読みたい本がたくさんあるのに時間がない……、と悩んではいませんか? そんな悩みを解決するために、毎日1冊以上の本を読む筆者が読書の方法を紹介します。1日1冊と聞くと難しそうな印象を持つかもしれませんが、この程度の速読であれば特別な技術は必要ありません。速読方法を身につけてたくさんの本を読めるようになりましょう。

考え方次第で読むスピードは上がる

まず、どうして読むスピードに差が生まれてしまうのかを考えてみましょう。読むのが遅くなってしまうのは、速読の能力がないからではありません。実は、1日1冊読むポテンシャルは誰もが持っているものなのです。では、何が問題なのでしょうか。その答えは、読書に対する考え方にあります。じっくり読んで100%の内容を理解することが読書の醍醐味だと思っていませんか? この考え方こそが、読書のスピードを下げてしまう原因なのです。

本を読んだ後にいつもどれくらい本の内容を覚えているか、振り返ってみてください。完璧にすべて覚えている、ということはありませんよね。じっくり読みこんだとしても、忘れるものは忘れてしまいます。最初の方がどうしても思い出せない、数日経ったらふわっとしたイメージしか残っていなかった、なんてことが多いはず。

じっくり読みこんでも忘れてしまうのが人間です。実際に、19世紀のドイツの心理学者エビングハウスによる実験からも、以下のようなことが分かっています。

人は記憶したことを20分後には4割以上忘れ、1日後には7割以上を忘れてしまいます。つまり、放っておけばその日のうちに大半の記憶が消滅するということです。

(引用元:記憶の玉手箱|人間の脳は忘れるようにできている?!

そしてなぜ人間の脳は忘れるようにできているのかというと、生存に関わる重要な情報を優先して記憶するためなのだそう。これは読書にも当てはめることができます。つまり、自分にとって本当に必要な部分は、たとえ速く読んだとしても案外記憶に残るものなのです。読書のスピードがどうであれ、忘れていないものの中にこそ、大事な部分が凝縮されているとも考えられます。

真面目に本を読んでいる人こそ、熟読にとらわれていませんか。本を速く読めるようにするために、ぜひ読書に対する考え方を見直してみてください。

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多読すればするほど読むスピードは上がる

また、本をたくさん読んでいくことでも読むスピードは上げることができます。

私たちが何かを読むときには、これまでに自分が蓄えてきた知識や情報、経験などの「ストック(蓄積)」を使って読んでいます。そして、読む速さにはこの「ストック」の量や質が大きくかかわってきます。

(引用元:宇都出雅巳著(2011),『どんな本でも大量に読める「速読」の本』,大和書房)

読む本の内容に関連する「ストック」があれば、その分速く読めるようになるのです。

外国語の文章を読んだ時のことを思い出してみてください。分からない単語が多いと、日本語で同じ内容が書かれた文章を読むのと比べて圧倒的に読むスピードが落ちてしまいますよね。これは英語の文章を読む時に、英語という言語に関する「ストック」がないから。そしてこれは日本語の文章を読む時にも同じことが言えます。自分の専門分野の文章を読む場合と畑違いの分野の文章を読む場合とでは、読むスピードも気力もまったく違うように感じるはずです。

たくさんの本を読むことで自分のバックボーンも広がっていきます。そしてそれがさらにたくさんの本を読めるようになることにつながっていくのです。本を読まない人と本を読む人の差がどんどん開いていくのは、ここに原因があるのです。

速読力を鍛えるトレーニング2選

本は限りがないほどあるので、いくら速く読めるようになったとしても「もっとたくさんの本が読みたい」「もっと速く読みたい」という願いは本好きの人からすれば尽きることはありませんよね。そこで最後に、1日1冊以上をさらっと読めるくらいになるための、速読力を鍛える2つのトレーニングを紹介します。

1. 眼球トレーニング
文章を速く読むためには速く目を動かすことが不可欠です。実際に本を読んでみると、内容を理解する速度よりも眼球運動の速度によって読書のスピードが制限されていることが分かるかと思います。また、眼球運動を加速することで脳幹の働きが活性化され、内容理解の助けにもなるのです。

トレーニング方法はとても簡単なので、今すぐにでも実践できるはず。まず、目を左右に30秒間動かしてみましょう。同様に上下の往復も行います。初心者の場合は往復40回から45回程度が限界かと思いますが、訓練によって上げていくことができます。スムーズに行えるようになれば、8の字の動きを素早く行います。方向を入れ替えてみると、より眼球の動きが速くなるでしょう。

2. 言語ではなく、イメージで読むトレーニング
しかしながら、眼球運動だけでは限界があります。1ページの内容を瞬時に頭の中に入れるためには、1音ずつ文章を理解していくのではなく、空間ごと文章をとらえる必要があるのです。

例えば「トレーニング」という単語で考えてみましょう。「ト」・「レ」・「ー」・「ニ」・「ン」・「グ」と1つ1つ文字を読んでいくのではなく、「トレーニング」とまとめて眺めればすぐに意味が分かりますよね。意識していなくとも、1つ1つの単語に対しては「空間ごととらえる」ということをしているのです。これを文章に応用するために、1ページを1つの風景として読めるようになるトレーニングをしましょう。

最初から1ページを1つとしてとらえるのは難しいので、まずは1ページを9分割して取り込んでいくことから始めます。読むのではなく全体的な雰囲気をインプットすることが重要です。細部にとらわれてしまうとただの飛ばし読みなってしまうので注意してくださいね。9分割して文章が読めるようになってきたら4分割、2分割と徐々に全体を一度にとらえられるように訓練します。最終的に1ページを1つとしてとらえることができるようになります。これが1分間10万字のレベルです。

いきなり10万字とまではいかなくても、本を読むスピードは確実に上がっていくでしょう。速読を身につけたいという人には特におすすめのトレーニングです。筆者自身も本当に10万字も読めるようになるのかと疑問に思っていましたが、1秒ずつ声に出して数えながら4秒ごとにページをめくる、という方法で未読の本を読んでみたところ、予想以上に内容を理解できていたので驚きました。これはおよそ1分間に1万字のスピードですが、ここまでに紹介したトレーニングを取り入れれば辿り着ける速さでしょう。皆さんもぜひ試してみてくださいね。

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本を読むスピードを上げるための読書の仕方を紹介しました。本が速く読めるようになれば、それだけたくさんの本を読めるようになります。読書をする時間がないと諦めている人は、視点を変えて読むスピードを上げるということに挑戦してみてください。じっくり読むことがすべてではありません。意識の持ち方次第では誰でもたくさんの本が読めるようになりますよ。

(参考)
記憶の玉手箱|人間の脳は忘れるようにできている?!
印南敦史著(2016),『遅読家のための読書術』,ダイヤモンド社.
宇都出雅巳著(2011),『どんな本でも大量に読める「速読」の本』,大和書房.
齋藤孝著(2010),『齋藤孝の速読塾――これで頭がグングンよくなる!』,筑摩書房.
栗田昌裕著(2002),『本がいままでの10倍速く読める法』,三笠書房.