うまい企画書が書きたい。説得力のある資料を作成したい。でもなかなか難しい……。そんなことで悩んでいませんか?

企画書や顧客への提案資料などには、ある種の独特な規格のようなものが存在しています。

先輩が作成した前例を参考にできるならまだ良いほう。でも、優れた資料とはどのようなもので、規格に合うためにどんな作り方をすれば良いのか……、その点をしっかりと習う機会は少ないのではないでしょうか。仕方なく本やネットを参考にして自分なりのやり方を考えてみたとしても、どうにもしっくりとくる情報が見つからなければ、結局手探りで資料を作成することになります。そんなやり方では、うまくいくとは限りませんよね。

優れた資料を作れることは、優れたビジネスパーソンに求められる重要な資質の一つです。明快で説得力のある資料からは、作り手の有能さが垣間見えます。取引先や上司・同僚からの信用も勝ち取りながら、仕事の進行自体も円滑になる、優れた資料はそんな力を持っているのです。

そこでここでは、どうすればそのような優れた資料を作れるのかを根本的な部分から考え、すぐにでも実践できる資料作成のコツを提案したいと思います。

分かりやすい資料、分かりにくい資料とは、どのようなものか?

優れた資料の条件というのは、何よりもまず分かりやすいということです。

しかし一口に分かりやすいと言っても、それがどういうことなのかを考えてみると、なかなか難しく感じられてしまうもの。そこでまず、分かりやすい資料と分かりにくい資料の特徴を簡単に整理してみましょう。

分かりやすい資料の特徴:
・具体的である。
・ロジカルである。
・無駄が少ない。

分かりにくい資料の特徴:
・抽象的である。
・ロジカルでない。
・無駄な要素が多い。

あなたが作る資料が、分かりやすい資料の条件を満たしているかどうか、確認してみてください。

具体的な数値や例を提示せず、抽象的な表現を連ねてしまってはいませんか?
要素を連続して並べるだけで、それらを繋ぐロジックをおろそかにしてはいませんか?
あれもこれもと詰め込んで、要点がどこにあるのか埋もれさせてはいませんか?

この三点に注意してみるだけで、資料はグッと見やすいものになるはずです。

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資料の質は“仕込み”で決まる

優れた資料のキモについて確認しましたが、しかしそれが分かったからと言ってすぐに実践に移すのは難しいかと思います。なのでここからは、優れた資料の条件を満たすための具体的な方法を紹介します。

まず重視するべきなのが、資料作りの最初の一手です。あなたは資料を作るときに、最初に何から始めますか?

とりあえずパソコンのエディタを開く、というのは、実は悪手でしかありません。資料作りの最初に必要なのは、パソコンではなく紙と鉛筆、これだけです。

大切なのは、下準備を十分に整えること。その段階をきちんと煮詰めず、見切り発車で資料を作り始めてしまうと、気付けば要点がぼやけてしまったり、論理展開が混乱したりして、伝えるべきことが伝わりにくい資料になってしまいます。

下準備を整えることは、旅に出る前に地図を確認するようなものです。行き先も道も分からずに歩き初めてしまったら、最悪の場合迷子になってしまいますよね。資料作成もそれと同じで、紙と鉛筆を用意して資料全体の設計図を書いてみるところから始めましょう

設計図を書く上で重要なのは「課題」と「解決策」の二点です。これらは地図で言うのなら、出発地と目的地にあたります。紙に大きく余白を取って、その二つを記入してください。

そのままではまだ、情報は繋がっていないはずです。そこで、「課題」と「解決策」の間にある空間に「どのようにしてそれらを繋ぐか」ということを少しずつ記入していきましょう。こうすることで重要な要素を漏らさず、且つロジックのしっかりとした資料の骨組みを作ることができます。

設計図を書くなんて、面倒にも思えるかもしれません。しかし、この作業をするかしないかで、資料の質は間違いなく大きく変わります。面倒がらずに、最初にひと手間かけるのが、優れた資料を作るために最も重要なことなのです。

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優れた資料は“ひと目”で分かる。資料をスリム化する三つの心得

設計図を書き終えたら、実際に資料作りに入ります。ここで最も気をつけるべきことは「シンプルさ」という部分です。

シンプルな資料ほど、重要な情報がひと目で分かる気持ちよさがあります。無駄な要素がベタベタと貼り付けられた資料は、せっかくきちんと骨組みが練られたものであっても、ロジックが埋もれてしまい分かりにくい資料になってしまいます。必ずしも必要ではないという要素は、極力削って資料のスリム化をこころがけましょう

