文章を速く書くことができず、悩む人は結構多いのではないでしょうか。なぜならば、今は多くの場で「書く」ことが求められる時代だから。

「伝わる文章」や「きれいな文章」はもちろん大切ですが、速く文章を書くことも重要です。速筆になるため日々奮闘する筆者とともに、書くスピードが遅くなってしまう原因を探り、速く文章を書くコツをインプットしていきましょう。

「文章を速く書ける」が求められている

ビジネスにおいて、今ほど「書く」ことが求められている時代はないと、『10倍速く書ける 超スピード文章術』の著者で、ブックライターの上阪徹氏はいいます。ビジネスパーソンの方々は、メールや報告書、資料づくりに企画書、議事録、販促としてのSNSやメルマガと、「書く」ことに、日々多くの時間を費やしていることでしょう。

それはつまり、書くことが速くなれば、仕事も速くなるということ。逆をいえば、書くことが遅ければ、そのぶん仕事の効率も悪くなるということです。

文章を書くスピードが遅いまま、それを放置していると、仕事の効率とともに評価まで下がってしまうかもしれません。

兵法家の孫子は、「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきを賭ざるなり」と説いたとか。これは、兵士の戦術や進め方について書いたことですが、「場合によっては上手でなくとも、迅速に物事を進めるべきだ」という考え方を示す際に、よく引用されます。

ただし、決して適当に速く書くことが“良し”とされるわけではありません。質の高い文章であることに、越したことはないのです。問題は、質にこだわりすぎて時間をかけてしまうこと。

小説家やエッセイストが書く文章は魅力的であることが重要なので、時間をかけることも必要でしょう。しかし、ビジネスで用いられる文章は明確で分かりやすいこと。そして、スピードなのです。

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なぜ遅くなってしまうのか

では、なぜ文章を書くのが遅くなってしまうのでしょうか? 原因として考えらるのは、主に以下の3つです。

・いきなり書き始めてしまう
―文章の構成を考えないまま“いきなり書き始めてしまう”と行き詰まり、立ち戻ったり思い悩んだりして、時間がかかってしまう。

・頭から順番に書いていこうとする
――この場合、導入文でつまづくと一向に進まなくなる。長い時間が経って、気がついたときには、導入文しかできていないなんてことに……。

・最初から完璧な文章にしようとする
――文章の流れや美しさ、正確さにこだわりすぎて時間がかかり、挙句の果てに途中で集中力が途切れてしまう。

これらを踏まえて、次に速く書くコツを紹介していきます。

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文章を速く書くコツ

1.素材(情報)をしっかり集める

テーマが決まったら、それに見合う情報を集めましょう。長い文章であればあるほど、たくさん必要になります。調べながら書くのは効率が悪いので、先に情報を多めに入手しておきます。ブックライターの上阪徹氏は、「文章の素材(情報)集めに集中することが、速く書くためのポイントだ」といいます。

ちなみに上阪徹氏がいう、素材(情報)とは「事実・数字・エピソード」のこと。「数字」が必要な理由は、例えば「売上が以前より劇的にアップ」というイメージだけの文章ではなく、「今年度1年間の売上を昨年度と比べてみると、20%増収」といった具体的な文章にするためです。

2.文章の構成を可視化する

書き始める前に、集めた素材を使い、どういう順番で書いて、どうまとめていくか考え、それを書いて可視化しましょう。可視化する理由は、アウトプットすることで考えがまとまるから。また、この工程において人間の脳には限界があるため、アウトプットしてしまったほうがいいからです。

目的に必要な情報を一時的に保つ、脳のワーキングメモリーの働きは1~2時間ほどしか持ちません。それに、考えた「構成」を頭の端っこに置いて脳のメモリを使ってしまうと、書くという処理能力を低下させてしまいます。

フリーライターの地蔵重樹氏は、「アウトラインとして見出し案を書き出し、見出しの下に本文のアイデアを箇条書きでぶら下げておくと、あとで楽になる」とアドバイスしています。

3.一気に書いてしまう

素材が集まり、構成を考えたら文章を書いていきましょう。文章がちょっと乱れても、あとから直せばいいので、手を止めず書き進めます。調べる必要があるものも、「★★★」や「あああ」といった伏せ字にしておき、あとで調べます。

最初から完璧に書き上げようとすると時間がかかるので、とにかく一気に書いてしまうことが重要です。これは、集中力を保つ秘訣でもあります。

4.書きやすいところから書く

文章が思い浮かばない場合は、それを後回しにして、書きやすいところから書いていきましょう。そうしないと、その場所で長い時間「書く」という行為が停滞してしまいます。

「文章を書くのが遅い人は、『作文』の習慣に捕らわれているかもしれない。文章は頭から順番に書くものだという習慣が無意識に残っている」と地蔵重樹氏はいいます。

書き方ではなく「何を書くか」に集中するためにも、筆が進むところから埋めていきましょう。そうすることで、おのずと集中力が高まります。

なお、筆者がよくやるのは、「結論」から書いてしまうこと。ついつい書くことに夢中になり、ゴールを間違えて暴走してしまう人にもおすすめの方法です。

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書きあげた文章を、最終的にチェックする際は、いったん間をおいてから行いましょう。そうすることで、頭が切り替わり客観視できるようになります。

文章を書いた流れでチェックを行うと、細かいところが気になったり、逆に“慣れ”からくる思い込みのせいで、不備な箇所を見落としてしまったりすることも。

可能なら一晩、無理ならば5分でも10分でも席を立ちリフレッシュしてから、頑張って書いた自分の文章をよく確認してあげましょう。

(参考)
PENYA|筆が速い人に学ぶ、文章を効率的に書くための4つのヒント
J-WAVE NEWS|文章が10倍速く書けるようになるコツ
リクナビNEXTジャーナル|ビジネス文章が「もっと速く書ける」ようになる“シンプルな考え方”――上阪徹の『超スピード文章術』
ダイヤモンド・オンライン|文章を超速で書ける人は「○○」にこだわらない 超スピード文章術
巧遅は拙速に如かず|故事ことわざ辞典
茂木健一郎著(2008),『脳を活かす仕事術』,PHP研究所.