受験が近づいてくると、受験生はみんな焦りはじめる。大勝負に挑むわけだから当然。もっと早く、もっと効率的に、と考えてしまうのは仕方ないこと。でも、そんな時絶対にやってはいけないことがある。

それは「複数の勉強を同時にやること」だ。
これは何も、複数の科目を、というわけじゃない。同じ科目であっても、する時は一つのことに集中しなきゃいけないのだ。

たとえば英語。長文問題を解いていてわからない単語があったから辞書を読み、単語の意味を調べて手帳にまとめる。ついでにその単語の語法まで確認しちゃう…

一見、細かく学習して熱心だと思うかもしれない。でも考えてほしい。長文、辞書検索、単語まとめ、語法確認、という四つのタスクを同時にやっていることに。これが「マルチタスク」だ。

語法の確認まで終わったら長文に戻ってみよう。あれ?どこまで読んだんだっけ?こんなこと、簡単に想像できる。今回は、マルチタスクがなぜ良くないのかを科学的に検証しよう。

badge_Columns_100マルチタスクは脳の構造を変化させる

イギリス、サセックス大学の認知科学センターの研究者たちは、75人の成人の脳をMRIで測定した。するとその中でも、事前のインタビューで「スマホやPC、その他のメディアを同時に使う頻度が高い」とした被験者の方が、脳の中でも認知機能などを司る部位の「灰白質」の密度が小さかったという。

「灰白質」、というのは脳の中でも神経細胞が特に集合している部分。細長い神経細胞のうち、核となる部分が集合しているため、繊維ばかりが詰まった「白質」よりも色が濃く見えているのだ。

脳のうち、神経がぎっしり詰まった部分が小さくなってしまう…
まだ完全な関連性があきらかになったわけではないが、「マルチタスクの脳に与える影響は確かだ」と研究員は話している。

他にも、カルフォルニア大学のギャザレー氏の研究では、人間は年齢を重ねるほど、作業と作業の間を行き来した時、何をしていたか忘れやすくなってしまうということがわかっている。

ひょっとすると、人間の脳は「一度にたくさんのことをする」ようにはできていないのかも。

st-ec
90日でTOEIC910点! 英語が聞けない僕にパーソナルトレーナーが教えてくれた「音読のきほん」
人気記事

badge_Columns_100「ふせん」を利用してマルチタスクを回避しよう

じゃあ、どうすればいいのだろうか。筆者がおすすめしたいのは、「ふせん」を使うこと。一度にたくさんのことをやるから脳がパンクしてしまうのだ。だったら、できないことは紙に覚えさせておけばいい!

うっ…この単語、この熟語、なんだっけ…となったら、すぐにふせんにメモ。調べたり、まとめたりするのは後回しにして、ペタッと貼っておこう。そうしたらそのまま長文問題を続行。集中して取り組み、丸付けまで終わったら、初めてふせんを見返すのだ。

こうすれば、同時に複数の作業をこなす必要も無いし、だからといってできなかったところを見逃してしまう恐れもない。

英語だけじゃない。数学でも、国語でも、今やっている勉強から少しでも脇道にそれそうなことが登場したら、すぐにふせんをペタり。この習慣をつけてみよう。ふせんがいっぱいはみ出した参考書を机に積んでおくと、勉強した実感もわいてきて、一石二鳥だ。

おすすめは、書くスペースが大きくとってある紙のふせん。プラスチックのふせんも売られているが、シャーペンでは書き込むことができない。すぐにメモる必要があるのに、ペンを持ち替えないといけないのは面倒だ。

fusen_2

***

今は便利な機器がいっぱいあって、何でもかんでも同時にできてしまう。TVでAKBを見ながらスマホでメールを確認し、友達からのLINEに返信したついでに「大島優子かわいい」なんてツイートすることもできる。

でも、勉強の時はちょっと待って。机の上をきれいにして、一つのことに集中しよう。最大限のパフォーマンスが発揮できるはずだ。

参考
News and events : University of Sussex
UCSF Study on Multitasking Reveals Switching Glitch in Aging Brain


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。