「目的設定」と「情報収集」は仕事のきほん。だからこそフォトリーディングを活用せよ!——山口佐貴子『未来が劇的に変化する「フォトリーディング」速読術』第10回

フォトリーディングがビジネスに役立つのは、仕事をするときの流れとフォトリーディングの手順がよく似ているからです。さらに仕事の中でも、レポートを作ったり、企画案を練ったりするときのような、知的労働の流れとそっくりと言えます。

フォトリーディングと仕事の流れは似ている

フォトリーディングの流れを仕事にあてはめてみてみましょう。

【1】準備=目標設定 仕事をするときには、大きな目標を決めてから動きます。どこに到達すべきかを考えて動かないと、無駄な行動をしかねません。

【2】予習=全体の見通しを立てる 目標の次に、全体の見通しを立てます。仕事を進めていくうえで、どういう事態が想定されるのか、どういう準備が必要なのか。ざっくりした、おおまかな情報を集めながら、考えていきます。

【3】フォトリーディング=情報収集 全体の見通しを立てたら、本格的に情報収集を始めます。必要だろうと思われる情報は、とりあえず一通り収集しておきます。具体的で、効果的な目標を立てるためには、広い範囲からの情報収集をしておくことが欠かせません。

【4】復習=答えを得るために問いを立てる

【5】活性化=実作業 活性化は、レポートを書く、企画案を立てる、戦略を練るといった業務にあたります。集めた情報を基にして、落としどころを決め、作業を進めていきます。先ほど大量に収集した情報は、ここでの基礎知識として活躍してくれます。必要な部分には厚みを足すべく、さらに調査を進めます。

さらなる高みに向けた勉強を望むのなら必要な作業が終わった後でも、後々の仕事に役立つ可能性があったり、より高度なことを知りたくなって、そのジャンルの知識を詳細に調べたくなるかも知れません。そのときの業務に必要な作業ではないかもしれませんが、自分自身を深めてくれるということを考えれば、ワクワクできる作業でもあります。

このように、知的活動の流れを、脳科学や心理学などの知見を用いて、より効率よく、よりスピーディにさせながら、情報収集に特化したものが、フォトリーディングだといえます。

レポートを書くときは目的設定が大事

レポートを上司に提出する際、上司がそのレポートをもらって何を知りたいのか、ゴールがわからないと、満足してもらえるレポートは書けません。フォトリーディングと同様に「目的設定」が大事なのです。目的設定がわかれば、自分がどんな仕事をしないといけないかがはっきりします

目的があいまいなままなんとなく書いている人も多いと思いますが、そんなときは、上司に尋ねて明確にしましょう。「上司にそんなことを聞くなんて恥ずかしい」と思うかもしれませんが、ピントのずれたレポートを書いて、書き直しになるよりはずっといいはずです。また、上司とコミュニケーションをしっかりとることで、絆づくりになります。上司に評価されるためにも、「手間をとらせないレポートをかきたいから、ゴールを教えてほしい」と尋ねてみてください。

これは突然、会議に参加するように言われたときも同様です。自分がその会議になぜ呼ばれたかを理解し、会議で自分が果たす役割を明確にしてから、資料を読むことが大切です。なぜその会議に呼ばれたかわからなければ、自分にどういう結果を出してほしいのか、上司に聞いて確認しましょう。それがフォトリーディングでの目的になり、質問になるのです。

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アンテナを立てて資料を集める・読む

レポートの目的がわかれば、資料を集めます。集め方は、何をキーワードに集めるのか、何をその仕事で達成したいのかによって変わります。

たとえば「IT業界のこの先5年間の動向を調べてくれ」と言われたら「IT業界 5年間変化」「IT業界 未来 過去」など、単語の組み合わせのセンスが必要です。どういう言葉を入れたら自分のほしい情報が手に入るのか、自分自身で想像して入れていくしかありません。何について知りたいのか、キーワードはたくさん出れば出るほどいいです。流行っていることをキーワードとして入れてみることも大切です。

そして資料に目次がある場合は該当箇所を読んでいきます。目次がない場合は、レポートの真ん中の5センチくらいの幅を目で追い、自分の必要としているキーワードを探します。たとえば「IT業界 トレンド 5年 2023 動向」など、自分がはじめにあげたキーワードがその幅の中にないかを探していくのです。

資料を集めるときも読むときも、最初にキーワードを設定しておきましょう。アンテナを立てて読まないと情報が頭に残りません。フォトリーディングで情報を覚えておけば、レポートを書くときにすらすらと言葉がでてきます。

コミュニケーションにもフォトリーディング

レポートの提出先がクライアントということもよくあるでしょう。クライアントの場合、仕事相手の価値観や文化を事前に本や資料でフォトリーディングすることをおすすめします。レポートを依頼された際に、クライアントについて理解しておけば、何を求められているのかがつかみやすくなるでしょう。

海外の著名人を招致することに成功したAさんは、フォトリーディングで事前に準備したことで、著名人との距離をぐっと縮めることができたそうです。

「この人とどうしても仕事をしたいと思うときには、相手側に関係する情報を、フォトリーディングでリサーチしたうえでお会いするようにしています。人と人ですから、相手に敬意を払うコミュニケーションをするための準備は必要です」(Aさん)

これは人と関わるうえで欠かせない要素です。徹底的に情報を集めておくことは、相手に対する尊敬を形にして提示することになります。意欲が相手にストレートに伝わる方法です。

事前に準備をしていると、相手と密な話をすることができます。相手に「この人は深い話ができる人だ!」と感じてもらえたら、取引はスムーズに進むようになり、求められているレポートも作りやすくなります。

■フォトリーディングの詳しい方法はこちら ステップ1<準備> 本を読む目的を決める ステップ2<予習> 目次をチェックする ステップ3<フォトリーディング> 本の情報を長期記憶に保存する ステップ4<復習> 本に質問を投げかける ステップ5<活性化> 文字を追いながら読む

■連載『未来が劇的に変化する「フォトリーディング」速読術』一覧はこちら photo-reading-bottom

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山口佐貴子

宝島社 (2017)

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