みなさんは、自分なりの意見を言ったり、質問をしたりするのが得意でしょうか。例えば、講演の最後に感想や質問を求められたときや、映画や本に関する意見を求められたとき、とっさに気の利いたことを言うことができますか。

この問いに対して、「自分はコメントや質問をするのが得意だ」と答えられる人は、あまりいないのではないかと思います。

コメントを求められても、月並みなことしか言えない。質問などを求められても、特に思いつくことがない。もしくは、聞きたいことがあってもそれを聞く勇気が起きない。こうした悩みは、実に多くの人が抱えているものでしょう。

実際、自分しか持ちえない、オリジナリティに溢れる感想や意見を持つことは、それほど容易なことではありません。ですから、キラリと光る意見を言おうとするならそれなりに時間がかかります。しかし、あなたが頭の中で一生懸命考えていたとしても、何も言わないまま時間だけが経過してしまえば、あなたは周囲から頭がよくないと思われたり「考えていない人だ」というレッテルを張られたりしてしまう可能性があるのです。

このようにして悪い評価を得てしまうのは避けたいものですよね。そのために、上手に感想を述べたり気の利いた質問をしたりするには、いくつかのコツを知り、それを使いこなすことが必要です。この記事では、コメント力を鍛え、よく考えているなと一目置かれるようになるための方法を提案していきます。

視点を複数化し、脳内でディベートをする

コメントを述べるにあたって大切なことのひとつが、コメントを求められたら即座に何かを言うことだといえます。考える時間が数秒ならまだしも、10秒も20秒も間が空いてしまっては不自然です。

しかし、素早く発言しさえすればよいというわけではありません。いくら反応が早くても、言っていることが陳腐であればコメントを求めた人はがっかりするでしょう。それを避けるには、コメントすることを前提に、あらかじめきちんと考えておくことが必要です。

そのために役立つ方法として強くお勧めするのが、脳内でディベートを行うことです。ディベートとは、ある一つの命題について、賛成と反対に分かれ、論理的に説明・反論するというもの。これを自分の頭の中で、コメントするべき事柄に関して行うのです。

例えば、何か感動的な本を読んだら、「この本について意見を求められたらどのように述べるべきか」を、脳内ディベートによって考えてみてください。自分が感動したポイントについて、「それは別に感動するポイントではないのではないか」というような反論や、「感動するポイントは本当はこういうところであろう」とうような討論を、脳内で行うのです。

「主人公が危機を乗り越えたシーンが感動的だった」と思ったとしたら、「いや、シーン自体ではなく、そこに至るまでの紆余曲折や、感情のもつれが印象深いポイントだ」というような反論をしてみます。そしてさらに、それに対して反論や主張を重ねてみましょう。

このようにしてあらかじめ頭の中で討論を行っておくと、その本に対する考えは確実に深まるはず。脳内ディベートでたどった思考のプロセスを語ることで、十分に厚みのあるコメントを、求められたときに即座に述べることができるようになるのです。

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あらかじめ知識をインプットしておく

ユニークな意見や鋭い質問を思いつくには、そのための素材(前提知識)が必要であることがほとんどです。どんなに頭の回転が速い人であっても、自分が全く知識を持っていない分野に関しては、あまり深いことは言えないはずですよね。

例えば、あなたが海外の支社に数週間の出張をすることになったとしましょう。帰国後は、出張報告について社内で講演することが決まっています。そうしたら、本や映画などでその国に関する文化的な知識をインプットしたり、前もって現地の支社の人と連絡を取るなどして、現地の情勢や課題などについて調べておきましょう。さらに、出張に行く前の段階での仮説や疑問などをいくつか考えておくのです。

そうしておくと、実際に出張に行った場では、知識をもとにした理解を体験によって裏付けることができ、より理解を深めることができます。あらかじめ考えていた仮説が、実は違うと判明したり、疑問に思っていたことが解消されたりするはず。こうした理解のプロセスが、そのままあなたオリジナルの意見となるのです。

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何も意見が思い浮かばないときは

しかし、意見を求められたり質問はないかと聞かれたりするのは、必ずしもここまで述べてきたような準備ができているときばかりではないでしょう。むしろ、突然聞かれてとっさに応えられないから困る、ということのほうが多いはずです。

そのようなときは、コメントを求められている主旨から多少外れる可能性があったとしても、自分が常々考えていることや、個人的な体験から思ったことに関連させて、思ったことを率直に発言してみましょう。

「さっき○○さんが言っていたこと、どう思った?」と上司に突然聞かれたとき。「今朝報道されていた○○のニュース、どう思う?」と取引先の人に意見を求められたとき。何も意見を用意していないような場合でも、自分の個人的な考えや経験にうまく絡めながらコメントを述べるようにすれば、思った以上に相手から興味関心を持ってもらえるかもしれませんよ。

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自分なりの意見や質問を考えるということは、自分に対する周囲からの評価を高めるだけでなく、理解力や思考力を鍛えるうえでも非常に有効です。オリジナリティあるコメントを考えられるようになったら、最後はそれを実際に発言する勇気が必要。勇気を振り絞って、ぜひ発言してみてください。

(参考)
齋藤孝著(2016),『恥をかかないスピーチ力』,筑摩書房.
芝本秀徳著(2016),『誰も教えてくれない 質問するスキル』,日経BP社.
イアン・レズリー著,須川綾子訳(2016),『子どもは40000回質問する あなたの人生を創る「好奇心」の驚くべき力』,光文社.