みなさんは、ストレスを感じた時にどのように対処していますか?

学校や仕事、プライベートでも、現代は何かとストレスが溜まりやすい社会です。筆者は、運動をしたり、美味しいものを食べて溜まった鬱憤を晴らしていますが、そのための時間を取らなくてはならないため、なかなか気軽にはできません。

では、気軽にストレスを軽減させることができるものはないのでしょうか? 今回はストレスを減じることについてのお話です。

ストレスは全世界で問題になっている

日本に生きている私たちは、特に「ストレス」が我が国における重要な問題になっていることを認識しているはずですが、世界に目を向けたらどうでしょうか?

我が国と同レベルの先進国を見てみましょう。
米国の国立衛生研究所の調査では、米国内の10代の約1割、成人の約4割がストレスが原因で引き起こされる症状に悩んでおり、国家全体で年間420億ドル以上の損失になっているということがわかりました。

また英国では、ケンブリッジ大学とハートフォードシャー州立大学の共同研究により、英国全土で800万人以上がストレスに悩まされており、国家全体で年間100億ポンド以上の損失になっていることが明らかにされています。

実際、WHOが公表した数値を見てみると、ストレスや抑うつなどの精神疾患患者数は1990年の4億人から2013年の6億人へと、たった23年で50%も増加しています。ストレスによる疾患を国家の金銭的損失として表すところがいかにも欧米らしいですね。

これにより、どれほどストレスが問題視されているのかがわかったかと思います。

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音楽を使ってストレスを減じる

それでは、そんな世界中にはびこっているストレスに対して、気軽に対処できるものはあるのでしょうか?

実は、身近なものに答えがありました。それは「音楽」です。通学、通勤中に聴いたり、何か作業をしながらも聴くことができるので、とても手軽ですよね。

音楽は、身体にさまざまな効果を及ぼすということを知っていますか?
ストレスを減じることはもちろん、闘争心を燃やしたり、頭脳明晰になったり、反対に暗い気分になったり、音楽を用いて人間の心理を操ることができるのです。

確かに、時代劇を見ていると戦のシーンでは派手な音楽がかかりますし、緩やかなワルツを聴いているとなんとなく優雅に踊ってみたい気分にもなります。

最近になってようやく科学的にわかったことですが、音楽を聞いている人間の脳を可視化すると、音を処理する領域だけでなく感情をつかさどっている領域にも変化が見られます。

前述した通り、戦のための音楽もあれば優雅な気分のための音楽もあるため、その効果はさまざまです。
音楽を聴くことによって得られる効果は、周波数やテンポやリズムなどによって決定されるのですが、ストレスを減じる効果を持つ音楽を聴くとどのようなことが体内で起こるのでしょうか。

ポジティブな効果を有する音楽を聴くと、体内ではストレスの根源であるコルチゾールの分泌が抑制されます。そして、それとは反対の効果を有するエンドルフィンやドーパミン、オキシトシンなどの快楽物質が次第に分泌されていき、プラスの気分になっていくのです。

これらの物質は、人々がリラックスしているときによく分泌されるホルモンですが、世間ではよくクラシック音楽を聴くと分泌されると言われています。

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ストレスを軽減させる効果が最も高い曲

さて、最初に述べたストレスの世界的な問題化についてですが、これに対して英国の研究グループがある発表を行いました。
マンチェスター出身のアンビエント・バンド“Marconi Union”が作曲した“Weightless”という曲は、彼らが調べた中ではもっともストレス減少効果が高いとのことです。

実験では、クラシック音楽を始めとするストレス減少効果を持つと言われているさまざまな曲を複数のグループに聴かせながら、心拍数や脈拍、呼吸や脳波などのストレスレベルを調べました。

そうすると、数多くの曲の中から、“Weightless”という曲が他の曲よりも平均して35%ほど心理的なリラックスに寄与し、被験者の不安を65%も減少させたことがわかったのです。

また、この曲は不眠症の患者にも効果があったようで、入眠に問題を抱えている被験者の多くが聴いている最中に眠ってしまったとか。テンポやリズムが平時の心臓が脈打っているものに近いところから始まり、次第にゆっくりとなっていくことで入眠や安静の過程を模しているからでしょう。

音楽を聴くことによって快楽物質が分泌されると述べましたが、この曲は実験で使われた他のどんな曲よりも多くの物質の分泌を促す効果を持っているようです。

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音楽を聴くことによってさまざまな心理的な効果が得られますが、この程度は人によって大きく異なります。個人的に好きな音楽のジャンルというものもあれば、好きな作曲家や歌手、演奏者という要因も影響してくるでしょう。

今回紹介した曲、Marconi Union「Weightless」は、あくまで被験者の間で平均的に最も効果が高かっただけなので、それが万人に共通するかと言われれば決してそうではありません。

しかし、テンポやリズムという観点でみると、人間の鼓動に親和性があるこの曲は、リラックスに最適だとも言えそうです。英国の神経学者グループのお墨付きがついている音楽なので、試しに聴いてみてください。

(参考)
Anonymous|Neuroscientists Discover Most Relaxing Song to Reduce Anxiety by 65%
小竹訓子 他(2005), “音楽療法のリラクセーション効果に関する研究” 県立長崎シーボルト大学看護栄養学部紀要, No.5, pp.1-10
NAITO Masatomo(2006), “The Study of Relationship between Listening to Music and Mood Change,” 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要, No.7, pp.441-450