大事なのは、「構成がシンプルであること」「文章がシンプルであること」「結論が先に述べられていること」の三点です。

構成のシンプルさ

資料を作り始めると「あれも言いたい、これも書きたい……」とつい情報を盛り込んでしまいたくなるでしょう。そこで参考にしてほしいのが、「何を削るか」の指標になるのは「何を削ってはいけないか」という部分である、ということ。

上でもお伝えしたように、資料で最も大事なのは「課題」と「解決策」のセット。ですから、その二つに的を絞って、周辺事項は極力排除してください。入れるにしても「課題」と「解決策」の関係がぼやけてしまわないように配慮しながら入れることにしましょう。

文章のシンプルさ

文章を書く上でも、シンプルさを意識することが大切です。しかし実際に文章を作ると、その文章が本当にシンプルなのか、相手に伝わりやすいのか、上手く判断できないこともあるかと思います。

自分では分かりやすくしたつもりでも、修飾関係が重なって複雑な構造になっていたり、接続詞が曖昧で理解しにくくなっていたり……。

そこでシンプルさを測る基準として、その文章を一度英語にしてみるというのを提案します。

固有名詞の英単語が分からなければ、そのままローマ字で構いません。自分の書いた文章を簡単に英訳してみてください。英語は論理展開が非常に明快な言語ですので、英訳のプロセスを経ると、文章の論理的整合性が取れているかが確認できます。母国語である日本語ならば、慣れているせいで何となく使ってしまうような表現が、実は特殊な構文を使わないと英訳できないということに気付くことになるかもしれません。そんな文章はとてもシンプルとは言えませんので、別の表現方法を用いて書き直しましょう。

結論を先に述べる

シンプルさに加えて重要なことは、結論を先に述べるということです。

プレゼンの技術であるSDS法やPREP法においては、どちらも最初に「要約(Summary)」や「結論(Point)」を配置することで聞き手を引き込むようになっています。(※SDS法とは「Summary(要約)→Details(詳細)→Summary(要約)」の順に、PREP法とは「Point(結論)→Reason(理由)→Example(例)→Point(結論)」の順に、プレゼンを進める手法)

文章の読み手や話の聞き手に結論を先に知らせることは、結論に至るまでの論理について順を追って理解させるために重要なこと。もしも文章の行き先が分からなければ、着地点も分からない話に延々と付き合わされてうんざりしてしまう人もいるでしょう。そうなってしまわぬためにも、最初に結論を提示して「話はここに向かいますから、安心してついて来てください」と相手にメッセージを送ることが大事なのです。

資料とは“手紙”である

ここまでお伝えしたことを押さえれば、作成する資料の中身はグッと分かりやすく、充実したものになっているはずです。

しかし、最後に最も気をつけなければならないことが残っています。それは、誰かに手紙を書くように資料を作らねばならないということです。

誰かに手紙を書くとき、まずどんなことを考えますか? 相手のことを思い浮かべないという人は一人もいないと思います。相手を思い浮かべるからこそ、伝わりやすい表現や、相手の知識量に合わせた言葉が自然と選び取られるのです。

資料を作るときに必要なのも、それと全く同じこと。手紙に相手がいるように、資料にだってそれを手に取り、目を通す人間がいます。それは上司かもしれないし、取引先の人かもしれません。いずれにせよ、その相手に何かを伝えることが、資料を作る目的のはずです。

だからこそ、その人のことをきちんと意識して、最も読みやすい表現で資料を作っていくようにしましょう。

そうすることで適切なスペースのとり方やレイアウト、言葉遣いなどの細かい部分が読み手に対して最適化され、読みやすく、伝わりやすい優れた資料が完成することになるのです。

***
資料というと仕事のための書類と感じてしまいがちですが、誰かに情報を伝えるという意味で「メディア」のひとつなのだと意識するのが大切です。
資料を「作る」のではなく、情報を「伝える」のだと考えて、読み手のことを意識すれば、自然と良い資料とは何か、その答えが見つかるはずです。

(参考)
唐木元著(2015),『新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング 』,インプレス.
はじめてWEB|Web文章入門(全6回) 第2回:わかりやすい文章の10大原則
earth in us.|「シンプルな文章の書き方」 ― 読まれなかった文章をカイゼンしてわかったこと
HappyLifeStyle|SDS法とPREP法は、プレゼンでは欠かせない基本構成。