みなさんは、勉強をする時どのように教科書と向き合っていますか?
難しい内容の教科書や参考書は一度読んだだけでは理解できないことが多いもの。一度読むだけで理解をして、さらに記憶を長持ちさせることができる、そんな方法があればうれしいことですね。
そこで今回、私がおすすめするのが「音読」です。黙読と比べると時間がかかってしまうのですが、頭への残り具合が断然違ってきます。今回は、そんな音読の3つの効果について紹介します。
五感をフル活用
黙読するだけだと「目」しか使いませんが、音読することによって、目で見て、口を使って声を出して、耳で聞くことになるので、黙読の時よりも多くの感覚が使われます。
発声することで、文字情報を音の情報に変換する作業が加わります。さらに、「手」を使って書いておくと、刺激をフル活用することになり、より効果が得られるでしょう。
たくさんの機能を使うことによって、さまざまな部位が刺激され、脳は活性化していきます。
1.理解度UP
黙読していると、なんとなく「読めた」というレベルで先に進んでしまいがちですが、音読しながら読むと、わからないところがはっきりとわかるので立ち止まって考えるきっかけが生まれやすくなります。
また、黙読による情報の純粋なインプットに比べ、声として音にすること、その音を聞くことが加わることで、情報が2度多く行き来することになります。繰り返しが増えることで定着度は高まっていくことでしょう。
2.集中力UP
ぼーっとしていると眠気が襲ってきてしまうことありますが、喋っていて寝てしまったということはよっぽど疲れていない限りありませんよね。つまり、口に出して読むことは、眠気防止につながるのです。立ったり、歩きながら音読するとさらに眠気防止の効果が高まります。
また、口を動かすことによって脳の運動野も刺激されるので集中力が高まります。自分の声を聞いているため、周りの音に注意が行ってしまうことを防ぎます。理解できない点をじっくり考えることもまた、集中を高めてくれるでしょう。
3.記憶力UP
脳が活発に動くと、「たくさん」の情報を「長い」期間保持することができるようになります。音読で脳を活性化させることで、記憶に定着させる手助けをしてくれます。
2015年にモンテリオール大学が行った研究によれば、ただ音読するだけでなく、「人に向かって」音読することでさらに記憶力を高めることができるそうですよ。相手に向かって音読することでコミュニケーションが発生します。人に話したことはエピソードの記憶として残るため、長く記憶できると考えられるのです。
*** 音読することで、ただ理解度が上がるだけでなく、じっくりと考えることができ、さらに集中力を高め、記憶を強固なものにしてくれます。何度黙読しても覚えられなかった人は、声を出して、脳を活性化させることによって、記憶に定着させる音読を試してみてください。音読のすごさが実感できるはずです。
(参考) 高橋麻衣子(2007), 『文理解における黙読と音読の認知過程―注意資源と音韻変換の役割に注目して―』, 教育心理学研究, 第55巻, 第4号, 538-549 Science News|Repeating aloud to another person boosts recall Alexis Lafleur, Victor J. Boucher. (2015), ‘’The ecology of self-monitoring effects on memory of verbal productions: Does speaking to someone make a difference?,’’ Consciousness and Cognition, Vol. 36, pp.139–146.