その場その場に応じた、思わず聞きこんでしまうような話をいつもしてくれる人。そんな「トーク力」に恵まれた人が、あなたの周りに何人かいることと思います。相手を飽きさせない話のテクニックにしても、面白おかしい話の内容にしても、よくそんなに引き出しを持っているな、と感心させられますよね。そして、「自分にもトーク力があればなあ」と考える方は少なくないのではないでしょうか。

このようなトーク力に優れた人は、当然ですが様々な場面において有利です。なぜなら、初対面の人とすぐに打ち解けられたり、相手に顔や名前を覚えてもらいやすかったりするから。その結果、仕事がスムーズに進むことは多いでしょう。

では、どうすれば話し上手になることができるのでしょうか。今回は、しゃべりのプロであるお笑い芸人が実践するテクニックに注目して、話の「小ネタ」力を磨く方法を紹介していきます。特に、人と話す機会の多い営業職の方や接客業の方、スピーチなどで人前によく立つ方には必見のテクニックですよ。

小ネタはこんなに役に立つ

テレビ番組などで一流のお笑い芸人たちが話しているのを見ると、彼らは皆、日常のワンシーンを巧みに切り取り、面白おかしくそれを披露しています。漫才やコントのような芸を見ているわけではないのに、ぐっと引き込まれますよね。

お笑い芸人たちがそのような話ができるのは、話の小ネタをいくつもストックしているから。人を笑わせたり、知的好奇心を刺激したり、感動させたりするような短い話のネタを、たくさん持っているのです。

お笑い芸人でなくても、ちょっとした話のネタを持っておくと、いろいろな場面において役に立ちます。スピーチを求められて人前に立ったときや、何か面白い話をして場を盛り上げたいときなど、使い道は様々。また、出張先や部署異動した先、留学先など、誰も知り合いがおらず周囲に馴染みにくいような状況でも、ちょっとした小ネタを話したことがきっかけで親しくなれる、というようなこともあるでしょう。

コミュニケーションにおいては、相手の話をよく聞いたり、相手からうまく話を引き出したりするためのテクニックが強調されがちですが、やはり自分で話せるネタを豊富に持っていることは、非常に有利なのです。

しかし、お笑い芸人たちのように日常の中から小ネタをたくさん探そうとしても、たいていの場合うまくはいかないもの。だからといって、「自分にはトークの才能がないのだ」などとあきらめる必要はありません。

お笑い芸人たちに才能があるのは事実かもしれませんが、話のネタとして日常を切り取る巧みさは、長年の訓練による賜物なのです。つまり、一般の私たちでも小ネタを集める力を磨くことは可能だということ。そこで、小ネタを探す訓練の方法について、以下紹介していきます。

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まずは小ネタをストックしよう

テレビなどでお笑い芸人がしているトークは非常に面白いものばかりですが、その内容は意外にも日常的なことばかりではありませんか? 例えば「うちのおかんが~」とか「隣のおじさんが~」といったような話です。「自分の身の回りには、人の笑いを取ったり驚かせたりできるような出来事は多くない。お笑い芸人たちはさぞ面白い毎日を過ごしているのだろう」と思いますよね。

これは、彼らプロたちが面白い日常を過ごしているというのではなく、面白いことに対する感度が高いということ。つまり、ほんの些細なことでも面白く話せるよう、ネタを蓄えているということなのです。

ですから私たちも、上手に小ネタを集めるには、ちょっとしたことでもいいので人に話したくなることを(笑い話に限らず)見つけることが大切です。

そこで試していただきたいのが、ネタ帳を常に持ち歩き、書き込むこと。最初は1日1つ、人に話して面白いと思ってもらえそうな出来事を見つけて、ノートにそれを書き込んでおきましょう。また、本を読んだら、1冊につき1つ、人に話せる話題を見つけてください。ネタを探すという目的を頭の片隅におきながら本を読むようにすれば、本の内容を記憶したり自分の意見を考えたりしながら読むことが習慣になるでしょう。

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仕入れたネタをもとに話す練習をする

ネタ帳等を生かして、人に話したくなるような話題が用意できたら、次に、それを親しい人に披露してみてください。これは、話す内容をあまり練っていない状態のままスピーチなどの本番で話して、スベってしまうのを防ぐため。ちょうど、新しい料理を生み出した料理人が、まかないなどで同僚に食べさせて完成度を確認するのと似ています。

話の面白さは、落ちや内容だけで決まるものではありません。むしろ、話を伝える順番や抑揚などによって、面白くなるかならないかは決まってきます。例えば、伝える順番をほんの少し変えたり、ちょっとした情報を付け加えたりすることで、何でもないことが爆笑必至のネタになることもあるのです。逆に、自分にとっては面白く感じられた出来事も、何も考えずに時系列順に話しただけでは、相手には面白さが伝わらないことがあります。

ですから、どんな話題も、近しい友人に話してみて、反応を見ながら少しづつ抑揚や展開を編集していきましょう。そして、ネタとして十分に完成したら、人前で話すときなどに使ってください。そうした小ネタを20本程度ストックすることができたら、「自分は話題の引き出しが多い」という自信につながるはずです。また、話の内容をよく練っておくと、何か質問をされた時などにも当意即妙な対応ができ、ますます一目置かれる確率が高まります。

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自分で努力して磨き上げた話をもとに、人を笑わせたり感心させたりして何らかの感情を動かすことができれば、それは非常に楽しいものです。頑張って日常を切り取る力を磨いてください。

(参考)
齋藤孝著(2016),『恥をかかないスピーチ力』,筑摩書房.
クランクイン! | 俳優業が好調な今野浩喜、それでも芸人として“ネタ帳”を持ち続ける真意 
齋藤孝著(2010)『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』ダイヤモンド社.