スキルアップにこそ娯楽を使え!? 創造力を高めるための「音楽」と「映画」の選びかた。

ビジネスの世界では、新しいものをつくり出す「創造力」が重要視されています。とはいえ、どんなに熟練した人でも、常にアイデアを出し続けることは難しいものですよね……。

ところが、楽しくなるような音楽を聴いたり、映画を観て感情を揺り動かされたりすることで、創造力を高められるかもしれないのです。

「ハッピーになれる音楽」が創造力を高める?

脳科学者の茂木健一郎氏によれば、好きな音楽を聴くだけで脳の報酬系が活性化し、食べものや飲みものを摂取したときのような “歓び” の脳活動が起こるといいます。その理由は、脳内で神経伝達物質ドーパミンが大量に分泌されるから。これは、カナダ・マギル大学研究チームの発表(2011年)で明らかにされています。したがって、やる気を増進したいときは、自分の好きな音楽を聴くことが役立つわけです。

また、ほかにも音楽の可能性を示す研究結果が、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に発表されています(2017年9月)。ラドバウド大学のSimone M. Ritter博士と、シドニー工科大学のSam Ferguson博士は、音楽が “思考能力” に及ぼす影響を調べるため、学生ボランティア155人を5つのグループに分けて、以下の「音」状況下におきました。

1.落ち着いた気持ちにさせる音楽―(カミーユ・サン=サーンスの「白鳥」) 2.幸福感をもたらす音楽―(アントニオ・ヴィヴァルディの「四季『春』」) 3.悲しい気持ちさせる曲―(サミュエル・バーバーの「弦楽のためのアダージョ」) 4.不安感をもたらす曲―(グスターブ・ホルストの「火星、戦争をもたらす者」) 5.音楽なしの無音

そして、そのなかで以下2種類の思考力テストを行ったのです。

・「収束的思考」テスト――複数の情報から、すべてに関連した答えにたどり着く →論理的思考力や正確性を調べる目的

・「拡散的思考」テスト――既存の情報をもとに、新しいアイデアを生み出し問題解決につなげる →創造性を調べる目的

その結果、幸福感をもたらす音楽(ヴィヴァルディの「四季の中の『春』)を聴きながら、創造性を調べる「拡散的思考」テストを行った被験者が、他に比べて高得点を獲得したそうです。ちなみに、この結果は、被験者の音楽的な嗜好は影響していないそう。研究チームは、幸福感をもたらす音楽が思考の柔軟性に影響を与えている可能性を示唆しています。

いずれにせよ、ハッピーな音楽は幸福感と高揚感をもたらし、それが創造力を高めてくれると期待できるのです。

感情を揺り動かす映画は創造力を高める?

音楽だけではありません。映画を観ることも大いに役立ちますよ。

ワシントン大学ビジネススクールのChristina Ting Fong氏によれば、感情の起伏が激しいほど、創造力も高まるのだそうです。102名の大学生に「今までの人生で体験した感情的な出来事」を思い出してもらい、その当時の生活の変化、仕事や学業の成績などについて調べたところ、感情の起伏が激しいときほど、創造的な活動性が高まっていたのだとか。

また、138名の学生に、

1.感情の起伏を激しくする映画 2.面白味のない映画 3.単に楽しい映画 4.悲しい映画

を鑑賞してもらったあと心理テストを行ったところ、「感情の起伏を激しくする映画」を鑑賞したあとは、創造力が高くなるとわかったそうです。

脳科学者の加藤俊徳博士はこう述べます。

脳は同じ使い方を続けると、楽をしようとして、省エネを覚えます。1時間かかったことが、30分でできるようになります。若いころは、これは「進歩」でしたが、50代に入ると、この脳の省エネ化は「退化」を招きます。

(引用元:文春オンライン|1万人の脳画像でわかった 40歳からの脳の鍛え方

つまり、感情の起伏が激しくなるということは、マイナスとプラス双方の感情が入り混じる複雑な状況下にあるということ。そして、それを克服していくためには、柔軟な創造力が必要となるわけです。ルーティンワークを楽にこなすだけの毎日では脳が退化していくように、感情が揺り動かされることがないまま、脳を省エネ状態にして毎日を過ごしていると、創造性が奪われてしまう可能性があるのです。

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音楽と映画を楽しんで創造力を高めよう!

これまでのことをまとめると、創造力を高めるために有効なのはこの2つ。

●幸福感をもたらす音楽を聴く ●感情の起伏を激しくする映画を観る

“幸福感をもたらす音楽” については、研究でも採用されたヴィヴァルディの「四季『春』」や、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク ト長調 K.525 第1楽章」なんていかがでしょう。

また、“感情の起伏を激しくする映画” に関しては、限りなく窮地に追い込まれた主人公が、最後には大逆転劇を見せたり、大団円になったりするような物語がおすすめです。

*** “感情の起伏を激しくする映画” を鑑賞したあと、例えばクラシック音楽が流れる昔ながらの喫茶店でヴィヴァルディの「四季『春』」をリクエストし、ボーっとしながら上質なコーヒーを楽しんで、「ハッと」自分でも驚くような創造性を発揮してください!

(参考) Forbes JAPAN|ハッピーな音楽は創造力を向上、研究結果が関連性を示唆 まぐまぐニュース!|感情の起伏が激しい人ほど、創造力が豊かなことが明らかにー米研究結果 PRESIDENT Online|脳が深く活性化するBGMの選び方 文春オンライン|1万人の脳画像でわかった 40歳からの脳の鍛え方

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