世の中には数多くの学問があれど、「人類史上最強の学問」とは一体なんだろうか。
宇宙の心理に迫る物理学? 人類の起源を解き明かす生物学? 人の営みを解明する社会学だろうか?
いや、違う。最強の学問は、「統計学」だ。今日は、そんな人類最強の学問を、忙しい社会人の方が身につけるための方法をいくつかお教えしよう。
最強の学問は「統計学」である
最強の学問は「統計学」である。
そう語るのは、東京大学医学系研究科助教授の西内啓氏だ。彼は2013年、ダイヤモンド社から「統計学が最強の学問である」を発表し、一世を風靡した。
彼は統計学の重要性を「誤差」の観点から語る。
統計学では「5%」の誤差を認めよう、という考えがある。それはどんなに精密な実験であろうと、理論上うまくいく政策であろうと、「完璧」はありえないから。もし本当の意味での「完璧」を求めるなら、人類は失敗を恐れ何もできないか、到底無理なことまでトライする、極端な生き方しかできなくなってしまう。
「完璧ではないけれど、実現可能性は高そうだから、トライする」
西内氏曰く、人間のこの基本的姿勢は、統計学あってこそのものなのだという。
「少しでも絶対的ではないこと」について言及しようと思えば、現状、統計学以外に記述したり議論したりする方法が人類にはない。
(引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|なぜ、統計学が最強の学問なのか? 『統計学が最強の学問である』ビジネス書大賞2014「大賞」受賞記念記事)
と彼は語る。世の中には絶対的なことなど実はほとんどない。となると私たちの思考や意思決定の多くは統計学に則ってのものとなる。情報やデータが氾濫する社会だからこそ何を取捨選択するかも重要で、我々一般人も統計学の知識があると方が何かと助かりそうだ。以下では早速、統計学を簡単に勉強するための方法を紹介したいと思う。
1. ハンバーガー屋さんで学ぶ統計学
これは早稲田大学人間科学学術院で教育工学を教える向後千春教授が無料で公開する学習ツールの一つ。
平均から分散分析までの、基礎的な部分がわかりやすくまとまっている。自分がハンバーガーショップに行った主人公になりきって、「この店のポテト、なんだか隣の店よりも短い気がするぞ……」「一体このポテトは何本くらい入っているんだろう」などの疑問を、統計学を学びながら解決していく。途中でテストも設けられていて、実践的な問題にも事欠かない。
ハンバーガー統計学を修了したら、次はアイスクリーム統計学に進もう。こちらは範囲が相関から因子分析まで、と少し発展的。しかし、こちらもストーリー性たっぷりで、学習者を飽きさせない工夫がなされている。
どうだろうか。自分たちの生活の様々な思考や選択の中で、無意識に統計学を用いていることがお分かり頂けただろうか。ぜひ、試してみてほしい。
2. 東大でもおすすめ! 中学数学だけでわかる統計学の教科書
統計学と切っても切れない関係にあるのが、数学だ。特に線形代数の知識は、統計学を学ぶ上で必須と言えるだろう。しかし、「線形代数から勉強しよう」と言われたらその時点でもう萎えてしまうだろう。そこでおすすめなのが、この教科書である。
本書は、東京大学の「基礎統計学」の講義で実際に使用されていたものである。「基礎統計学」は高度な数学を学んでいない文系の生徒も受講する。そのため、中学の数学を学んでいれば理解できるこの本が教科書として選ばれた。数式を羅列するのではなく、「統計とは何か」「今扱っている数字にはどんな意味があるか」ということを丁寧に扱っているため、非常にわかりやすい。
統計学の根幹をなすといえる、推定と検定を手厚くカバーしているため、先ほど紹介した「ハンバーガー」「アイスクリーム」と並行して使うのもおすすめだ。
*** 「統計」と聞くとパソコンや難しい数式を扱う、とっつきにくい学問、という印象をうけるかもしれない。特に文系出身者は聞いただけで拒否反応を示す人もいるだろう。しかし、学び方によっては非常にシンプルに分かりやすく学習することが可能だ。人類史上最強の学問を身につけて、仕事で活かすのはもちろん、最適な方法でハンバーガーを選んでほしい。
(参考) Amazon|統計学が最強の学問である 西内 啓 著 Amazon|まずはこの一冊から 意味がわかる統計学 (BERET SCIENCE) 石井 俊全 著 ダイヤモンド社書籍オンライン|なぜ、統計学が最強の学問なのか? 『統計学が最強の学問である』ビジネス書大賞2014「大賞」受賞記念記事 ハンバーガー統計学にようこそ! アイスクリーム統計学にようこそ!