計画を練ってその通りに進めるようにしていても、想定外のことが起こると途端に思うように進まなくなってしまいます。想定外に適切に対応するにはどうすればいいのでしょうか。

今回は、想定外を極力減らしつつ、それでも起こってしまった想定外に対処する方法を紹介します。

想定外の事態が起こる原因

なぜ、想定外と呼ばれる事態が起こってしまうのでしょうか。東日本大震災において事故調査・検証委員会に参画していた柳田邦男氏は、大きく3つの理由が考えられると述べています。

A 本当に想定できなかったケース。
B ある程度想定できたが、データが不確かだったり、確率が低いと見られたりしたために、除外されたケース。
C 発生が予測されたが、その事態に対する対策に本気で取り組むと、設計が大掛かりになり投資規模が巨大になるので、そんなことは当面起こらないだろうと楽観論を掲げて、想定の上限を線引きしてしまう。

(引用元:情報システム学会|連載 プロマネの現場から|第56回 「想定外」を考える|

しかし、実際に過去に起こった想定外がAのパターンであることは極めて少ないそう。たしかに想定外のことが起こったとき、「もう少し準備しておけば防ぐことができたのに」と思うことはよくありますよね。つまり、たいていの想定外は事前の対処で想定内にできるのです。

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想定外の事態が起こるデメリット

では、想定外が起こるとどのようなデメリットが生じるのか考えてみましょう。

まず、想定外の出来事が起こると計画通りに物事が進まなくなり、予定していた計画が破たんします。その結果、目標の達成が困難になり、失敗に終わるケースが多いのです。また、この想定外によって生じた焦りがさらなる失敗を生むという悪循環が生じてしまうこともあるでしょう。

想定外の事態にならないよう防止することはもちろん、たとえ想定外の事態になってしまっても正しく対処し、想定外から抜け出せることが重要です。

想定外の事態を防止するコツ

想定外の事態を起こさないためにも、想定外を防止するにはどのような方法があるのか見ていきましょう。

1.計画を立てる
行き当たりばったりの行動ではすべてが未知の世界。当然、想定外のことが起こりやすくなってしまいますよね。
そのためにも事前にしっかりとした計画を立て、本番でも余裕を持った取り組みができるようにしておくことが大切です。たとえ想定外の事態が起こっても、心も時間にも余裕があるため、軌道修正がしやすくなります。

2.想像力を膨らませる
日頃からどんな事態が起こりうるか、あらゆる場面を想定しておきましょう。たとえ解決策まで十分に練ることができていなくても、全く想定していなかった出来事と頭の隅にあったことでは、心持もだいぶ変わってくるはずです。

3.シミュレーションする
実際に動いてみると、頭の中だけでは想定できなかったあらゆる可能性が見えてくることがあります。どんなに優れた人でもリハーサルなしに完璧にこなせる人はほとんどいません。本番以上にシミュレーションは大切にするべきなのです。何度も何度も回数を重ねることで精度を上げることができ、仕上がった状態で臨むことが想定外を遠ざけます。

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想定外の事態の対処法

しかし、ほとんどのことが想定可能とはいえ、多くの想定外が予想されるため、すべてに対処方法を検討しておくのは困難です。また、完璧に想定したつもりでも、さらに想定の範囲を超えた事も起こりえます。

では、実際に想定外の事態になってしまった場合にはどうすればいいのでしょうか。「配布資料が足りない」という状況を例に紹介します。

1.状況を正確に理解する
想定外のことが起こってパニックになってしまっては何も解決しません。
5W1H(Who・What・When・Where・Why・How)を活用し、事態を正確に把握しましょう。「いつ・どこで・誰に・何が・どうして起こったのか」を心がけるだけで簡単に状況の整理ができます。

最初は、資料が足りていないことが分からず、聴衆の反応がおかしいことに気づくでしょう。どうして混乱しているのか、“いつ”から困っているのか、どこで躓いているのか……。次に重要になってくるのが「How」。半分以上の人に行き渡っていないのか、はたまた一人分だけ足りないのか。どれくらいの想定外であるかによって対策は異なってきますよね。今回は「3部足りない」という状況を例に次のステップへ進みます。

2.解決策を考える
次に想定外から脱却する手段を考えましょう。考えられる時間は少ないですが、仲間と相談し、多くの解決策を出すことが次につながります。「今から3部追加で印刷する」、「3人は隣の人とシェアしてもらう」、「発表者用の資料を代用する」など、考えられる案をどんどん出していきましょう。

3.最善の選択をする
解決策がいくつか提示できたら、どうすれば一番良い結果となるか考えて最善の方法を選びましょう。A案とB案を複合させてもよし、瞬時に判断できなければ片っ端からやってみるのあり。今できるベストの対処を選びましょう。

「今から3部追加で印刷する」→今から印刷していたのでは時間がなくなってしまう。
「3人は隣の人とシェアしてもらう」→シェアしていると書き込みができない。
「発表者用の資料を代用する」→最初は資料は必要ないから、印刷が完了するまで発表者は持っていなくても大丈夫。

このように結果を想定したことで、「最初は資料がなくても大丈夫なので、3部を印刷している間はシェアしてもらう」という結論に至りました。

4.行動する
最善の方法が選択でたら、あとは行動するのみ。慌てず計画の変更を周知し、行動しましょう。想定外の事態だと思うと、多くの人は不安になります。「最初は資料は特に必要ないので、今手元にない人も問題ありませんよ。後で配布しますからね。」という風に計画を変更した理由を明確に伝え、安心感を与えることができれば上手く対処できたといえるでしょう。

想定外の事態はどんなに準備をしても起こる可能性があります。想定外から方向修正できる人が、どんな仕事にも対応できる人として評価されるのです。

5.再発防止
想定外のことが対処できたら終わり、という訳ではありません。どうして想定外のことが起こってしまったのか、その原因を模索し、同じことが起こらないよう対策を立てましょう。

注目すべきは最初のステップで考えた5W1Hの“Why”。理由が分かれば、解決策が立てられるはずです。具体的には「1人の確認で済ませていた」、「正確な人数を把握できていなかった」といった理由から、「複数人で確認する」、「正確な人数の把握が難しい場合は想定の2倍の数を持ってくる」というように再発防止策を練ります。想定外としっかりと向き合えば、想定外はただの失敗ではなく、成長の糧となるでしょう。

ここで紹介してきたことは当たり前に思えることであり、決して難しい手順ではありません。想定外の事態でも慌てず、冷静に判断していくことが何よりの想定外の対処法なのです。

***
“想定外のこと”は悪いイメージがありますが、うまく対処することができれば必ずしもそうではありません。想定外のことが起きたからと焦らず、「想定外は想定内」と想定外を楽しめる心を持つことが、どんな仕事でもこなせる武器になりますよ。

(参考)
畑村洋太郎 (2011),『「想定外」を想定せよ! 失敗学からの提言』, NHK出版.
情報システム学会|連載 プロマネの現場から|第56回 「想定外」を考える|
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