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人間だれしも間違いをすることはあります。
「データの入力ミスをしてしまい申し訳ない」といったようなお詫びは、仕事をしていれば日常誰にでも起こり得ますね。また、情報漏洩を会社のトップが会見で謝罪するなど、組織としての謝罪の様子をニュースで見ることもしばしば。あまり嬉しいものではありませんが、仕事をしていく以上、誰でも何度かの謝罪を経験することになるでしょう。
そんな時どう謝罪するかが、後の自分の環境を左右します。謝罪は関係修復や信頼回復に必要不可欠ですが、やり方を間違えると埋められない溝を作り出してしまうこともあるのです。今回は、謝罪するときに気をつけるべきことについて考えてみたいと思います。

謝罪は言葉だけでは伝わらない

少年が野球チームでの練習中、その日何度目かの同じミスをしてしまいました。監督に謝ったところ、「お前のすみませんはもういい」と厳しい言葉。いつも誠心誠意謝っていたつもりなのに……。これは筆者の古い思い出です。

謝罪と一言で言っても簡単なものではなく、謝罪の言葉を述べるだけでは伝わらないことがあります。組織による謝罪会見で、いくら役員の面々が謝罪の言葉を口にしても、身だしなみができていなかったり、会場の雰囲気がいい加減な感じだと、その言葉を疑ってしまうもの。弁護士という立場で企業危機管理を手掛け、企業の謝罪会見といった広報対応についても取り組んできた中島茂氏は、

謝罪会見の内容を正しく伝えるには、服装や会場設営といったテクニカルな問題を蔑ろにすべきではない。しかし、根底に「苦悩」と「誠実さ」がない謝罪会見は、人の心を動かさない。

(引用元:【名言DB】|中島茂の名言
と語り、誠実さを大前提としながらも、謝罪の場面づくりも大切だと言います。

では、謝罪の気持ちや言葉以外に重要なものには、ほかに何があるでしょうか。

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迅速な謝罪で良い印象を

あるスポーツ解説者が、試合中継の解説中にチーム名を間違って呼んでしまったことを翌日のブログで謝罪し、この迅速な対応がファンに評価された、というニュースを目にしました。この例が示すように、すぐに謝ることで、良い印象を与えることができます。

これは、日本人が潔さを好む傾向にあることとも、関係があるでしょう。満開を過ぎるとすぐに散ってしまう桜のような潔さをよしとする日本人の精神性については、以下のように述べられた資料があります。

桜では開花のみならず、散って行く儚さや潔さも、その美しさの中のひとつです。
(中略)
江戸時代の国学者、本居宣長は日本人の精神性に関して 「敷島の 大和心を 人問はば 朝日に匂ふ 山桜花」という歌を詠んであらわし、桜の そのような「美しい生き方」が日本人の精神の基調にあるとして紹介しています。

(引用元:一般社団法人全国日本語学校連合会|日本人の文化と精神の研究 第2回 「サクラ」の花と日本人の美しさ

迅速に謝るべきなのは、日本に限ったことではありません。証券会社勤務時代から資産運用に携わり、現在はいちごグループホールディングスの代表執行役会長を務めるスコット・キャロン氏も、インタビューの中で次のように語っています。

「私はミスをしたらすぐ謝ります。母国アメリカでは、謝ると訴訟で責任を問われるから危ないぞと言われます。しかしそのアメリカでも、医療現場でミスがあったとき、医者が早めに謝っていれば訴訟を起こされるリスク自体が大幅に減るという研究結果が出ています。世界中のどこでも謝るのは決して悪いことではないと信じています。私は日本に来て、いい意味での『謝り文化』を学びました」

(引用元:PRESIDENT Online|「些細なことも言い訳せず」が、信頼の礎 -いちごアセットマネジメント スコット・キャロン社長

迅速で潔い謝罪は、相手に好印象を与えられるはずです。

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謝罪の後のネクストステップが重要

もちろん、すぐに謝罪しただけでは不十分です。謝罪して終わり、では謝罪の言葉もどんどん軽いものになってしまいます。謝罪するような状況を招いたのはなぜだったのかを追究し、二度と同じ失敗をしないよう真摯に努力し、その姿勢を示しましょう。

スコット・キャロン氏は、同じインタビューの中で、謝罪は言葉で終わりではなく、その後の態度が大切だと述べています。

「謝罪の言葉だけでは何の意味もありません。謝罪し、許していただいたあとで、お客様のために行動することが大事です。まずは失敗の原因を解析し、お客様に情報を開示しながら再発防止を図ります。そのうえで、挽回するためのプランを練り、実現のために努力を重ねるのです」

(引用元:同上)

謝罪には、今後同じ失敗をしないという誓いを込めるべきなのです。

今となって考えれば、筆者の野球少年時代の謝罪では、「次はミスをしないように努力します」という真摯な姿勢が監督には伝わっていなかったのかもしれません。

***
謝罪においては、言葉や態度など目や耳に直接届く要素はもちろん大切ですが、それだけでは誠意が相手に届かないこともあります。どうすれば謝罪を効果的に伝えることができ、早期に信頼関係を修復できるか。いま一度考えてみてはいかがでしょうか。

参考
【名言DB】|中島茂の名言
一般社団法人全国日本語学校連合会|日本人の文化と精神の研究 第2回 「サクラ」の花と日本人の美しさ
FOOTBALL CHANNEL|元日本代表の戸田和幸氏が解説の失敗を迅速に謝罪。真摯な対応にファンは評価
PRESIDENT Online|「些細なことも言い訳せず」が、信頼の礎 -いちごアセットマネジメント スコット・キャロン社長


早稲田大学先進理工学部生命科学科所属。松本深志高校出身。大学では理系分野を浅く広く勉強している。