仕事がデキる人の机はなぜシンプルなのか。脳の力を引き出す整理整頓術

仕事がデキる人の机はなぜシンプルなのか。脳の力を引き出す整理整頓術

整理整頓は得意ですか? 「苦手なほうだな......」と思った方も少なくないはず。

リユース事業を手がける株式会社クオーレが2022年に行なった「片付けに対する意識や工夫」に関するアンケート調査では、「自分は片付けられる人だと思いますか?」への答えとして、「思う」が48%、「思わない」が52%でした。およそ半数の人々が、片づけへの苦手意識があるのですね。

整理整頓を実行するのは面倒なもの。「せっかく片づけても、またすぐに汚くなるんだよな……」と思うと、余計に後回しになりがちですよね。

けれど、ご存じでしょうか? 整理整頓こそ、脳の力を最大限に引き出す「魔法の習慣」であることを......。

「デスクの整理」は「脳の整理」

なぜ整理整頓が必要なのでしょうか? それはもちろん、無駄な探し物をしないためですよね。

ライター製造で世界的に知られるZippoが「なくしもの」について2014年に調査したところによると、日本人は1か月当たりおよそ76分もの時間を探し物に費やしていたのだそう。

2021年時点における日本人の平均寿命は約81歳ですから、一生に換算すると、なんと52日間......。驚きを通り越して危機感すら覚えますね。

探し物をしている時間は、脳に不必要な負荷を与えています。整理整頓を習慣にできれば、処理する情報が減り、脳のストレスが軽減されるはず。

習慣的に整理整頓することで、脳を効率よく使え、「仕事がデキる人」になれるかもしれません。

「作業興奮」で脳を覚醒させる

整理整頓を習慣にすることで、脳のストレスを減らし、作業能率をあげる。ここまでは、それほど驚くべきことではないでしょう。

しかし、それだけではありません。整理整頓には、脳の力をさらに引き出す効果があるのです。

何かに集中しようと思っても、集中力のON・OFFスイッチをすぐに切り替えられるわけではありませんよね。仕事が手につかなかったり、勉強がはかどらなかったり……。

どうすればうまく切り替えられるのでしょうか? 大事なのは、「作業興奮」を生み出すことです。

メンタルトレーニングなどを専門とする笠原彰教授(作新学院大学)は、作業興奮についてこう説明しています。

短い簡単な作業を行うことで、脳を軽い興奮状態にしていきます。(略)なにかを実行することで集中状態に入ることができます。これを作業興奮と言います。

(引用元:笠原彰(2017),『気持ちの片づけ術』, サンクチュアリ出版. 太字による強調は編集部が施した)

頭が働かない朝、着替えたり持ち物を準備したりすることで、少しずつ頭がさえてきた経験はありませんか? それは、作業興奮で脳のスイッチがONに切り替わったのです。

整理整頓を習慣にすれば、片づけによって作業興奮が生み出され、脳の力を効率的に発揮できるのではないでしょうか。

作業興奮で脳を覚醒させる

「デキる人」の整理整頓術

整理整頓が仕事の効率を上げる理由を、脳の観点から説明しました。整理された作業空間で、脳の力を最大限に引き出したいものですね。

ここからは、整理整頓のポイントを4つご紹介します。

1. デスクの上に置くのは必要最低限

「物は机の上に出したほうが、何がどこにあるのかわかりやすいよね」と考えていませんか? それは「脳の無駄使い」です。

脳のストレスを軽減するには、処理する情報量を減らす必要があります。つまり、余計な情報=余計な物は、机の上に置くべきではないのです。

物が少ない机は、仕事への集中力や処理能力を上げることができます。書類はすべて引き出しのなかで管理し、卓上に置くのは、

  • PC
  • ペン立て
  • カレンダー

など最低限にしましょう。

2. 不要な物を捨てる「決断力」

「いつか使うかもしれないと思うと、なかなか捨てられない……」と思っていませんか? それは、判断を先延ばしにしているだけです。

将来で使う可能性は完全に否定できるものではありませんが、使わない可能性も十分にあります。そのように不安定な可能性のために、「現在の集中力」を犠牲にしていないでしょうか

いま使わないものを潔く捨てることで、脳の負担を軽減し、現在のパフォーマンスを高めましょう。

3. 毎朝10分の習慣

机の整理は、毎朝の習慣にしましょう。たったの10分でかまいません。

脳は覚えることより忘れるほうが得意です。整理整頓を毎日やることで、引き出しにしまった物の存在も忘れませんよ。

それに、朝の簡単な整理整頓は作業興奮を生み出し、仕事に集中しやすくなるはず。10分という制限時間を設ければ、時間内に終わらせようと適度に緊張できるため、作業興奮の効果が高まりやすいのではないでしょうか。

4. 定期的な「リセット」

3か月に1回程度は、長めに時間をとって整理整頓しましょう。プロジェクトがひと段落ついたときや、業務に行き詰まったとき、身の回りをリセットすることで、気分転換ができたり、いいアイデアが浮かんだりするかもしれません。

こちらも、制限時間を決めるといいでしょう。人間の集中力には限界があるので、1時間未満を目安にしてみてください。

***
整理整頓を習慣化すれば、脳を効率的に活用でき、「仕事がデキる人」になれるかもしれません。あなたも整理整頓の習慣を取り入れ、仕事の能率を劇的に上げてみませんか?

(参考)
PR TIMES|【300名に調査】あなたは片付けられる人?片付けられない人?
@Press|日本人は、一生のうち平均で52日間も探しものをする!? Zippoが「なくしもの」に関するグローバル調査結果を発表
厚生労働省|主な年齢の平均余命
笠原彰(2017),『気持ちの片づけ術』, サンクチュアリ出版.

【ライタープロフィール】
信田大志
明治大学経営学部経営学科。桐蔭学園高校卒業。海外旅行好きが高じて、アメリカに1年留学。野球歴10年。毎日が勉強。

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