苦手科目はなぜ苦手なのでしょうか。

テストの点数が低いから?
勉強しても理解できないから?

「苦手なものは苦手だから仕方ない」

本当にそうでしょうか。

もしかしたら、苦手科目が苦手なのは思い込みで、本当は苦手ではないという可能性もあります。
今回は、苦手科目が苦手であることを疑ったことがない人に向けてコラムを書いていきます。

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badge_Columns_100苦手意識のある科目よりももっとできない科目があった

私は英語がずっと苦手でした。(今も苦手ですが。)
中学生の頃に転校し、転校後の英語の方が転校前よりも進んでいたため、授業がとても難しく感じられました。
高校生になる頃には授業についていけるようになっていたのですが、転校直後に染み付いた英語への苦手意識はその後も消えることはありませんでした。

でも、実際に点数を比較してみると他の科目の方が低かったのです。

それにもかかわらず、私は英語への苦手意識をずっと持ち続けていました。
客観的に考えれば苦手ではない科目を、なぜ苦手だと思い込んでいたのでしょうか。

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badge_Columns_100あなたの脳も苦手だと思い込んでしまっている!

その理由は脳にあります。

脳には多くの情報が次々に入ってきます。
その情報を「先入観」や「思い込み」によって素早く処理しています。
そうしないと、日常生活に支障が出てしまうからです。
たとえば、目の前にあるものを、コップなのか紙なのか鉛筆なのかと、毎回疑っていたら大変です。
「これはコップだ」と一瞬で判断しないと、他の作業をする時間がなくなってしまいます。

脳の思い込みが強いことを示す面白い実験があります。
ウィスコンシン大学のニツケ博士は、43人の被験者に対し、味に関する実験をしました。
それは、ブドウ糖のような甘い化合物や、キニーネ(植物成分の一種)のような苦い薬物を様々な濃度で与えるというものです。
そして、被験者がどれほど快く感じたか、もしくはどれほど不快に感じたかを質問しました。
同時に、「第一次味覚野」という大脳皮質の活動をモニターしました。
第一次味覚野は、舌で感知した味覚情報を最初に処理する部分です。

ニツケ博士は化合物を与える前に、「とても不快」や「少し不快」などと、それがどんな味なのかを教えました。
教えた内容には時々ウソの情報も含まれています。

結果はどうだったと思いますか?

なんと、とても濃いキニーネなのに、「少し不快」というウソの情報が与えられると、第一次味覚野は本来の苦さに比べて弱い反応しか示さなかったのです。
被験者にどんな味だったかを聞いてみても、その味の苦さを低く評価しました。
逆に「とても不快」という(正しい)情報を与えてから、実際にとても苦いキニーネを舐めてもらうと、「第一次味覚野」の活動は強まりました。同じ味をより一層苦く感じたのです。

甘さに関しても、苦さほどではありませんが、ほぼ同じような傾向が見られました。

この実験から、脳は思い込みによって本来の通りに正しく味を評価することができないことがわかります。

脳の思い込みは、非常に強いのです。

さて、話を苦手意識へ戻します。
皆さんが苦手だと思っている科目は、本当に苦手科目なのでしょうか。
本当は苦手ではないのに、苦手だと思い込んではいませんか。

badge_Columns_100苦手意識は思い込みかもしれないと疑ってみよう!

苦手意識が思い込みかどうかを調べるために、まずはテストの点数を比較してみましょう。

苦手だと思っていた科目が、意外と高得点をとっている可能性があります。
その場合、苦手意識は思い込みだと言えるでしょう。
もちろん、それは苦手であるがゆえに一生懸命勉強し、結果的に高い点数をとることができたケースなのかもしれませんが、それはそれで苦手を克服したと言えるのではないでしょうか。

テストの点数を比較してみて、実際に苦手科目の点数が低かった場合、「ほら、やっぱり苦手なんだ」と思うのは早合点です。

苦手科目の勉強時間を思い出してください。

他の科目より圧倒的に勉強時間が短いのなら、テストの点数が低いのは、苦手だからというより、勉強不足だから、というべきです。
苦手なのではなく、好きではないから(もしくは嫌いだから)勉強時間が短くなり、理解が進んでいない可能性があります。
その場合、他の科目と同じくらい勉強すれば、点数を比較しても苦手とは言えない成績になると考えられます。

苦手意識のせいで勉強がはかどらない人は、その苦手意識が思い込みである可能性を疑ってみましょう。
実は苦手ではなく思い込みだったことが判明すれば、苦手科目が得意科目に変わるかもしれませんよ!

参考文献
池谷裕二、2010年『脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?―』新潮文庫
Nitschke JB, Dixon GE, Sarinopoulos I, Short SJ, Cohen JD, Smith EE, Kosslyn SM, Rose RM, Davidson RJ. Altering expectancy dampens neural response to aversive taste in primary taste cortex. Nat Neurosci 9:435-442, 2006.


東京大学文学部行動文化学科社会学専修課程。ノートルダム清心高校卒業。大学ではセクシュアリティについて勉強している。忍者が好き。服のセンスとユーモアのセンスがほしい。