「成功したい!」

これは、誰もが願っていることだと思います。では、成功するために必要な要素は何だと思いますか? 圧倒的な才能でしょうか。それとも環境でしょうか。

最近、ポジティブ心理学という心理学の一分野で「GRIT」という言葉が話題になっています。アンジェラ・ダックワースという心理学者が提唱した概念であり、彼女によるとこれが人生の成功を左右する一番大切な能力であるそうです。そこで今回は、GRITを成長させるための方法をご紹介します。

GRITとは何か

GRITとは「長期的なゴールを決めて、それが実現するまで何がなんでも諦めない」という能力です。

GRITを提唱したアンジェラ・ダックワース教授は、ウエストポイント陸軍士官学校、シカゴの公立高校、民間企業などのさまざまな機関において調査を行いました。その結果、成功を収めるためにはIQやルックス、身体的健康や社会的知性よりもGRITが大きな影響をもたらしていることが分かったのです。

ここで、ウエストポイント陸軍士官学校での研究をご紹介しましょう。ウエストポイント陸軍士官学校は厳しくてリタイアする人が多いことで有名でした。そこで、どのような人材が最後まで残るかが昔から研究していたのです。

学校側は、志願者総合評価スコアという、学力のスコアや高校での成績順位、体力測定のスコアなどを加重平均したもの指標を用いていました。しかし、この指標では厳しい訓練に耐えうるかは測れなかったのです。それどころか、最も成績の良かった士官候補生たちは、最も成績の低かった人たちと同じくらい中退率が高かったのだとか。つまり、才能や体力というのは成功の大きな要因ではないということが分かります。

それでは、どのようにして目に見えないGRITの調査は行われたのでしょうか。
士官候補生に、「重要な課題を克服するために挫折を乗り越えた経験がある」、「一度始めたことは必ずやり遂げる」などといった「粘り強さ」に関する項目が書かれたアンケートを実施しました。このアンケートの結果から、「情熱」と「粘り強さ」を持つ人が結果を出すことが顕著に分かったのです。

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GRITを内側から延ばす

ダックワース氏によれば、GRITは努力次第で成長させることができるというのです。GRITの伸ばし方を、自分の内側・外側と区別して紹介していきます。

まず、内側を伸ばすために大切なのは成長思考を持つこと。多くの人は、自分の才能や知能などを決めつけて考えてしまいますが、それは間違いなのです。

私たちの脳は常に成長するため、努力によってあらゆる才能は向上します。脳は、筋肉を鍛えるのと同じように新しい課題を克服しようとすることで成長しますが、成人になっても神経細胞を保護し、神経細胞間の伝達を行うミエリンという脳内物質を増やすことで脳を成長させることができるのです。

ミエリンを増やすためにオススメなのが瞑想。体ひとつできることなので、簡単に始めることができます。もう大人だからと諦めず、今からでも成長できるという自信を持ちましょう。

次に大切なのは、悲観的な考え方をやめることです。やり抜く力の強い人は楽観的に考えるということがジャーナリストのへスター・レイシーによる多くのインタビューから分かりました。

失敗した時に「能力が足りなかった」と思うのではなく「もう少し努力しよう」と捉え、次の成長につながるように考えることが大切でしょう。能力が足りないと考えることは自分の否定に繋がり、そこからの成長に活かせないからです。

また、何かの能力を高めようとするときには、意図的な練習をすることが重要です。意図的な練習には2つの要素があります。

1.高めの目標を設定すること
2.その目標の達成を目指すこと

例えば、書類を作る仕事があれば、前回かかった時間よりも少ない時間で終わらせるように意識してみましょう。ストップウォッチなどで時間を測りながら自分に負荷をかけてやることで目標を達成していくのです。これらを意識的に行うことでやり抜く力がつくとダックワース氏は述べています。

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GRITを外側から延ばす

外側から成長させるために最も有用なのは、課外活動をすることです。それも、1年以上継続し、その中で進歩することが大切。課外活動である理由は、楽しめる、かつ頑張ることができる場合が多いからです。

学生であれば、サークルや部活、ゼミ、勉強会などたくさんの課外活動のチャンスがあります。社会人であれば、読書会や朝食会といった朝活に参加したり、仕事終わりにジムで運動することも立派な課外活動です。キャリアアップに向けて資格試験の勉強をすることもとても良いでしょう。

また、GRITの強い人たちがいる環境に身を置くことも大切です。「この人は、目標に向けて最後まで努力し続けることができるな」という人たちと積極的に付き合うようにしましょう。人は、自分が所属する集団の影響を非常に受けやすいからです。

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ここまで読んでくださった皆さんには、やり抜く力の大切さが分かっていただけたと思います。GRITは今からでも成長させることができます。ご紹介したことを活用して「やり抜く人間」になりましょう。

(参考)
アンジェラ・ダックワース(2016), 『GRIT やり抜く力』, ダイヤモンド社.
ダイヤモンド社書籍オンライン|グリット(やり抜く力)はこのトレーニングで伸ばせる
ITmedia|どんな”朝活”している?ビジネスパーソンの朝の時間