「同じことを言っているはずなのに、あの人の方が説得力がある」
そう感じたことはありませんか?

実際に、同じことを習っているのに先生によって印象が違い、その結果勉強の意欲が変わってきた、という話もよく耳にします。このような現象には、「処理流暢性」というものが影響していることが近年の研究で明らかになっています。

説得力を左右する「処理流暢性」とは、一体どのようなものなのでしょうか?

処理流暢性とは

処理流暢性とは、人間があるものを見たり、聞いたりしたとき、脳がそれをどの程度素早く処理できるか、ということ。

例えば、文章の中で難しい単語が出てきても、よく目にする単語ならば素早く意味を理解できます。一方で、意味は分かるけどあまり見たことがない単語であれば、理解するのに少し時間がかかるはず。この場合、前者は処理流暢性が高く、後者は低いという風に表現します。

他にも、文字がかすれて読みにくければ処理流暢性が下がったり、逆に読みやすい文字で印刷されたものは処理流暢性が高くなったりします。この性質は簡単に上下するものなのです。

そう言ってしまうと「なんだ、認識のスピードの話か」と思うかもしれませんが、それだけではありません。実はこの性質が人間の判断にまで大きな影響を与えていることが明らかになっています。

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処理流暢性と「親しみやすさ」

初めて会った人の顔が知り合いや親戚に似ているために、話す前から妙に好感を持ったという経験がありませんか?

この無条件の好感をもたらすのが処理流暢性の性質です。人間の脳には、処理流暢性が高いとそれだけで親しみやすく、正しいものであると感じる性質があります。

何度も目にしたり、耳にしたものの処理が効率化されて素早く行われるため、自分の良く触れるものと同じ・もしくは似ているものに対する処理は素早くなり、親しみを抱くことになるのです。

この結果、何度も触れたものに対して好感を抱く「単純接触効果」が生まれる、と言われています。

企業が多額の資金を投じてたくさんの広告を出すのは、消費者が商品に触れる機会を増やすことで単純接触効果を生み、商品へのイメージアップを図る目的があるから。

毎週聴いているドラマの曲がなぜか好きになったり、CMや連続ドラマ出演をきっかけにブレイクする女優や俳優が少なくないのも、このような心理効果に裏付けられているのでしょう。

初めて見たものに対しても、それが認識しやすいかどうかで好感度は変わってきます。全く同じ文章を一方は読みやすい活字とサイズで、もう一方は読みにくく印刷するだけで、読んだ人の文章への印象は変化します。

その他にも、相手の話が聞き取りやすくハッキリした声で行われている方が、もごもごと聞き取りづらい場合よりも説得力が増すことも分かっています。内容は同じなのに、読みやすい・聞き取りやすいだけで処理が容易になり、読み手・聞き手の判断に大きな影響を与えるのです。

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見やすく、読みやすく、聞き取りやすく

処理流暢性を踏まえると、説得力を出すためには「認識しやすさ」が重要であることが分かります。もちろん、内容をしっかりと練ることも大切ですが、「伝え方」にこだわるとその内容が一層引き立つでしょう。

例えば、プレゼンで使うスライドなら、どのような文字の配置、サイズ、配色にして、どの程度余白を取るのが「パッと見」で分かりやすいのかまでこだわることが重要。

フォントなんて大体標準で良い、と思う人もいるかもしれませんが、実際には文字のフォントを変更するだけでも、視認性は見違えるほどに変わります。内容と関係のない些末な部分と思わずにディティールにまでこだわることが、説得力を持たせることに繋がるのです。

逆に、目を細めないと読めない文字は説得力に欠けるもの。手書きの文章を書くときは、なるべく文字を大きく記せるように筆記具を工夫したり、意識して丁寧に書いたりすることを心がけましょう。

言葉で何かを伝えるときは、ハキハキと聞き取りやすく喋ること。それだけで印象は変わってきます。重要な部分を強調して話したり、ボディランゲージを交えることも、処理流暢性の向上に繋がります。

また、マスクをしたまま人と話すと、唇の動きが読み取れず、処理流暢性を下げてしまうことがあるので気をつけてください。

ポイントは、相手に理解のために「努力をさせないようにする」こと。理解へのハードルをできる限り下げることが、処理流暢性の確保に欠かせないのです。

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見た目よりも中身が大事とは言うものの、人間誰しも表面から判断を始めてしまうもの。中身の価値に気付いてもらうためにも、まずは処理流暢性を意識してみてはいかがでしょうか?

(参考)
mcラボ|処理流暢性って何?~ニューロマーケティングの世界~
Wikipedia|Processing fluency
Wikipedia|単純接触効果
脳科学事典|プライミング効果
Ruby Marketing|何度も見ると好きになる?!心理学で広告を考えてみた