"プリンシパル" が成功の鍵。Mr.拒否権と呼ばれた男、白洲次郎に学ぶ「筋を通す」生き方

みなさん、白洲次郎という人をご存知ですか。

日本の敗戦後の復興期に、吉田茂首相の側近として日本国憲法の策定にあたったほか、弱腰だった他の政治家たちの代わりに、連合国軍の幹部と互角に渡り合いました。

彼の口癖だった言葉は、「人間にはプリンシプル(自分の軸となるもの、何があっても絶対に譲れないもの)が一番大事」。プリンシプルという言葉について、白洲氏は次のように語っています。

「プリンシプルとは何と訳したらよいか知らない。原則とでもいうのか。…西洋人とつき合うには、すべての言動にプリンシプルがはっきりしていることは絶対に必要である。日本も明治維新前までの武士階級等は、総ての言動は本能的にプリンシプルによらなければならないという教育を徹底的にたたき込まれたものらしい」(「諸君」昭和44年(1969年)9月号)

(引用元:Wikipedia|白洲次郎

端正な顔立ちでお洒落な身なりの白洲氏は「日本で最初にジーンズを穿いた男」と言われ、若い頃からダンディーで車好き。英国留学の経験もあり、スポーツ万能。晩年にはファッションデザイナー三宅一生のモデルもやり、ゴルフも相当の腕前。生涯を通して異色の存在感を放っていたようです。

では、そんな白洲氏の「プリンシプル」を見てみましょう。

人様に叱られたくらいで引込むような心臓は、持ち合わせがない。

敗戦で意気消沈した日本において、日本人としての「魂」を忘れなかった白洲氏は、連合国軍内で「従順ならざる唯一の日本人」と言われ、「ミスター・ヴィトー(拒否権)」と呼ばれたそうです。誰かに叱られたり批判されたりすることなど、白洲氏にとっては何の問題もないこと。落胆とは無縁の人物であったことがうかがえます。

白洲氏の度胸を伝えるエピソードは他にもあります。ケンブリッジ大への留学で得た流暢なイギリス英語をアメリカ准将に褒められたときには、「閣下、あなたの英語も、もっと練習したら上達しますよ。(If you study a little harder, you will improve your English.)」と返答しました。度胸が並ではないですね。

また、留学経験から英国流ジェントルマンシップ、品格と誇りを備えた白洲氏は「われわれは戦争に負けたが、奴隷になったのではない。(Although we were defeated in war, we didn't become slaves.)」と説いたのだといいます。

自分よりも目下と思われる人間には親切にしろよ。

吉田政権が終焉する少し前の1951年、白洲氏は東北電力の会長に就任。そして吉田政権崩壊後は本格的に実業界へと復帰しました。

1950年代に白洲氏がいた東北電力東京事務所では、「職場禁煙、喫煙したければ外で吸え」」「女子職員のお茶汲み廃止、お茶飲みたければ自分で入れろ」を徹底したそうです。1950年代当時ですでにこうした取り組みを推し進めていたとは、先進的ですね。

また、運転手つきの社用車に乗るとき、白洲氏は好んで助手席に座り、食事の店に来ると「何でもいいから、先に運転手に食べさせて」と、運転手の食べ物を注文するのが常だったそうです。「運転手を待たしてゴルフする奴なんか、ゴルフをする資格はない。」とも言っています。

「地位が上がれば役得ではなく“役損”と言うものがあるんだよ」と地位に固執せず、「政治家も財界のお偉方も志がない。立場で手に入れただけの権力を自分の能力だと勘違いしている奴が多い」と批判しています。現代でも通用するほど立派な考えと言えるでしょう。

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人に好かれようと思って仕事をするな。むしろ、半分の人には嫌われるように積極的に努力しないと良い仕事はできない。

これは、サングラスと長靴で走りまわる異色の会長を務めていた東北電力時代に、大変過酷なダム建設事業を請け負った前田建設工業の社長に言ったアドバイスです。

白洲氏は終戦直後、商工省の外局として設立された貿易庁の長官に就任すると、接待や汚職根絶などに辣腕を振るい、商工省を改組し通商産業省(のちの経済産業省)を設立しました。その当時、他者に嫌われることなど厭わない激しい白洲氏の仕事ぶりは、「白洲三百人力」と吉田首相に表現されたのだそうです。

また、その頃すでに、このようなことを言っていました。「今の日本の若い人に、一番足りないのは勇気だ。『そういう事を言ったら損する』って事ばかり考えている。」

*** 軽妙なジョークも好きだった白洲氏。夫婦円満の秘訣はと尋ねられて、「一緒にいないことだよ」。晩年、東京赤坂病院に入院する前には、テレビで相撲を見ながら長女に「相撲も千秋楽、パパも千秋楽」と話し、入院した病院で看護師に「右利きですか? 左利きですか?」と尋ねられたときは、「右利きです。でも夜は左(でお酒を飲む)」と答えたそうです。

妻の正子と子息への遺言書には「葬式無用 戒名不用」と書いていたそう。彼のプリンシプルはここまで貫かれていたようです。 最後まで颯爽とダンディーですね。

(参考) KIWABISM|ブレない人間は格好いい。そのためには自分の生き方の軸を持っていないといけない。 Wikipedia|白洲次郎 北康利著(2005),『白洲次郎 占領を背負った男』,講談社. 青柳恵介著(2000),『風の男 白洲次郎』,新潮社.

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