これぞ火事場の馬鹿力! 脳力をブーストさせる「締め切り効果」の偉大なパワー。

アイデアを出さなければならないのになかなか出てこない……。このようなとき、皆さんはどうやって対処していますか?

ひらめきが降ってきてほしいと考えれば考えるほど、思うようにいかなくて悩むこともあるでしょう。しかし、実はそのようなときにひらめきを生む方法として、あえて締め切りを作ることが有効かもしれませんよ。

締め切りがもたらす効果

皆さんも、期限が近づいたレポートや書類が、ギリギリになって驚くほどのスピードで進んで間に合った、という経験をしたことはないでしょうか?

火事場の馬鹿力とも言えるでしょうが、実際に締め切りが近づくことでパフォーマンスが向上するということはよくあります。筆者自身、文芸部に提出する小説の締め切りを勘違いしていたせいで追い込まれ、1日に2万字以上も書くことで慌てて小説を仕上げたことがありました。普段の執筆ペースに比べて異常な速さで進んだことも驚きでしたが、さらに驚いたのは後から読み返してみて、その質が想像以上に良かったこと。時間に余裕を持って書いた前半部よりも、締め切りに追われていた後半のほうが良かったほどです。

しかしこれは、私だけに限ったことではないようです。

本業の経営コンサルタントの傍ら、月10本以上の連載、年間約10冊もの出版を手掛け、テレビ出演や講演なども盛んに行う小宮一慶氏は、新幹線の移動時間や飛行機の出発待ちのラウンジなど、限られた時間をあえてアウトプットに使うようにしているそう。時間が限られていることで脳に程よい緊張感が与えられ、アウトプットがスムーズに、高い質で行われるためです。そのことが、驚異的なまでの小宮氏の執筆ペースを実現しています。

ノーベル文学賞の候補にもなっている作家の村上春樹は、毎日執筆する代わりに1日の執筆時間をきっちりと決め、それ以上は書かない、というスタイルで小説を書いています。まだ書きたい、と思っていても時間が来たらすっぱりと止めて、続きは翌日に持ち越すそうです。このように一種の締め切りの中に身を置くことで、独創的な作品を次々と生んでいるのかもしれません。

では、このように締め切りがアウトプットを促進するということの理由はどのようなところにあるのでしょうか?

締め切りが脳を活性化するワケ

人間は、締め切りが近づくとそれを達成するために脳がアドレナリンを分泌し、適度な緊張状態に入ります。この緊張状態に入ることで脳が活性化し、集中力や発想力が促進されるのです。

また、締め切りを意識することでドーパミンが分泌され、やる気が促進される効果もあります。締め切りが近づかないとなかなか仕事に取り掛かれないという人が、締め切り直前になって突然やる気になるのはそのような効果があるからなのです。

このように適度な緊張状態は、脳のパフォーマンスを向上させる効果がある一方、大きすぎる緊張状態は逆にパフォーマンスを鈍らせるということも分かっています。締め切りを活用するにも、その点に注意が必要です。

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自分で締め切りを設定するコツ

締め切りの効果を利用して、自分自身に締め切りを課すことでパフォーマンスを引き出すことが可能です。締め切りが少し先のタスクでも「ここまでで終わらせる」と自ら期限を課せば十分に締め切りの役割を果たします。

しかし、自分で決めただけの締め切りには拘束力が弱く、何となれば変更することも容易でしょう。そのために、ちょっとした工夫をすることで締め切りを有効活用することが重要です。

1.紙に書き、見えるところに貼る 自分で決めた締め切りを紙に書き、目に見えるところに貼っておきましょう。 紙に書くことで自分で決めた締め切りであっても破りにくくなり、目に見えるということで意識もしやすくなります。

2.締め切りのあとに人との約束を入れる 締め切りのあとに人との約束を入れてしまいましょう。 例えば、「午前中でこの書類を作り終える」と決めたなら、お昼は誰かと一緒に食べる約束をするのです。そうすることでタスクを片付けて気分転換をするビジョンも明確になり、むやみに期限を延長しにくくすることができます。

3.「頑張れば達成できる」という水準で決定する 締め切り自体を「頑張れば達成できる」というくらいの水準で決定しましょう。 締め切りを課すことは効率アップに繋がりますが、だからといって不可能が可能になるわけではありません。厳しすぎる期限を設定することは、極端に高いストレスによりパフォーマンスの低下を招きますし、人間の脳はある程度の成功確率を見込まないとドーパミンを分泌してくれないため、モチベーションの低下も招いてしまうことになります。 だからといってあまり緩い目標を掲げてしまうと、結局締め切りの効果が発揮されないかもしれないので、自分なりに試行錯誤してちょうど良いラインを見つけ出すと良いでしょう。

一般的に、成功率8割と感じる目標が、人間のモチベーションを最大化すると言われています。参考にしてみると良いでしょう。

*** 「締め切り」と聞くと憂鬱な気持ちになってしまう、という人もいるかもしれませんが、うまく使えば強力な味方になってくれます。自分でコントロールして、今まで以上のパフォーマンスを発揮できると良いですね。

(参考) President Online|なぜ新幹線に乗るとアイデアが溢れ出るか 移動時間にいい発想ができる理由 村上春樹 (2015),『職業としての小説家』, スイッチパブリッシング コンラボ|脳活性化のツボ!脳を覚醒させるポイント3つ~トレーニング・運動・食べ物 NIKKEI STYLE|仕事の集中力と効率が上がる、脳の活性法 中井経営塾公式サイト|「締め切り」があると仕事が片付く?! AiDEM 人と仕事研究所|【第18回】適度な刺激でやる気を持続させる「ヤーキース・ドットソンの法則」

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