新しい分野に挑戦するための資格勉強や、定期試験の勉強など、人には勉強しなければならない場面がたくさんあります。そんなとき、どうしても集中できない、すぐに集中が切れてしまう、つい怠けてしまうなどといった状態に陥ってしまうことはありませんか?

実はそれ、勉強する場所を変えることで改善するかもしれませんよ。今回は、そんな集中力と勉強場所についてお送りしていきます。

イマイチ集中できないと思ったら

せっかく勉強を始めたのにどうも集中できない……。そんな風になってしまうのはいったいどうしてなのでしょう。

1. 仲間やライバルとなる人がいない
学生時代は同じ目標に向かって勉強し、励まし合う仲間やライバルがいたけれど、年次が上がったり社会人になったりすると「独学」することが多くなり、モチベーションの維持が難しくなってしまうのです。

2. 周囲の視線がない
もちろん、一人きりでこもって勉強していても集中できる人はいるでしょう。しかし一般的には、勉強中についスマートフォンを見てしまったり、少しだけと言い訳をして寝てしまったり。周囲の視線がないため、さぼりやすくなってしまいます。

3. 同じ場所で勉強することに慣れてしまう
なんとなく新鮮味がなくなり、集中できなくなってしまった経験はありませんか? 筆者もずっと自室で定期試験の勉強をしていましたが、終盤のほうになるとどうしても集中がとぎれとぎれになってしまうという状況に陥った経験があります。

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10年ぶり英語への挑戦で、TOEIC895点。秘訣は「毎日続けること」への科学的アプローチ
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勉強する場所を変えるということ

集中できない原因を取り除いていく方法はいくつかありますが、今回は手軽にできる「勉強する場所を変える」という方法をご紹介します。

同じ場所で勉強を続けることについて、『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』の著者であり、能力開発の第一人者とされる古市幸雄氏は以下のように述べています。

脳科学的な観点から説明するとおそらく、「勉強に飽きる」というのは、脳からの重要なサインです。…(中略)…「これ以上情報を詰め込んでも、脳が情報を整理できません。勉強を中断しなさい」ということです。

(引用元:古市幸雄著(2007),『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』,マガジンハウス.)

確かに、同じ場所で勉強をしているとどうしても集中力が切れてしまいますが、これは脳が情報を整理できなくなっていたのですね。しかし環境を変えることで集中力を維持することができるのだそう。

脳の中には空間を認識する機能があり、それを担っているのが海馬という記憶・感覚に関係している部位です。そしてこの海馬の活動は、「居る場所」によって変化することが動物実験により判明しました。場所を変えることで脳の働きが変わるのです。

また別の実験によると、場所を変えることで学習の記憶が残りやすくなるという結果が出ています。学生を2グループ(2回の学習を同じ部屋で行ったグループと、1回ずつ違う部屋で学習を行ったグループ)に分け、単語の記憶テストを行ったところ、場所を変えて学習したグループの記憶のほうがよく残っていたという結果が出ました。

これは、1回目の部屋で学習をしたときの単語に付随する情報と、2回目の部屋で覚えたときに付随する情報が、脳内で別々に記憶されているからです。その理由は、部屋にあった机の位置、形、置かれている家具などの違いが単語の記憶に付随するからだと言われています。そのため、記憶の層が何層にも重なり、思い出しやすくなるのだそうです。

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勉強するのにおすすめな場所

では、普段と勉強する場所を変えるときはどのような場所がよいのでしょうか。順番に見ていきましょう。

◎図書館
静かですし利用料もかかりません。また、周りも本を読んだり勉強している人ばかりなので、刺激が得られて「自分もやるぞ!」という気持ちになります。勉強に集中できない理由が「1.  仲間やライバルとなる人がいない」「2.  周囲の目がない状況」だった方には特におすすめです。図書館によっては自習室として勉強専用の部屋を開放しているところもあり、環境としては申し分ありませんね。筆者はよく数学や物理などじっくり考えて解くタイプの問題を勉強するときに利用していました。

◎カフェ
適度な雑音があり、少しくらいなら声を出してもよいというメリットがあります。たとえば、小さな声を出しながら暗記物を攻略するなどの勉強に向いています。コーヒーを注文すれば、カフェイン効果により集中力もアップです。また、人に見られていると感じることでパフォーマンスが高まりますよ。

◎リビング
家族の視線というプレッシャーがよい方向に作用し、ほどよい緊張感を持って学習に取り組むことができます。テレビや会話などの雑音はありますが、脳科学者の茂木健一郎氏は、「邪魔なノイズのある居間で勉強することで、前頭葉の集中回路に負荷をかけて鍛えることができる」と言います。リビングで勉強ができるようになると、どこでもいきなりトップスピードに入ることが可能になるそうですよ。

◎電車
電車での勉強はスキマ時間の有効活用にもなりますし、適度な雑音・周囲の目といった集中力を高めてくれる環境があります。筆者はよく電車内で英単語や構文の勉強を行っていました。電車での勉強については以前StudyHackerでもお送りしています。(参考:Study Hacker|周囲の視線を味方につける! 電車内は最高の勉強場所だった。

◎有料自習室
どうしても集中できない、という方は有料自習室を使うのもひとつの手。何より周囲は勉強している人ばかりです。お金を払っているのだから勉強しなければ! と、逃げられない状況に自分を追い込んでしまいましょう。

勉強する場所を変えてみて

実際に筆者も、勉強する場所をよく変えるようにしています。たとえば、じっくり考えたい専門科目のテスト勉強であれば静かな図書館を利用します。わからない部分があったとしても、図書館には教科書や参考書が置いてあるのですぐに解決です。

英語のリスニングやスピーキングの学習は、自室で行います。音もれの心配がない上、どんなに大きな声で音読しても誰にも迷惑がかかりません。そして友人と一緒にレポートを進めるときは、声を出してもよい図書館のラーニングスペースや、カフェなどを利用することが多いです。英単語や熟語を覚えるときは、先述したように電車でのスキマ時間を使います。

いつもの環境で集中できないと感じたら、一度場所を変えてみて切り替えて勉強してみてくださいね。

(参考)
DiamondONLINE|勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?
東大ドクター森田式|集中力養成講座
NIKKEIstyle|驚くほど集中力アップ 生産性が高まる3つの新発見
StudyHacker|まる一日自習室に篭もるなんて非効率!?東大生が選ぶ勉強に適した場所
StudyHacker|周囲の視線を味方につける! 電車内は最高の勉強場所だった。
古市幸雄著(2007),『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』,マガジンハウス.
茂木健一郎 公式ブログ|脳なんでも相談室 集中力の上げ方。