ビジネスパーソンにプレゼンテーションのスキルは必要不可欠です。しかし、苦手意識をもつ人は決して少なくありません。なおさら「つかみ」でくじけると、本題に入る前から失敗した気分に……。

そこで今回は、なぜプレゼンテーションがうまくいかないのかを探り、その「つかみ」を成功させるテクニックを紹介します。

プレゼンはなぜうまくいかないのか

日経ビジネススクールで講師を行っている、ショーケース・ティービー 取締役COOの永田豊志氏は、残念なプレゼンテーション(以下プレゼン)は以下の3つが特徴だと述べています。

「分かりづらい」「具体的でない」「面白くない」

なんともプレゼン下手な筆者には耳の痛い表現ですが、これらを克服してプレゼンできれば大成功間違いなしとのこと。また、プレゼンを失敗する要因として、「いかに素晴らしいプレゼン用のスライドができるか」といったことばかりに集中して精魂を込めすぎることや、「プレゼンがうまいと思われたい」という意識が前のめりになり、聴き手の一番知りたいポイントを無視し、話し手の視点で提案してしまうことなどをあげています。

ジーン・ゼラズニー氏も著書『マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術』のなかで、「プレゼンの目的は『聴き手に提案を実行するよう説得する』ことであり、プレゼンの“美しさ”や“流暢さ”はあくまでおまけだ」と伝えています。つまり、日々プレゼンを成功させているプロフェッショナルは常に、

「明確で分かりやすい」「聴き手の立場に立つ」「聴き手を説得する」

といったことに気を配りプレゼンを行っているのです。なおかつ永田豊志氏は、引き込まれるプレゼンはイントロダクションが優れているといいます。

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プレゼンは「つかみ」が重要

プレゼンにおいて導入部分となる「あいさつ」「自己紹介」「概要の説明」はとても重要です。多くの人はこの部分で、その提案に対する姿勢を決めると永田豊志氏は述べています。これがうまくいかないと、気持ちが離れた人を後々話に引き込んでいくのは困難なのだとか。ことわざにもあるように「はじめよければ終わりよし」なのです。

ポイントは、いかに聴き手の興味を引けるか。「面白そう」「気になる」と思わせることが肝心です。それによって聴き手のモチベーションがグンと変わります。要点は以下のとおりです。

・「あいさつは、明るくさわやかに」→基本
・「自己紹介はフルネームで」→親近感がわく
・「自己紹介の合間にちょっとしたエピソード」→聴き手を惹きつける
・「テーマと目的を簡潔に伝える」→何について話すのかを知ってもらう
・「全体の構成とおおよその時間を伝える」→聴き手の心構えができる

これらを踏まえて、次にプレゼンの「つかみ」のコツをお伝えします。

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プレゼンの「つかみ」の技術1――スタートの間

あいさつにもコツがあります。例えば「みなさん、おはようございます。本日はプレゼンテーションの機会をいただきまして、誠にありがとうございます」といった最初のあいさつは、もちろん“明るくさわやか”が基本です。

なおかつ、C.N.S株式会社・話し方研究所会長の福田健氏は、その前後に「スタートの間」という2~3秒の間を入れることをすすめています。こうすることで自分の気持を整え、聴衆の意識をこちらに向けさせるのだそうです。

プレゼンの「つかみ」の技術2――名前ネタ

そして次が自己紹介。プレゼンに慣れている人であれば、自己紹介の際に聴き手の関心を引くトピックを提供するのはお手のものでしょう。しかし、苦手な人だとそれだけで頭がいっぱいになってしまいます。そこでフルネーム自己紹介が役立ちます。会社名や部署、フルネームを告げたあと、自分の名前の漢字を説明したり、印象にまつわる話をしたりするのです。

例えば勇ましい名前の男性であれば「こんな勇ましい名前の私ですが、実はお菓子作りが大好きです」とか、珍しい漢字や読み方の名前であれば「いつも○○○と読まれてしまいますが、私は○○○です」とインパクトを与えられます。

プレゼンの「つかみ」の技術3――シンプル

概要の説明は、シンプルに、分かりやすくがコツ。とにかく聴き手が安心してプレゼンに集中できるよう、これからの内容をおおむね把握してもらうことが肝心なのです。極端に言えば、アップルのスティーブ・ジョブズ氏のように、「今日は3つの革命的な新製品を発表します」ぐらいシンプルで良いのです。

そして、「今日は3部構成でお話しします。まず最初に(簡潔なテーマA)、次に(簡潔なテーマB)、最後に(簡潔なテーマB)です。所要時間はおよそ1時間です」といった具合に伝えるといいでしょう。

プレゼンの「つかみ」の技術4――パワーポーズ

最後は番外編。プレゼンの緊張を少しでも軽減するため、プレゼン前に行うことです。ハーバード大学の社会心理学者エイミー・カディ(Amy Cuddy)教授は、ボディランゲージが人をつくるとTEDで発表しました。

エイミー・カディ教授が行った実験で、腰に手をあてて胸を張り仁王立ちしたり、椅子に足を組んで座り両手を頭の後ろにあて、反りかえるようにしたりといった、まるで威張っているかのような「パワーポーズ」をたった2分間行うことで、支配性ホルモンのテストステロンが上昇し、ストレスホルモンの コルチゾールが減少することが分かったそうです。

つまり、パワーポーズが人の脳に自信を与えるということ。ぜひプレゼンに自信のない方は、発表前にお試しくださいね。

***
日本人は自分たちがプレゼン下手だと感じています。しかし、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』の著者、カーマイン・ガロ氏は「果たして、本当にそうでしょうか?」といいます。

「TEDは世界のプレゼンテーションのゴールドスタンダードだ」というガロ氏いわく、オリンピック招致委員会での日本人によるプレゼンがTED流であったとのこと。なんだか嬉しい話ではありませんか。私たちも自信をもってプレゼンの効果的な「つかみ」をマスターしましょう!

(参考)
ITmedia エンタープライズ|ナレッジワーキング!!:残念なプレゼンは、なぜ眠くなるのか?
ITmedia エンタープライズ|プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術:はじめに全体像――イントロダクションの基本
LISKUL|プレゼンでもう失敗しない!初心者が注意すべきポイントまとめ
日経ビジネスオンライン|日本人はプレゼン下手? そんなことはありません
SmartClick|つかみが大事! プレゼンのはじめ方とまとめ方
ダイヤモンド・オンライン|姓だけ名乗っていてはダメ!プレゼンを印象付ける正しい「自己紹介」の仕方 プレゼンの上手な話し方
ジーン・ゼラズニー著,数江良一著,菅野誠二著,大崎朋子著(2004),『マッキンゼー流 プレゼンテーションの技術』,東洋経済新報社.