。

会話の中で名前を呼び掛ける
次に、会話の中で相手の名前を発音します。例えば「初めまして○○様。今日はお足元が悪い中、お越しくださりありがとうございます、○○様」のように、何度か呼びかけながら握手などをすることで親密さが高まり、名前が記憶に残りやすくなるのです。

名前を何かに結び付けて視覚的なイメージをもつ
日本人の場合、だいたいの苗字・名前は聞いたことがあり、なじみがあるものですが、海外の人の名前はなかなか覚えられないこともあるでしょう。そんな時には、写真のようなイメージで名前のヒントを作ってみてください。例としてSeip氏は、「Rosalind」という名前を覚えたいときに「Rose on land」と近い音を当て、野に咲くバラを視覚的なイメージとして記憶する方法を紹介しています。外国人と出会う機会のあるビジネスパーソンの方は、試してみてはいかがでしょうか。

筆者は、日本人の名前にも、この方法を応用することはできると考えます。例えば、「佐藤さん」という人の名前を覚えたいとき。よくある名前なので、かえって忘れてしまうということもあるかもしれません。そんな時、佐藤は砂糖と同じ音なので、お砂糖のイメージと佐藤さんを結び付けてみてください。これなら覚えられそうですね。

イメージと顔を結び付ける
最初に見つけた身体的な特徴と、イメージとしてとらえた名前を反復し、それらを一致させます。特徴と名前を一致させれば、その後は相手の顔を見るだけで自然とイメージが浮かび、名前を思い出せるようになるでしょう。

例えば、先ほどの佐藤さんが笑顔の絶えない人であるとしたら、佐藤さんが砂糖をなめてニコニコしている、というように結び付けてみるといった具合です。

話の終わりにもう一度名前を呼ぶ
会話の最後に、ゆっくりと相手の名前を呼び、ダメ押しの記憶定着を行います。これで少なくとも、会話が終わった直後は相手の名前と顔が一致していることになります。

手を動かして書く
出会いのシーンが終わったら、あとで相手の名前を手帳などに書きましょう。そうすることで、書くという行為から身体感覚として名前を覚えることができます。

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共感力がスムーズな会話のカギ!?

さて、名前を覚えられないという問題が解決した後は、会話をスムーズに行う方法についても見てみましょう。会話を盛り上げたいのに失敗してしまい、かえって気まずい時間が流れてしまうことの原因の多くは、「上手く話そうとしすぎること」、「質問をして意見を引き出そうとしすぎること」にあります。それでは何に気を付ければ良いのでしょうか。

コミュニケーション教育を行う会社を経営し自身も教育活動や講演に携わっている野口敏氏は、著書の中で次のように述べています。

「聞く」とは、単に相手のいうことを理解するということだけではありません。会話には「話す」力よりも相手の気持ちを「慮る力」のほうが必要です。

(引用元:野口敏著(2009),『誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』,すばる舎.)

つまり、会話の中では、相手が伝えようとしている感情にいち早く気づき、それに対して共感を示すことが大切なのです。そうすることで、相手は「もっと話したい」と感じるようになるので、必然的に会話が実りあるものになります。

共感を伝える有効な方法は、「自己開示からつなげる」というやり方。相手の話題に対して、「自分にも同じような経験があって、あの時はとても恥ずかしかったんですよ」などと、当時の感情を交えて話すことで、「この人とは同じ感情を共有できている」という安心感を持ってもらうことができます。初対面の会話から、このように良い関係が築ければ、その後の交流もスムーズにいくに違いありません。

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相手の名前を覚えることも、共感することも、ちょっとした気遣いにすぎません。それでもしっかりできる人は多くはなく、デキるビジネスパーソンとしての印象に差がつきやすいポイントです。ぜひ上記のことを習慣にして、初対面の会話もこわくないと言えるようになりましょう。

(参考)
Roger Seip (2007), “Six steps to relieve the most common memory worry,” Sports Turf Manager, pp. 9-10.
野口敏著(2009),『誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』,すばる舎.