仕事でアイデアを求められることや、重要な意志決定を迫られることが多いビジネスパーソンですが、なかなかうまく考えることができないと悩む声もあります。そんなときには「なぜ?」「なぜ?」のパワーを活用することをおすすめします。

思考を妨げる原因を探り、「なぜ?」の効果と使い方を説明します。

思考が深まらない原因

私たちは仕事で日々考えることを求められています。では、それがうまくいかない原因はいったい何でしょう? それは曖昧であることです。

『ユダヤ式Why思考法』の著者・石角完爾氏は、「定義あっての非難・批判であり、定義が曖昧なまま議論するのは全く意味がない」といいます。そして、「感情で物事を処理しようとすると、思考が深まらない」とし、なおかつ「言葉の定義を明確にすることで、議論の物差しが明確になる」と著書のなかで述べています。言葉の解釈は人によって大きく違う場合があるので、それが曖昧なままでは議論までも不明瞭になるというわけです。

また、仕事に取り組むとき、人あるいは状況によって2つの思考タイプがあります。そのひとつは「逆算思考」。課題とゴールを先に想定し、そこへ到達するために必要なことを考え、どのように進めていくかアクションプランを立てて行動することです。目標や工程、未来のイメージが明確であることからモチベーションを上げやすく、成果も出しやすい思考法です。

もうひとつの「積み上げ思考」は、今できることをやり、その到達点をゴールとすることです。この場合、目標設定がないので“いずれ成果につながるだろう”といった思惑で仕事を進めるため、モチベーションは上がりにくくなります。もちろん、不景気といった先行きが不透明な時代には、柔軟性に長けたこの思考法も大いに役立ちます。

しかし、思考を深めるという論点において、どちらが良いかは明白です。ゴールが明確であれば「考えて行動」できますが、ゴールが曖昧ならば行動する際にも思考は浅いまま。

したがって、人が思考を深められなくなってしまう原因は「曖昧さ」なのです。

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「なぜ?」の効果

では、曖昧さをなくし、思考を深めるにはどうしたらいいのでしょう。そこでご紹介したいのが、「なぜ?」「なぜ?」のパワーの活用です。

トヨタ自動車の運用方式(トヨタ生産方式)のなかには、「なぜなぜ分析」というものがあります。これは、「なぜ?」という問いかけを繰り返し、問題を引き起こした要因を明確にしていく方法です。この分析は、同社以外のさまざまな現場でも活用されており、商品やサービスの改良、教育現場では「なぜ?」を繰り返し理解を深められるよう役立てられています。

また、大学教授・経営コンサルタントの西村克己氏は、著書『成功する人はみんな知っている スピード思考術』のなかで、「『Why?』を繰り返す習慣を身につけずに、物事の対策を考えようとすると対症療法になってしまう」といいます。それはつまり、物事の根本から考えるのではなく、目先のことだけに対処するということ。そして、「論理脳である左脳を鍛えるには、「Why?」と問いかけることが大切」だと伝えています。

石角完爾氏も、ユダヤ人の知的生産力が群を抜いている理由は、彼らが「なぜ?」「Why?」を徹底的に考えつくす民族だからとしています。

つまり、「なぜ?」と問いかけることは、思考を深めるということ。

アイザック・ニュートンが万有引力を思いついたのは、リンゴが木から落ちるのを見たからという逸話があります。その真偽の程はさておき、もしも彼がその事象に対し「なぜ?」と思わなければ、「別にリンゴが落ちるのは普通のこと」と思考は停止したまま。万有引力の法則は発見されなかったかもしれません。

「なぜ?」の効果は絶大なのです。

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「なぜ?」の上手な使い方

では実際に仕事で使う方法をご紹介します。例えばあなたの会社・部署の売り上げが伸び悩んでいる場合、以下のように活用します。

「売り上げが伸びない」→なぜ?
→「定番商品の動きが悪い」→なぜ?
→「数年前は売れ筋だったが今は類似品も多いから」→なぜ?
→「目新しくないから」「商品価値が下がったから」→なぜ?
→「他社に負けてしまうから」→なぜ?
→「マイナーチェンジが活かされていないから」「コストパフォーマンスが悪いから」

すると、定番商品の検討という論点が明白になり、【製品の改良、価格の見直し、あるいは廃番にして進化版をつくる】といったことを考えられます。

また、もしも次の定例会で何かアイデアを求められているなら、同じ部類の売れ筋商品、今目標にすべきコンペティターを思い浮かべてみましょう。その具体例を説明するために、今回は「オウンドメディアをうまく活かすためのアイデアを求められている」とします。

その際、思考を整理するために、なぜあなたの会社にはオウンドメディアが必要なのか? と改めて問いかけてみましょう。もちろん企業ならば売上アップが大前提ですが、もっと具体的に考えてみると→「商品やサービスの認知度を上げたい」「顧客との関係強化」「新規顧客の獲得」「マネタイズ戦略」といったさまざまな内容が出てくるはずです。すると、それを成功させているオウンドメディアをピックアップすることができます。そして問いかけます。

「●●●社はオウンドメディア経由の販売数が伸びている」→なぜ?
→「ビックワードで上位に表示される」「ECサイトへの誘導がスムーズ」→なぜ?
→「SEOキーワード選定がうまくできている」「自社サービス(商品)と関わりが深い良質な記事が多い」→なぜ?
→「ロングテールキーワードが盛り込まれている」「オウンドメディアの記事から誘導しているランディングページが魅力的」

といった具合に、さまざまな内容が出てきます。こうすることで思考が深まり、何をすべきかハッキリするでしょう。

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「なぜ?」のパワーを、ビジネスシーンで活用する方法をご紹介しました。この方法は、行き詰ったとき、悩んでしまったときにも活用できますよ。もちろん仕事でもプライベートでも。悩んでいるときは思考が停止していますが、問いかければ動き出します。よくいう「悩むな、考えろ」です! ぜひお試しください。

(参考)
西村克己著(2008),『成功する人はみんな知っている スピード思考術』 ,東洋経済新報社.
石角完爾著(2015),『ユダヤ式Why思考法』,日本能率協会マネジメントセンター.
Wikipedia|なぜなぜ分析
キャリアパーク|逆算思考・積み上げ思考の意味と仕事での活用法