「勉強に集中できない……」
こんな悩みを持っている方はいませんか?

いくら大量の勉強時間を確保したところで、集中できなかったら意味がありませんよね。勉強の効果を最大化するためにも、ぜひとも集中して取り組みたいもの。

でも、勉強に集中できない原因は、学習環境そのもの・勉強の内容・休憩の取り方などなど、様々なところに潜んでいます。こちらの記事では、それらの原因を探りながら、勉強に集中するための方法をいろいろな角度から徹底解説いたします。

「勉強に長く集中できない」のは仕方がない?

集中力が続く時間に関して、2015年にこんな興味深い調査結果が発表されました。米マイクロソフト社のカナダの研究チームが約2000人の脳波などを測定して調べたところ、人間の集中力の持続時間はなんと8秒だったのだそう。極端に短い数値であるため「本当なの?」と疑ってしまいたくなりますね。

また、東京大学薬学部の池谷裕二教授が株式会社ベネッセコーポレーション協力のもと行なった実験によれば、学習中の中学生の脳波を計測したところ、勉強を開始してから40分を境に集中力が急激に降下することが示唆されたのだそう。

「8秒」「40分」など数字の違いこそありますが、皆さんも、勉強中にふと気づいたら頭の中が上の空だった……なんて経験はあるはず。私たちの集中力はそう長くは続かないことは、実体験を通しても納得できることなのではないでしょうか。

一方で、こんな報告も。スタンフォード大学の研究によると、「精神力や集中力はコントロールできるものである」と教えられた学生のほうが、「精神力や集中力には限界ある」と教えられた学生よりも、集中力実験の結果が良かったのだそう。本人のマインドセット次第では、集中力は多少なりとも長く持続させることが可能なのかもしれませんね。

「集中力が続かない」と諦めてしまうのは早計です。「集中力はそう長く続くものではない」という事実は受け入れつつも、集中に関する様々な工夫を凝らせば、理想の勉強ができるようになるかもしれませんよ。

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勉強に集中するための学習環境の整え方

■机の上、片づいている?

皆さんは、普段どこで勉強していますか。「図書館」「自習室」など様々な答えが返ってきそうですが、勉強場所として最もオーソドックスなのは自分の部屋なのではないでしょうか。多くの時間をここで過ごすぶん、勉強に最適な環境に整えたいものですよね。

では、机の上やその周辺を見てみてください(あるいは思い出してみてください)。すぐに勉強に取りかかれるくらい、きれいに片づいていますか。本や参考書が所狭しと積み上げられてはいませんか。あるいはマンガや趣味の小物など、勉強を邪魔する余計なものが置かれてはいませんか。

実は、身の回りが散らかっていると集中力が阻害されてしまうことが、脳科学の実験で明らかになっています。

プリンストン大学とイリノイ大学の研究者は、機能的磁気共鳴映像法(fMRI)を使って、注意をそらすものが多いほど集中力が低下し、ストレスを強く感じることをあきらかにしました。要するに、その場が散らかっていると、頭のなかもごちゃごちゃなのです。

(引用元:ティナ・シーリグ 著, 高遠裕子 翻訳 (2016),『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』, CCCメディアハウス. )

いま取り組んでいる勉強に必要なもの以外は視界に入らないようにする。これを心がけて、まずは整理整頓から始めてみましょう。

■勉強中のスマートフォンも厳禁です。

私たちの生活ですっかり身近なものとなったスマートフォンですが、勉強中はどこに置いているでしょうか。まさか、メールやSNSの通知が来たらすぐに確認できるように、すぐ目の前に置いてはいませんよね?

スマートフォンが勉強の集中を邪魔する要因になることは、なんとなく想像がつくはず。そしてもっと気をつけなければいけないのは、たとえ電源が入っていなくてもスマートフォンが手近な場所に置かれているだけで、私たちの脳の働きが大きく低下してしまうということです。

この衝撃的な事実は、テキサス大学オースティン校が約800人のスマートフォンユーザーを対象にした実験により明らかになりました。同時に、スマートフォンの置き場所を「1. 机の上」「2. ポケットか鞄の中」「3. 別の部屋」にした場合、「3. 別の部屋」に置いたグループが最も集中力を発揮できたのだそう。

スマホ依存の自覚がなくとも、無意識のうちにスマートフォンが気になり、脳の働きを抑圧してしまっているのかもしれませんね。勉強中はスマートフォンの電源を切るのはもちろん、遠く手の届かない場所にしまい、その存在を意識から排除するように努めましょう。

■部屋の明るさにも気を配れ!

総合電機メーカーPanasonicは、2016年3月に発表した『知的作業における集中度評価指標と集中度向上照明』と題する論文において、学習者の集中度を向上させるために以下のような集中度向上照明を開発したと報告しました。

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(画像引用元:大林史明, 石井裕剛, 下田宏 (2016), “知的作業における集中度評価指標と集中度向上照明” , Panasonic Technical Journal, Vol.62, No.1.

