新しいこと、難易度の高い仕事を目の前にしたとき、「きっとうまくいかない」「自分には到底無理」と考えてしまっていませんか? そのままだと、ずっと「不安」や「恐怖」に支配され、あらゆる行動を制限されてしまいます。脳をしあわせにすれば、“なりたい自分” になれるはずですよ。

なぜ苦手? 新しいこと、難しいこと

何か新しいことにチャレンジするとき、それを躊躇させるのは、人間に「ホメオスタシス(生体恒常性)」があるからです。ホメオスタシスとは、人間のからだを環境に適応させ、安定させる機能のこと。いつもと違う環境におかれたり、行動をしたり、からだが変化したりすると、体温や血液量、血液成分などを一定範囲内に保ち、いつもと変わらない安定した状態にしようとします。それが変化を嫌うため、新しいことが億劫になるのです。

また、難しい仕事を任されたとき、失敗や最悪の事態をつい想像してしまうのは、人間に「否定的偏向(ネガティブ・バイアス)」があるから。良いことよりも、悪いことに意識が向きやすいのです。猛獣に襲われるかもしれない状況下で、常に危険を察知しながら生き延びてきた祖先の脳の構造を、私たちも引き継いでいるわけです。今でいう危機管理意識ですよね。

もちろん、これらは人間にとって必要なものです。しかし、状況によっては私たちの行動を邪魔する場合もあるのです。だからこそ、前向きで、しあわせな脳を育てることが大切です。

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脳をしあわせにするには?

脳の「海馬」は、課題を効率的に解くために必要なワーキングメモリ(作業記憶)や エピソード記憶(長期記憶)にかかわる場所。新しいニューロン(神経細胞)が生まれてくる場所でもあります。この海馬を元気にすることが、脳をしあわせにする秘訣です。

なぜならば、この海馬が活性化しニューロンが増え、体積が大きくなると、記憶力・思考力・判断力・適応力・情報処理能力などが高まり、頭がハッキリしてくるから。頭が冴えれば、どんな物事に対しても前向きになれるというわけです。ではさっそく、その方法を見てみましょう。

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前向きな脳の育て方

世界で初めて大人のサルでも脳細胞が成長すると発見した久恒辰博氏は、海馬を活性化させ、柔軟で前向きな脳にするためには、普段と違う行動をして「新しい刺激を脳に与える」ことが必要だといいます。また、ストレスが長く続くと脳の海馬が委縮してしまうので、「ストレスを発散する方法を見つける」ことも重要。そして、「頭をつかいながら手足を動かす運動」が海馬を元気にするそうです。

一方、『幸せになれる脳をつくる 「ポジティブ」を取り込む4ステップの習慣』の著者で心理学者のリック・ハンソン氏は、「良い体験をして、楽しめ」と伝えています。良い体験が脳のポジティブな感情を活性化しますが、さらに、その体験による満足感の余韻を反復し、楽しむことによって長期記憶として脳に残るからです。そうすることで、前向きでしあわせな脳になれるそう。これらをまとめると、以下のとおり。

1.いつもと違う店、いつもと違う道、いつも頼むメニューを変えるなど、ほんの些細な “普段とは少しだけ違う行動” をして、脳を刺激する。

2.「良い体験」を得られたら、その余韻を頭の中で反復して楽しむ。

3.自分なりのストレス発散法を見つけ、日々必ずその時間を儲ける。

4.最近交わした楽しい会話、最近食べた美味しいもの、最近読んでおもしろかった本や映画などのことを考えながら、指さきを動かして運動をする。

<頭をつかいながら行う「指さきの運動」>
1.人差し指のはらと、親指のはらを合わせる
2.人差し指を曲げ、それを親指のはらで押さえる
3.1と2を10回繰り返す
4.中指のはらと、親指のはらを合わせる
5.中指を曲げ、それを親指のはらで押さえる
6.4と5を10回繰り返す
7.同じように薬指や小指でも行う

※指さき健康法を主宰する、堤喜久雄氏による「指さき運動」を参考にしています。両手、または片手でもOKとのこと。

ネガティブな感情も受け入れよう

さて、前向きでしあわせな脳の育て方を紹介しましたが、ひとつ注意点があります。それは、単にネガティブな感情を消し去ろうとしないこと。「くよくよしていちゃダメだ! 前向きに考えなきゃ!」と強引に自分を鼓舞してばかりいると、よけいにストレスがたまるだけです。

光と影、長所と短所、善玉菌と悪玉菌があるように、「ポジティブ」と「ネガティブ」の心理も切り離して考えられないのだとか。そう語るのは脳科学者の茂木健一郎氏。「ネガティブな感情を受け入れ、欠点を見つめられるようになれば、ネガティブな脳からポジティブ脳へとスイッチを切り替えられるはず」とのこと。

そして、そのスイッチとなるのが「メタ認知」なのだそうです。

ポジティブ脳に切り替える「メタ認知」

メタ認知とは、自分の現状を俯瞰し、客観的に把握することです。それを分析し、言葉で表現できるようになると、発想の転換が生まれるのだとか。つまり、それでネガティブ思考からスイッチが切り替わり、ポジティブな発想や行動につながるのです。

もしも、ネガティブになって、一歩前に進むことを躊躇しだしたら、少し高いところから自分を眺めて思考や行動を認識し、それをしっかりと理解していきましょう。そうしているうち、いつのまにか前向きな考えが浮かんでくるはずです。

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心理学者のリック・ハンソン氏も、「ポジティブになることは感情的な苦しみを否定し、人生の困難さなどを無視することではない」と述べています。ついついネガティブになってしまう自分の感情にもやさしく向き合いつつ、前向きでしあわせな脳を育て、なりたい自分になりましょう!

(参考)
日経ウーマンオンライン|ポジティブ脳を育てる7つのアクション!
カラパイア|幸せになれる脳を作るとても簡単な2つのステップ
リクナビNEXTジャーナル|カリスマ医師が教える! 記憶力が向上する9つの生活習慣とは?
ウーマンエキサイト|あなたのポジティブは偽物かも!? 脳科学者・茂木健一郎が指南
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会|ストレスと体との関係 生活習慣病を予防する
マイナビニュース|東大、作業記憶(ワーキングメモリ)の脳メカニズムを解明