ビジネスパーソンなら、プレゼンを行う機会は多少なりともあるはずです。しかしながら、プレゼンが得意だという人はなかなかいないのではないでしょうか。
それもそのはず。プレゼンは準備から発表に至るまで、自分の持つあらゆる能力を総動員しなければならないからです。とくに慣れていない人は、どこに気をつければよいのかがわからず、うまくいかないことも多いでしょう。
そこで今回は、これまでStudyHackerで紹介された記事も参考にしつつ、プレゼンを成功させるためのコツを3つの面からお伝えしたいと思います。
“つかみ”で聴き手を惹きつける
日経ビジネススクールの講師であるショーケース・ティービー取締役COOの永田豊志氏によれば、プレゼンのイントロ部分、つまり「つかみ」はとても大事なのだそう。ここで聴き手の興味を惹けるかどうかで、その後の聴き手の食いつき方は驚くほど違ってくるのです。それでは、つかみに関するコツを見ていきましょう。
1.あいさつは明るく爽やかに プレゼンに限らず挨拶はとても重要です。第一印象というものは、その人のイメージに大きく影響します。ハキハキとあいさつすることはもちろん、身だしなみを整えておくことも忘れずに。
2.名前ネタで興味をもたせる ずっと張り詰めた状態のプレゼンは、話し手も聴き手も疲れてしまいます。そこで登場する「名前ネタ」は、最初に場を盛り上げるためのブレークみたいなものです。自己紹介をした流れで、自分の名前をネタにして話してみましょう。例えば、「名前は太郎ですが見ての通り食べても食べても太れないんです」というように、一度場を和ませることで距離が縮まり、聴き手が内容に入っていきやすくなります。
3.シンプルな概要説明 プレゼンで何が言いたいかがわかるよう、シンプルにまとめることも大切です。「今日はAとBについて論じ、両者を比較した後に結論に入ります。時間は約30分を想定しています」というように、論展開を単純化して示すことで、聴き手は内容を追いやすくなるのです。
相手の印象に残るための話し方
印象に残らないスピーチとはどのようなものでしょうか? おそらく以下のような特徴があるはずです。
・単調である ・言いたいことが伝わらない ・具体性が欠けている
単調なスピーチが続くと、聴き手は飽きてしまいます。いくら内容が素晴らしくても聴き手のモチベーションが下がってしまっては、良いプレゼンとは言えません。そして、何が言いたいかわからないプレゼンも印象には残りませんよね。話がまとまらないプレゼンは聴き手を混乱させるだけです。
また、具体性のないプレゼンとは、「イノベーションを起こそう」というような抽象的なことばかり述べているプレゼンのことです。これでは聴き手は実際にどうしたらよいのかわからず、うやむやになって終わってしまいます。
では、印象に残るスピーチをするにはどうすればいいのでしょうか? 答えは簡単です。上の3つの特徴の逆となるような方法を実践すればいいのです。その具体的な方法をお教えします。
1.相手に話しかけるように行う 聴き手に話しかけるようにプレゼンを行うことで、単調さをある程度なくすことができます。例えば導入部分で「○○についてご存知ですか?」と尋ねてみたり、強調したいポイントで声を大きくしたりすると効果的です。さらに余裕がある人は、話すスピードに緩急をつけてみてもいいでしょう。言葉に重みが生まれて、相手を引き込む「間」を生み出すこともできます。
2.キーワードを繰り返す 物事を相手に伝えるのに一番効果的な方法は、「繰り返す」ことです。それも、できればコンパクトに。前アメリカ大統領オバマ氏の演説の代名詞である「Yes We Can.」を思い出してください。よりコンパクトな文言を繰り返すほど、相手に強烈なメッセージとして伝わっていくのです。ストレートかつコンパクトな言葉で、伝えたいことを繰り返してみましょう。
3.具体性を持たせる 「イノベーションを起こそう」という言葉と、「今まで誰も目をつけていなかった部分にも積極的に目を向けてチャンスを広げよう」という言葉では、後者の方が圧倒的にわかりやすいですよね。このように、具体的な説明は相手にイメージしてもらいやすく、説得力が増します。効果的な例えはないか、「東京ドーム〇個分」といったわかりやすい数字はないか、などを考えながらプレゼンの原稿を作成していきましょう。
見やすいスライド資料を作る
プレゼンにおいて、話し方と同じく重要なのが資料です。そしてこの資料も、コツを押さえることでより伝わる内容に仕上げることができます。では、資料の作り方のコツについて見ていきましょう。
1.まずはアウトラインを作成する 相手に理解してもらうためには、筋道の通った論展開が必要です。起承転結を意識してアウトラインを作成してみましょう。この段階でアウトラインを同僚に見せてみて、伝わるかどうか確認するのとよいかもしれませんね。
2.文面を効果的に仕上げる ここでご紹介するのは「文字」に関する2つのテクニック。そのテクニックとは、端的に言えば「長文にしない」と「強弱をつける」というものです。
「長文にしない」とはつまり、資料内の一文の字数を制限して簡潔にするというものです。具体的には、18以上のフォントで1行に収めることを心がけると、30文字前後に文字数を抑えることができ、自然と簡潔な文面が作れます。
次の「強弱をつける」は、強調したい文や数字のフォントサイズを大きくすることを意味します。例えば、「人間の体の約60%は水でできている」という文の「60%」を他の部分より大きくします。すると、全体の中でどこが強調されているのか一目でわかる資料となります。
3.配色の割合を工夫する スライドを作るとき、配色が効果的なものになるよう意識していますか? 基本的に、スライド資料で用いる適切な色の数は3色とされています。これは、色が多すぎて見づらくなったり、逆に少なくて寂しくなったりしないのが3色だからです。さらに、それぞれの色には以下のような役割が当てられます。
ベースカラー:資料の背景色として使用する色 メインカラー:見出しや主張したい内容など、資料の要所に使用する色 アクセントカラー:とくに注目してもらいたい内容や、注意書きなどに使用する色
例えばベースカラーを白、メインカラーを青、アクセントカラーを赤にすれば、まとまりのある印象になります。アクセントカラー>メインカラー>ベースカラーの順で目立つ色にすれば、見栄えの良い資料を作ることができるでしょう。
*** プレゼンとは本当に奥が深いものだと思います。この記事を参考にしてプレゼンスキルが磨かれることで、プレゼンに対する苦手意識が少しでも払拭されるよう願っています。
(参考) ITmedia エンタープライズ|ナレッジワーキング!!:残念なプレゼンは、なぜ眠くなるのか? ITmedia エンタープライズ|プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術:はじめに全体像―イントロダクションの基本 ダイヤモンド・オンライン|姓だけ名乗っていてはダメ!プレゼンを印象付ける正しい「自己紹介」の仕方 プレゼンの上手な話し方 StudyHacker|良いプレゼンは “つかみ” がうまい。聞き手の興味を惹きつける “つかみ” 4つのテクニック 日経ウーマンオンライン|聞き手の心をつかむ、たった9つのテクニック Daijob.com|なぜ日本人はスピーチ・プレゼンが下手なのか? 東洋経済オンライン|「つまらない挨拶」から卒業するための3法則 StudyHacker|たった3つで上手くなる。心を動かすスピーチのための「話し方のきほん」 StudyHacker|スライド資料はプレゼンの命。“伝わるプレゼン” をするための『資料作成術』