社会人に必須の「数字センス」 身につけるための3つのステップ

人に何かを提示したり主張したりするうえで、「数字」は非常に大きな威力を持ちます。特に “営業先で説得力のあるプレゼンテーションをしたい” “社内会議で自分の企画を通したい” といったシチュエーションにおいては、数字を上手に利用する力や感覚、いわゆる「数字のセンス」が必要不可欠。統計データを処理するときや、新しいアイデアを発想するときなどにも、このセンスは重要なファクターとなります。

しかし、数字を扱うこと自体が苦手だと感じているビジネスパーソンは決して少なくはありません。数字と密接な関係を持つ部署に配属されている人であったとしても、ひそかに苦手意識と戦っているといったケースもあるのではないでしょうか。

そこで今回は、そのようなビジネスパーソンにぜひとも習得してほしい「数字のセンス」の磨き方をご紹介します。

ビジネスの世界における「数字」の重要性

冒頭でも述べたとおり、ビジネスの世界では「数字」は非常に重要です。なぜならば、数字には具体性があるからです。

たとえば「たくさんのお金」と言われただけでは、1億円を想像する人もいれば100万円を想像する人だっているはずですよね。「たくさん」という言葉が具体的ではないゆえに、そこに解釈の違いが生じてしまうのです。しかし「1億円」と言われれば、日本人の誰もが同じ額のお金を想像することができます。

このように数字を使うことによって、話し手と聞き手の間の解釈に齟齬が生じることもなく、重要な情報を相手に伝えることができるようになります。これは信頼関係を構築するうえでも大切なことですね。

またそもそも会社組織というものが、売り上げや利益、顧客の人数などを追求するものである以上、最終的には「数字で表されたもの」が出てきます。それを正確に理解したり、統計処理をもとに今後の指針を決定したりすることは、やはり避けては通れない道なのです。

「数字のセンス」とは?

冒頭でも述べたとおり、「数字のセンス」とは「数字を上手に利用する力や感覚」と言い換えることができます。もっと具体的に言えば、データを正しく分析する力、分析したデータを見やすい形に処理する力、数字に関する優れた感覚、といったものでしょうか。

数字のセンスを持っていれば、プレゼンテーションや企画会議の資料などに数字を効果的に盛りこむことができますから、より説得力を持った説明をすることが可能になります。お客さんや上司からも信頼されるでしょうし、より大きな仕事を任せてもらうことにもつながるでしょう。

また、信頼できないデータを見抜いたり、作成した資料内の数字の桁や単位が間違っていることにも気がついたりできるので、重大なケアレスミスも減ることも期待されます。

それでは、具体的にはどうしたら「数字のセンス」を磨くことができるのでしょうか。ここからは、その方法を3つご紹介していきます。

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1. 数字で表現する癖をつける

方法の1つめは、いろいろな物事を常に数字で表現する癖をつけることです。たとえば仕事の進捗報告をする際には、「あともう少しです」などと曖昧な表現を使うのではなく、「進捗率はX%です」「あと〇時間で完了予定です」と数字を使って言うようにしてみてはいかがでしょうか。

これができるようになるには、ひとつの仕事の中に潜むステップを事前に把握しておく必要があります。そこで、仕事を振られたらすぐにその仕事自体を分析し、どのようなステップで進めていけばいいのかを細かく頭に入れておきましょう。そうすれば、たとえばできあがり間近であれば「進捗率は90%です」「あと1時間で完成予定です」などと伝えることができますから、解釈の食い違いが生まれず、信頼を得ることもできるでしょう。

ほかにも、それぞれの仕事にかかった時間を逐一記録しておくのも有効です。自分がどんな仕事にどれくらいの時間をかけているのかを正確に把握しておくことで、新しく仕事を振られた際におおよその達成時間を予測することができますから、無理のないスケジューリングが可能になりますよ。

2. オーダーを把握する

2つめの方法は、いろいろなもののオーダーを把握しておくことです。ここで言うオーダーとは「おおよその数」のこと。「日本の人口は1億人」「世界の人口は70億人」といった具合ですね。このくらい大雑把に数を把握しているだけでも、数字に対するとらえ方がだいぶ違ってきますよ。

たとえば、自社で扱っている商品の市場価格や、関わっている分野の市場規模などを大雑把にでも把握しておけば、資料作成の際に数字の桁数を大きく間違えてしまうリスクを減らすことができるでしょう。自分が把握しているオーダーとあまりにもかけ離れていた場合、すぐに「怪しい」と気づき、修正することができるからです。

少しだけ時間を取って、自分の仕事と関わりが深い分野のさまざまなオーダーをまとめてみてはいかがでしょうか。

3. 統計に関する知識を身につける

3つめの方法は、統計に関する知識を身につけることです。「数字のセンス」とはいえ、その基礎部分には数学や統計に関する基本的な知識が必要不可欠。「この数値はどのような計算式で算出されたのか」「この数字は何を意味しているのか」など、背景まで含めてきちんと理解できていなければ、数字を正しく取り扱うことは難しいといえるでしょう。

これは自ら勉強していかなければいけません。統計に関する本は書店などでも容易に手に入れることができます。

ほかのキーワードとして、「平均値(期待値)」「最頻値」「中央値」「標準偏差」といった用語から勉強を進めるのもよいでしょう。

期待値に関してはこちらの記事がおすすめです。 宝くじ、1枚いくら損をする? 『期待値』を使って計算してみた。

平均値・最頻値・中央値に関しては、次の記事がわかりやすいかと思います。 【高校数学の美しい物語】平均値,中央値,最頻値の求め方といくつかの例

標準偏差に関しては、少々難しいのですが先ほど挙げた記事(標本の罠? 平均値の罠? 因果関係の罠! 統計データに隠された罠を暴く)に少しだけ書かれていますので参考にしてください。

また、初めからしっかりと勉強を進めていきたいという方は、早稲田大学人間科学学術院の向後千春教授が書かれた次のサイトをおすすめします。 ハンバーガーショップで学ぶ楽しい統計学

*** 数字のセンスは、残念ながら一朝一夕で身につくものではありません。しかし毎日の意識がけをしっかりと行なえば、着実に身についていくともいえます。

まずは、さまざまな物事を数字で表現してみたり、自分の仕事と関連が深い分野の数字についてオーダーを把握してみるところから始めてみましょう。そしてゆとりができてきたら、少しだけ統計学を勉強してみるとよいでしょう。

ぜひ「数字のセンス」を身につけ、相手から信頼されるビジネスパーソンになりましょう!

(参考) マスログ|文系の新社会人に捧ぐ!今こそ数学を学ぶべき3つの理由 株式会社 日立ソリューションズ|「数学嫌い」を克服!“数字”を制するものはビジネスをも制す! 日経ビジネスONLINE|会社では「数字を出す人」こそが人格者 高校数学の美しい物語|平均値,中央値,最頻値の求め方といくつかの例 KogoLab|ハンバーガー統計学にようこそ! Study Hacker|宝くじ、1枚いくら損をする? 『期待値』を使って計算してみた。

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