この照明は、天井からのベースライト照明(少々暗めの昼白色)とデスク上のタスク照明(やや暗めの寒色)の2つの組み合わせから成っています。周囲が少々暗くて手元が充分に明るい空間をイメージすれば良いでしょう。これが、「集中しやすい」「眠くなりにくい」「文字が読みやすい」などを実現する、作業に適した環境なのだとか。

同様に心理学者の多湖輝(たご あきら)氏も、著書『多湖 輝先生の合格の心理学』において、照明について以下のように述べています。

集中力をはかるためなら、何といっても手元を照らすスタンド照明だ。まわりを暗くして、手元に光を集めれば意識も手元に向いていく。(中略)目を疲れさせないためには、部屋全体の照明も必要で、たとえばこの全体照明をやや暗くしておき、スタンド照明で手元を明るくするなどの工夫をするといいだろう。

(引用元:多湖輝 (2014),『多湖 輝先生の合格の心理学』,ゴマブックス. )

部屋全体の照明は少し暗くし、手元を寒色系の照明で明るく照らす。この方法で、勉強に集中できる部屋を作り出すことができますよ。ちなみに手元の照明は、ペンを持つ利き手とは逆の位置に置きましょうね。

■集中力には青色がおすすめ!?

色が人間に及ぼす影響について、以下のような研究結果が長岡技術科学大学より報告されています。

赤色、青色、無色透明それぞれの色眼鏡を着用させた状態で、被験者に30分間の簡単な計算問題を行なわせました。その結果、成績そのものに有意な差異は認められなかったものの、課題終了後に回答させた「集中」の心理評価が、青色の色眼鏡を着用したときが有意に高かったのだそう。同時に、課題をしている最中の唾液中コルチゾール(※人間のストレスに応答して分泌されるホルモン)の濃度も、青色眼鏡着用時には抑制されることがわかりました。

これらのことから、青色には勉強中に集中を促しストレスを軽減させてくれる効果があると言えそうですね。

青色の色眼鏡をかけたまま勉強するのは非現実的ですが、部屋のカーテンを青色に変えたり、勉強中の水分補給に使うマグカップを青色のものにするなど、勉強の邪魔にならない範囲で青色を取り入れてみましょう。青空が見える場所で勉強するのも良さそうですね。

■アロマを取り入れる

植物由来の芳香物質であるエッセンシャルオイルを用いたアロマテラピーも広く一般的になりました。アロマといえばリラックスや空間演出のためといったイメージがありますが、勉強においても役立つことがあるようですよ。

2015年に『アロマテラピー学雑誌』に掲載された論文によれば、小学生を対象に、ペパーミント油やオレンジ・スイート油を嗅がせてから10分間の計算問題を解かせる実験を行なったところ、計算ミスが25%程度減少したのだそう。また、好みの香りを嗅がせながら単純作業を行わせたところ、集中力の指標となる脳波成分が大きく出現したという別の研究データもあります。

アロマに関する研究はまだまだ途上のようですが、白檀や肉桂など、香りの文化は古より存在します。アロマディフューザーを使ってもよいですし、なければエッセンシャルオイルを数滴垂らしたハンカチを机の上に置いてもよいでしょう。気持ちが晴れる香りのもと、集中力を維持して勉強を進めたいものですね。

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勉強場所を “変える” のも、集中力アップに効果的

ここまでは自分の部屋を集中環境にする方法をメインでお伝えしてきましたが、たまには違う場所で勉強してみるのもおすすめですよ。

自分の部屋での勉強は、良くも悪くも “ひとり”です 。誰もいない静かな環境で勉強できることは確かに非常に大きなメリットかもしれませんが、その一方で周囲の視線が全くないことにも注意しなければなりません。いくら集中環境を用意したとしても、ついマンガやスマートフォンなどの誘惑に手が伸びてしまったり、睡魔に負けてしまったりする頻度があまりにも多くては、意味がありませんよね。

その背景には、勉強に対する飽きがあるのかもしれません。能力開発の第一人者とされる古市幸雄氏も、著書『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』の中で以下のように述べています。

脳科学的な観点から説明するとおそらく、「勉強に飽きる」というのは、脳からの重要なサインです。(中略)「これ以上情報を詰め込んでも、脳が情報を整理できません。勉強を中断しなさい」ということです。

(引用元:古市幸雄 (2007),『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』, マガジンハウス.)

こんな状況に陥ったら、気分転換がてら勉強場所を変えてみてはいかがですか?

■勉強場所を変えると記憶力がアップする!?

