会社の会議などで自分の意見を主張したいことや、ビジネスを進めるために相手を説得したいこと、よくありますよね。仕事に限らず、友人や恋人との付き合いの中でも、自分の意見を聞いてもらいたい場面は多いでしょう。

人は誰でも自分の意見を聞いてもらいたいものですし、自分の意見を通すことは非常に大切ですが、やり方を間違えると周りの人に不快感を与えたり、言うことを聞いてもらえなくなったりしてしまいます。あなたは上手に、自分の意見を主張できているでしょうか?

今回は、自己啓発本の古典で世界的ロングセラーであるD・カーネギーの著書『人を動かす』に書かれている「人を説得する12原則」を参考にして、自分の意見を主張し相手を説得するためのいくつかのコツを紹介します。

クールになろう

何かの議論をするとき、最も陥りやすく、かつ最もよくないことは、議論が口論になることです。せっかくの議論がただの口げんかになってしまっては意味がないですよね。最初に紹介するのは、建設的な話し合いを構築するためのポイントです。

まずは「議論を避けること」から始めましょう。どのように説得をすべきかという話をしているのに議論をするなとはどういうことだ、と思った方もいるでしょう。しかし、これはとても重要な点です。カーネギーの言うその理由は、「たとえ議論に負けても、その人の意見は変わらない」から。意見の不一致を認め、互いの立場に立って考えるところから話し合いを始めるべきなのです。

「相手の誤りを指摘しないこと」も重要です。話し相手の間違っている点を指摘することは簡単です。しかし、「あなたの言っていることは論理的に矛盾している」なんていうのはもってのほか。それでは相手の感情を傷つけてしまうことになります。

また「自分の誤りは素直に認める」ことも同様に大切。意見を主張すれば、その意見は間違っていると指摘されることもあると思います。そんな時は間違いを素直に認めましょう。そうすれば、相手もそれ以上突っ込んでこなくなりますし、誤りを素直に認めるあなたの姿は見ていて気分がいいものです。

いくら自分の意見を主張するからと言って、声高になってはいけません。話し合いの際は「穏やかに」話しましょう。激しい口調で相手を思いきりやっつけると、あなたの気分はすっきりするでしょう。しかし相手はどうでしょうか、あなたの意見を認めてくれるでしょうか。相手の気分を害さずに、快く自分の意見を聞いてもらうことが大切なのです。クールな話し合いを心がけましょう。

例えば、仕事でミスを繰り返す部下がいるとします。上司であるあなたは、部下がミスする内容を激しい口調で責め立てるべきではありませんし、部下が繰り返す誤ちをあからさまに指摘しては逆効果。部下は、仕事内容ではなく自分自身が否定されたような、傷ついた感情を抱いてしまうでしょう。仕事のやり方に関して、部下とあなたの間には意見の不一致があるかもしれませんが、声高に議論するのではなく、部下の立場に立って仕事への取り組み方を一緒に考えてみましょう。

daito-ec
90日でTOEIC835点、英語会議もストレスなしに。パーソナルトレーナー × 科学的トレーニングの『英語の90日』
人気記事

相手を誘導しよう

意見を受け入れてもらいたいとき、自分ばかりしゃべり続けていませんか? それでは相手は納得してくれません。相手を納得させるためには、うまく誘導する必要があるのです。

「イエスと言わせる」ことは相手の誘導に効果的です。イエスと言わせるためには、イエスと返事ができる問題を投げかけましょう。話し上手な人は、相手にイエスをたくさん言わせ、相手の心理を肯定的な方向に導きます。これが納得につながるのです。

また、できるだけ相手に「話をさせ」「思いつかせる」ことも非常に大切です。あなたも、人から意見を押し付けられるより、自分で思いついた意見のほうを大切にしたいと感じますよね? 言葉によってうまく暗示を与えて、結論は相手に出させましょう。相手に相談をもちかけ、できるだけ相手の意見を採り入れて、元々あなたが提案したかったことがあたかも相手の発案だと思わせることができれば、相手は快く協力してくれます。相手が能動的に納得してくれるように工夫しましょう。

例えば、どうしてもあなたが担当したい案件があり、その仕事を得られるよう上司を説得したいとき。いきなり「その仕事、私にください」と言っても意見が通らない可能性がありますが、説得する前の段階の話題から、上司が「イエス」と答えやすい雑談などを進めておくと、上司の心理は肯定的な方に導かれます。また、できるだけ上司にしゃべらせておき、その話の中からきっかけをつかんで、あなたが得たい仕事をあなた自身に振ってもらえるよう、徐々に誘導してみましょう。

相手の身になろう

説得する場面では、「相手の身になる」ことが重要です。あなたから見て、相手が間違っていると思うことはあるでしょう。しかし、その人自身は自分が間違っているとは決して思っていません。相手の立場に立てば、非難されても意味がないことが分かるはずです。

「相手の考えや欲求に共感する」ことが、人を説得するのに賢明なやり方です。相手の考えや行動には何かしらの理由があり、それを把握することができれば、相手を納得させることが容易になるでしょう。「あなたがそう思うのもごもっともです。もし私があなたの立場なら、同じように思うでしょう」などと言って話しかければ、どんなに反論を燃え上がらせていた人でもおとなしくなるはずです。

例えば、あなたが顧客に商品を売り込みたいとします。この商品はこんなに良い、とアピールするだけではダメ。相手にとってその商品がどんなメリットをもたらしてくれるのかを伝えるのは売り込みの基本ですよね。また、その商品に対して相手が否定的なイメージを抱いているなら、いったんその考えに同意してあげてから、少しずつ商品の魅力に話を移すほうが、効果的に相手を説得できるでしょう。

settoku-12gensoku02

効果的に心情に訴えかけよう

うまく相手を説得する効果的な方法はほかにもあります。

例えば、相手の「美徳に訴えかける」ことは有効です。自分の意見が倫理的に正しいことを強調したり、女性や子どもを守ることができるなど、万人に共通する美しい感情に呼びかけたりしましょう。

「対抗意識を刺激する」ことも効果的です。例えば、ある部下により多く働いてほしいとき、ほかの部下はもっとできるということを暗示すると対抗意識が芽生え、以前よりも仕事に励むことがあるでしょう。

説得する際の「演出を考える」ことも非常に重要です。もしあなたが恋人にプロポーズするとなったら、どのような場面でどのように伝えるかを真剣に考えますよね。相手を説得したいときも同じです。長々と説明をするのではなく、映像を使ってみる。何かを売り込む際には現物を持っていく。演出は工夫次第で様々なものを生み出せます。

***
上手に議論をすることができると、自分の意見が通りやすくなるだけでなく、相手を自分の味方にすることができます。上に挙げたポイントを是非実践して、説得を成功させるだけでなく、良好な人間関係を築いてください。

(参考)
D・カーネギー著,山口博訳(1999),『人を動かす 新装版』,創元社.
日経Bizアカデミー|人を説得する12原則 理屈より相手の身になる~カーネギー著「人を動かす」(3)