みなさんは、仕事や学業、スポーツなどでスランプに陥ってしまったことがありますか。努力を怠っていたわけではないのに、これまで当たり前にできていたことが突然できなくなっていると気づいた経験もあるかもしれませんね。そのような時、このまま調子の悪い状態がいつまでも続くのだろうか、と不安に思う人も中にはいらっしゃるでしょう。

仕事や成績など、一定以上の成果が求められる場面においてスランプに陥ると、様々な弊害が生まれてしまいます。できることなら、スランプは早めに乗り切りたいものですよね。そこで今回は、スランプから脱出する方法についてお伝えしたいと思います。

スランプの正体

スランプとは実際のところ、どのような状態のことを言うのでしょう。大辞林第三版によれば、スランプは次のような状態を指すのだそうです。

気力や体調が一時的に衰え気味で、仕事の能率や成績が落ちる状態

(引用元:コトバンク|スランプ

スランプと似ているものに「プラトー」がありますが、こちらはスランプとは異なり、成長曲線において成長度合いが横ばいになっている時期を指します。つまりプラトーは、「できていたことができなくなる」というよりは「なかなかできるようにならない」という状態が続く停滞期間なのです。

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なぜスランプから脱出できないのか

一旦スランプに陥ってしまうと、そこからすぐに脱出するのはなかなか難しいものですよね。なぜ、スランプから脱出できなくなってしまうのでしょうか。

社会心理学者である岡本浩一氏によれば、「認知の枠組み」がずれてしまうとスランプに陥りやすいのだそう。「認知の枠組み」とは、自分が持つスキルや知識から自身の動きを予測して行動に移すために用いられる枠組みのことです。

知識が増えすぎることなどによって「認知の枠組み」がずれ、必要な知識の検索効率が悪くなったり必要度の低い知識を検索したりするようになると、状況に対する正しい行動が選択できなくなってしまいます。これが「勘が狂う」というスランプに陥った状態であり、成果を出しにくくなってしまうのです。

さらに自分のモチベーションの問題が加わると、よりいっそうスランプから抜け出しにくくなり、苦しい状態が続いてしまいます。モチベーションが低いためにスランプが長引く場合もあれば、スランプが長引いているためにモチベーションが下がりスランプから抜け出しにくくなってしまう場合もあるのです。

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スランプから脱出する方法

では、私たちはどうすればスランプから脱することができるのでしょうか。次に、具体的な方法を2つご紹介します。

1. 気分転換を行う
将棋界において初の7タイトルを独占した将棋棋士である羽生善治氏によれば、うまくいかない時はそれが単なる不調なのか、実力を反映しての結果なのかを見極める必要があるのだそう。同氏は、実力が足りないのなら勉強が必要であるものの、ただ調子が悪い時は気分転換を行うと良いと言います。

調子を取り戻そうとして過度に自分を追い込むと、それが逆にプレッシャーとなって成績を落としかねません。そしてこのままではいけないと自分を追い込む、もっと成績が下がる、また追い込む……、というように、悪いスパイラルにはまってしまうのです。なんとかしようともがけばもがくほど、蟻地獄にはまったかのように抜け出せなくなって、スランプが長引く可能性があります。

例えば、普段は優秀なのにここ最近は仕事でミスが続いてしまい、上司からも叱られて落ち込んでいる人がいたとします。はっきりと思い当たる原因は分かりません。考えられるものとしては、もしかすると連勤で日頃の疲れが解消できていないのかもしれません。または、優秀であるがゆえに周囲からの期待がだんだん重く感じられるようになったのかもしれませんよね。

調子が悪い時に無理をする必要はないのです。気持ちを切り替えられれば、また調子良く取り組めるモチベーションを取り戻せるに違いありません。読書でも旅行でも、自分の好きなことをする時間を作りましょう。

2. 何もしない
スランプから脱出したいのに何もしないというのは、意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。プロ野球選手であり現在はメジャーリーグで活躍しているイチロー氏は、スランプの対処法は「対処しない」ことであると言います。一時的に調子が悪い時は、辛くてもそのまま続けて次に良いタイミングが回ってくるのをじっと待てば良いのだそう。

確かに、自分の良い調子が常に保てているという状態はなかなかありませんよね。変化する可能性のあるものに対して、わざわざ一喜一憂する必要はないということなのでしょう。

例えば、受験勉強や資格の勉強でいつもは得意な分野の成績が急に落ち、その状態がしばらく続いているとしましょう。普段ならどうにか回復させなければと悩んでしまうかもしれませんが、一度その調子のまま続けてみてください。淡々と経験を積んでいけば、次第にずれていた「認知の枠組み」が修正され、スランプを脱することができるでしょう。

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スランプになったからといって、焦る必要はありません。スランプに陥ってしまったと感じた時は、ぜひお伝えした方法を試してみてください。

(参考)
岡本浩一著(2014),『スランプ克服の法則』,PHP研究所.
リチャード・L・ピーターソン著,岡村桂訳(2011),『脳とトレード 「儲かる脳」の作り方と鍛え方』,パンローリング.
BIZDRIVE|イチローや羽生善治に学ぶ、スランプ脱出のコツ
進路のミカタ|スランプになったとき……それは「プラトー」という状態かも?
コトバンク|スランプ