あなたは今「自然体」ですか? 自然体は、「気負いのない、自由な態度」「力まずに物事に臨む態度」などと定義されます。「慎ましさ」が美徳とされる日本の社会では、自然体でいたくてもなかなか難しいと感じる人も少なくないのでは。
ところで、「周囲に気を配り、自分の意見もほどほどにして、当たり障りのないように相手に合わせよう。」という人に対して、あなたはどのような印象を抱きますか? 相手のためにと思ってしている事が、実は相手にも窮屈な気持ちをさせているかもしれません。
今回は、自然体を身につけて、魅力的な人になる方法をご紹介します。
自然体で好感度アップ?
みなさんは、自然体の人と言われて誰を思い浮かべますか? 芸能人で言うと、タモリさんや所ジョージさん、女優では綾瀬はるかさんといったところでしょうか。こうした方々はみなさん共通して、好感を抱かれやすいものです。「親しみがもてる」「ストレスが少なそう」「コミュニケーション能力が高そう」そんな印象もありますね。
だとしたら……好感を得るために周囲に気を遣ってきたのは少しおかしなことのような気がします。
「自然に振る舞う方が良いのは分かっている。でもそれができたら苦労しないよ……。」と、思う方もいることでしょう。でもそれは、単なる思い込みかもしれませんよ。 脳科学者の茂木健一郎さんの著書「脳を活かす考え方」にはこう書かれています。
「素の自分を出して自分が感じた事を言ってしまったら、相手に怒られるのではないか」「場の雰囲気が壊れるのではないか」、と心配になりますよね。 そこは経験だと思って、潔く怒られるしかありません。「怒ったら怒ったでいいじゃないか」と。 その場に合わせて自分を偽るのと、素の自分でいるのと、一体どちらが自分にとってストレスが少ないか考えてみてください。きっと、後者の方がストレスは少ないはずです。 人間にとって理想のコミュニケーションのあり方は、自然体でいる事だと思います。
(引用元:茂木健一郎著 (2013),「脳を活かす伝え方、聞き方」,PHP新書)
自然体でいるということは、潔く自分を開示するということに近いことでしょう。その潔さこそが、相手に好感を抱かせることにつながっています。 「相手の態度は自分の鏡だ。」という言葉があります。壁を作り、表面だけで接している相手は、こちらに対しても同じように接してきます。ありのままの自分を見せることが、相手の懐に入る唯一の手段かもしれません。
自然体がもたらす「フロー状態」とは?
自然体でいることには、さらに大きな利点があります。前述の茂木さんの著書には、こうあります。
自然体でいるためには、まず一緒にいて一番リラックスできる相手といる時の自分であるように心掛けてみましょう。 一番リラックスしている状態とは、心理学者のミハイ・チクセントミハイが提唱した「フロー理論」に当てはまります。
(引用元:茂木健一郎著 (2013),「脳を活かす伝え方、聞き方」,PHP新書)
「フロー」とは、その時にしていることに完全に没入し、集中しているけれど同時にリラックスしているという状態を指します。アスリートが高いパフォーマンスを出している時などは、この状態であることが多いそうです。
日本語では「忘我の状態」とも呼ばれ、「没頭して物事に取り組んでいたら、いつの間にかこんな時間になっていた。」という時の集中状態のこと。
つまり、自然体を意識することは、能力を最大限に引き出す集中状態に繋がるのです。たしかに、周りを気にしすぎるあまり、注意力散漫になり目の前のことに没頭できないということはありそうです。自然体のふるまいを身につけることで、どこで、誰といようと成果を出しやすくなるかもしれません。
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いかがでしたか? 自然体でいることは、相手に好感を与え、自分も疲れない最良の処世術と言えるのではないでしょうか。そして周りの反応をうかがいながら行動していた時よりも魅力的な人に感じさせるはずです。
しかし気をつけたいのは、「自然体」は、「自分本位」とは違うということ。礼儀をもって人に接することが大前提です。その中であなたらしく、リラックスして物事に取り組むことで、きっとあなたの魅力が発揮されていくでしょう。
(参考)
茂木健一郎(2013),『脳を活かす伝え方、聞き方』, PHP研究所. YOMIURI ONLINE|(8) アスリートの脳を科学する TED | ミハイ・チクセントミハイ:フローについて