毎日仕事で忙しい皆さん、きちんと外に出て運動していますか? 山積みの仕事を前に、ついデスクにかじりつきがちな方は多いのではないかと思います。

しかし、室内にこもってばかりいても、良いパフォーマンスをあげられるとは限りません。アイデアが浮かばなくて行き詰まってしまったり、上手な文章が書けずに苛立ったり、集中力に欠けてミスをしてしまったり。ひたすらパソコンに向き合い頑張ったからといって、思うように仕事が進まないことってありますよね。

そんなとき、脳の働きを助け仕事のパフォーマンスを向上させてくれるのが運動するということ。なかでも今回は「走る」ことに焦点をあてて見ていきたいと思います。たまにはデスクを離れ、外を走ってみませんか?

なぜ走ることがよいのか?

「走る」と聞くと、どうしてもダイエットや健康増進といった目的を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし実は、脳に刺激を与え活性化するという観点からも、有酸素運動、とりわけ走るという行為は非常に効果的なものなのです。

なぜ有酸素運動によって脳が活性化するのでしょうか。その理由はしごく簡単。筋肉を動かすことで身体の血行がよくなり、多くの酸素が脳に運ばれるためです。『走れば脳は強くなる』(2016年、クロスメディア・パブリッシング)の著者で関西福祉科学大学教授の重森健太氏によると、これは次のような仕組みによるものだそう。

酸素が脳に供給されると、脳細胞が増えます。脳細胞が増えると、細胞間をつなぐシナプスが強化され、情報伝達のスピードがアップ。また、集中力や思考力、感情をコントロールする前頭葉、そして記憶をつかさどる海馬の活性化にもつながります。実際、有酸素運動によって、海馬の容量が増えたり脳の神経細胞が増えたりすることが、研究から明らかになっているのだそうです。

有酸素運動のなかでも特に走ることは、足の筋肉をじゅうぶんに使う運動です。足は筋肉量が多いので、走ると効率よく脳に酸素を運ぶことができます。走ることで、仕事や勉強において非常に重要な役割を果たす脳の部位を活性化することができ、記憶力・集中力・発想力のアップにつながるのです。

現代の私たちの生活では、エスカレーター・エレベーター、電車・車などの影響で、自ら歩き、動くという機会が減少しています。ただでさえ自分の足で動くことが減っているのに、デスクに長時間向かいっぱなしの生活を送っていては、脳に刺激が届かず、脳の活性化どころか退化につながりかねません。脳トレゲームより何より、有酸素運動をすること、特に走ることが、脳の活性化には効果的なのです。

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走ると出世につながる!?

よく、「経営者のように成功しているビジネスパーソンの多くは、運動を日課にしている」という話を聞くことがあるでしょう。朝走ってから出勤するとか、毎日必ず筋トレするといったように、忙しい合間を縫って運動している人の例をよく耳にしますよね。例えば、日本マクドナルドやベネッセホールディングスなどの元社長として知られる経営者の原田泳幸氏は、マラソンやトライアスロンに積極的だそう。今やトライアスロンは、企業の経営陣クラスの人々からの人気が高いスポーツのひとつとなっています。

前述の重森氏は、運動することが出世につながるということを示す研究結果があると解説しています。

トロント大学の教授、リチャード・フロリダ氏は、クリエイティブな人や年収が高い人ほど、体を激しく動かす運動に熱心に取り組む傾向があると報告しています。どういうことかというと、18歳から34歳で高額所得者(年収750万円以上)の人たちは、スキューバダイビング、スキー、テニス、そして旅行などで体を動かす回数が、低所得者(年収300万円以下)に比べて2倍も多い傾向にあるということがわかったのです。

(引用元:東洋経済Online|仕事がデキる人は走りながら脳を鍛えている

走ることで脳の働きが良くなれば、それだけ仕事の能力が向上するということ。走れば、出世に一歩近づくと言えるのかもしれませんね。

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走り方の3つのコツ

いくら走るのがよいとは言え、ただ適当に走ればよいのではありません。脳の働きを高めるうえで効果的な走りをするための、3つのポイントを紹介します。

1. 走り方の強度

重森氏の解説によると、脳を鍛える上では次のような走り方が最適なのだそうです。

脳を効果的に鍛えるためには、【運動強度60~80%のランニングを1日20~30分×週3回×3カ月】という基準で行うのが最も効果的です。
(中略)
たまに、ぜえぜえと息が上がるほどの猛スピードで走っている人を見ることがありますが、脳細胞を増やし脳機能を高めたいのであれば、もう少しスピードを落とし強度を低くする必要があります。

(引用元:同上)

運動強度とは、運動によって体にかかる負荷のこと。その場で思い切り走ったり、階段をダッシュで駆け上がったりするような走り方は、運動強度90%の激しい運動です。脳を鍛えたいなら、それよりは負荷の軽い運動にとどめておく必要があります。のんびり過ぎてもいけませんし、疲れ過ぎるような運動でもよくありません。

最近ではスマホのアプリで速さや時間を記録してくれるものもあります。そうしたツールもうまく活用しながら、適度に走るようにしましょう。

2. 走る場所

室内のランニングマシーンではなく、外に出て、外界の刺激を受けながら走ることが大切です。京都大学名誉教授で脳科学が専門の久保田競氏は、次のように述べています。

「ランナーというのは黙々と走っているように見えて、クルマや自転車に注意し、路面の凸凹に気をつけ、コースを確認し、景色や人々を眺めて感情を抱くなど、じつはさまざまな刺激を受けています。普通に走るだけでも、前頭前野をはじめ脳はフル回転しているのです。加えて、草木の香りをかいだり、周囲の物音に耳を澄ませるなど、身の回りの刺激に五感を研ぎ澄ませるとさらに効果的でしょう」

(引用元:PRESIDENT Online|<脳の新科学>走ればボケ防止&頭がよくなる【2】

身の回りの刺激を受けながら走ると、脳の働きを効率よく高めることにつながります。道の途中にある看板を記憶したり、信号の数を数えたり、走ったルートを頭のなかで地図に描いたりして、意識的に頭を使いながら走るのもよいでしょう。また、走りながら仕事のアイデアを練るなど、直接仕事に結びつくことを考えながら走るのもおすすめです。

3. 走る時間帯

どの時間帯に走るのが効果的かについては、朝昼晩、それぞれにメリットがあります。自分の都合や目的に合わせて時間を選んでください。

朝:朝運動することで脳が覚醒して、その日一日高いパフォーマンスが得られるでしょう。また、代謝が上がるという効果もあります。
昼:昼休みなどに走ることで、脳に酸素がいきわたり眠気もすっきりします。午後のつらい眠気に悩んでいる人におすすめです。
晩:晩に走ると、その日の睡眠中に成長ホルモンがたくさん分泌され、筋肉量のアップが期待できます。脳トレだけでなく身体づくりも兼ねることができますね。

このようにして運動した後は、きちんとクールダウンして勉強や仕事に取り掛かりましょう。筋肉中の血液もうまく脳に周り、すっきりとした気分で取り掛かれるはずです。

***
ストイックに走ろうとするとなかなか辛いものですが、脳の働きをアップさせるためには、辛くなるほど大変な走り方をしなければいけないわけではありません。ぜひ、外の景色を楽しみながら走ることを習慣にしてみてはいかがでしょうか。

(参考)
DIAMOND online|「走る」ことでなぜ脳が活性化されるのか
東洋経済Online|仕事がデキる人は走りながら脳を鍛えている
PRESIDENT Online|<脳の新科学>走ればボケ防止&頭がよくなる【2】
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