「あ、緊張している…」 プレゼンの直前、手が震えていることに気づいた。その瞬間、頭が真っ白に。あとは何を話しているのか全くわからず、我に返ったのは全て終わったあと。何をしゃべったのか、何を聞かれたのかほとんど記憶に残っていない……。
みなさんは、こういった経験をしたことがありますか? プレゼンでなくても、どこかで緊張したことはあるはずです。このようにならないためにも、私たちには強いメンタルが必要でしょう。では、どのようにすれば強いメンタルを手に入れられるのでしょうか?
メンタルが身体の状態を左右することを熟知しているスポーツ選手たちは、メンタルの鍛え方についてとても深く考えています。そこで今回は、強いメンタルの手に入れ方をスポーツ選手から学びたいと思います。
自分に焦点を当てられる選手はメンタルが強い
そもそも、メンタルが強い選手と弱い選手の間にはどのような違いがあるのでしょうか?
スポーツ心理学博士である布施努さんは、メンタルが強い選手には次のような力が備わっていると評します。
周囲に影響されず、自分が勝つためにできること冷静に判断してそれを実行できるかなんです。
(引用元:iRONNA|スポーツ心理学で読み解く羽生結弦「最強メンタル」の秘訣)
自分がやるべきことを明確にして、その目標だけを達成できるように行動できれば、どのような場面においても自分の力を発揮することができます。例えばプレゼンテーションなら、他人がどのようなプレゼンをしても「自分の意見を相手に理解してもらうこと」だけを意識してプレゼンを行うということです。
強いメンタルを引き出した「発明ノート」
では、何をすれば、このような自己コントロール力が身につくのでしょうか?
メンタルが強いことで知られるフィギュアスケートの羽生結弦選手は、寝る前に「発明ノート」を書いてきたといいます。「発明ノート」とは、練習で気になったことや、思いついたことを書き残す、練習日誌のこと。
この練習日誌を書くことによって、自分の良いところや駄目なところと正面から向き合うことができます。それを毎日行うことによって、自分の成長に焦点を当てられるようになるのです。
なぜ、「発明ノート」が彼の強さを引き出したのか? (中略)それは「書く」という行為が、自分と向き合い、自己受容(セルフアクセプタンスself-acceptance)につながるからに他ならない。自己受容とは、自分の良いところも悪いところもしっかりと見つめ、普通であれば目をつむりたくなるような、情けなく不甲斐ない自分であっても、正面から向き合う感覚のこと。
(引用元:Yahoo! ニュース|「羽生選手の金」を引き出した“運命ノート”の効果とは?)
練習日記の書き方
メンタルトレーニングコンサルタントの大儀見浩介さんによれば、練習日誌には次のようなことを書くとよいといいます。
・目標と取り組み ・練習での出来事(うまくいったこと、いかなかったこと) ・発見、気づき、プレーのアイデア
(引用元:テレビステーション|[8]練習日誌を書こう)
では、実際に「プレゼンテーションの際、緊張するのをやめたい」場合の練習日誌について考えてみましょう。
1. プレゼンテーションで目標とすることを決める 「専門知識がない人にも、自分の考えを理解してもらう」など、具体的な目標のほうがやるべきことがはっきりとして、達成しやすくなるでしょう。
2. 目標に対する自分の取り組みを書く 「専門用語は1スライドに3つまで」など、自分が行った工夫を書きます。
3. 練習で何が起こったのか書き残す 「使い慣れない言葉ばかりで、何度も詰まってしまった」「友人に聞いてもらったら、説明が長くて逆にわかりづらいといわれた」など、自分の工夫の結果どうなったのかを書きます。このとき、悪かった点だけでなく「スライドはシンプルでわかりやすかった」など、ポジティブな結果も書きましょう。
4. 改善案・気づきなどを書く 「普段から説明のときには簡単な言葉を使うようにしたほうがいいのでは?」「話す内容を記憶してから練習しよう」など、練習の気づきや次の練習で気をつけるべき改善点について書きます。
このように「○○をしたから××になったのではないか?」と因果関係を考えることで、より良い改善点が見つかりますよ。
*** 普段から日記に書いた目標を達成、徹底することで、大舞台になっても「自分のやるべきことをやるだけ」という意識を持つことができます。この考え方こそが、強いメンタルにつながるのですね。
みなさんも練習日記で強いメンタルを手に入れましょう。
(参考) DIAMOND online|日本人の「メンタルが弱い」のはなぜか? iRONNA|スポーツ心理学で読み解く羽生結弦「最強メンタル」の秘訣 テレビステーション|[8]練習日誌を書こう YOMIURI ONLINE|羽生結弦の強さの秘訣 “発明ノート”とは?~トップアスリートが実践するメンタル・メソッドの効果 Yahoo! ニュース|「羽生選手の金」を引き出した“運命ノート”の効果とは?