1970年にミシガン大学で行なわれた実験では、覚える場所を変えることにより記憶力が向上することが示唆されました。なんでも、学生を2つのグループ(2回の学習を “同じ部屋で” 行なうグループと “1回ずつ場所を変えて” 行なうグループ)に分けて40個の単語を覚えさせたところ、後者の成績のほうが40%も良かったのだそう。

その理由として、以下の可能性が述べられています。

一つの可能性としては、最初の部屋で勉強したときに単語に付随する情報と、それとは若干異なる別の部屋で覚えたときに付随する情報が、脳内で別々に記憶されていることが考えられる。(中略)あるいは、2種類の部屋で覚えることで、勉強した単語、勉強中に目や耳に入った事実、勉強中に思ったことを思いだす手がかりの数が2倍になるのかもしれない。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?

集中力アップだけでなく、記憶力アップにも役立つのですね。では、普段と場所を変えようと思ったら、どこで勉強するのが良いのでしょうか。以下でいくつかご紹介していきましょう。

■おすすめ勉強場所

【図書館】
静かですし利用料もかかりません。また、周囲も読書や勉強をしている人ばかりなので、刺激を得て「自分もやるぞ!」と意欲がかき立てられるかもしれませんね。図書館によっては自習室として勉強専用の部屋を開放しているところもありますから、学習環境としては申し分ないでしょう。

【カフェ】
適度な雑音があるため、少しくらいなら声を出しても気づかれません。例えば、小さな声を出しながら暗記勉強をしたいときにカフェを使うのはいかがでしょう。コーヒーを注文すれば、カフェイン効果により睡魔も防げます。また、人に見られていると感じることでパフォーマンスも高まるのではないでしょうか。

【リビング】
家族と一緒に住んでいる方であれば、自宅のリビングで勉強するのもおすすめです。家族の視線というプレッシャーが良い方向に作用し、ほど良い緊張感を持って学習に取り組むことができますよ。テレビや会話などの雑音が気になる方もいるかもしれませんが、脳科学者の茂木健一郎氏は「邪魔なノイズがある居間で勉強することで、前頭葉の集中回路に負荷をかけて鍛えることができる」と伝えています。リビングで集中して勉強できるようになれば、どこでもいきなりトップスピードに入れるようになるかもしれませんね。

【有料自習室】
多少の出費はかかりますが、有料自習室を使うのもひとつの手です。何より周囲は勉強している人だけ。「お金を払っているのだから勉強しなければ!」と、逃げられない状況に自分を追い込んでしまいましょう。

※勉強場所については、こちらの記事に詳しく書かれています↓
おすすめ勉強場所を9個まとめてみた。社会人・学生のための「集中環境」の見つけ方。

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集中力と音楽の関係性

■クラシックの確かな効果

群馬県立県民健康科学大学大学院の新井良彦氏らは、2012年に『BGM聴取時の作業効率に関する脳部位の検討』という論文を発表しました。この論文によれば、大学生を対象にクラシックあるいはポップスを聴かせながら単純な計算作業を行なわせたところ、クラシックを聴かせた場合のみ、作業量が有意に上昇した(=計算スピードが速くなった)のだそう(ちなみに、このときのクラシック音楽は有名な「パッヘルベルのカノン」でした)。

また、京都大学と米ハーバード大学の共同で行なわれた別の研究では、子どもと高齢者の計25名にストループテスト(※例えば、青色のインクで書かれている「赤」という文字を見て、その文字の色を回答するといったテスト)を実施したところ、不協和音のないモーツァルトの音楽(メヌエット)を聴いたときに、テストの回答速度が最も速く正答率も最も高いという結果になることが示されました。これは、協和音が脳の認識機能を高め、雑音を排除して集中力を高める効果があるからなのだとか。

かの有名なアインシュタインもモーツァルトが大好きで、研究中にモーツァルトを聴いて集中力を高めていたのだそう。歌詞がなく落ち着いたクラシック音楽の存在が、集中力アップにひと役買ってくれますよ。

■アップテンポな曲や好きな曲は、勉強開始前や休憩中に聴くと良い

一方で、クラシック以外の音楽がその効果を発揮する場合もあります。

勉強や創造力を必要とするタスクなどを始める前にアップテンポな曲を聴くと、気分が高まり意欲がアップします。これは、カナダの大学生を対象にした調査(ゆったりで短調な曲を聴いてからよりも、陽気な音楽を聴いてからのほうが、IQテストで良い成績を出した)や、日本の児童を対象にした調査(なじみのない音楽を聴いてからよりも、よく知っている童謡を聴いてからのほうが、絵画において創造力を発揮した)で明らかになっています。

確かに好きな曲をノリノリで聴くと、気分が高揚して意欲がみなぎってきますよね。「勉強中は集中するためにクラシックを」「それ以外の時間はアップテンポで好きな曲を」とメリハリをつけるのが最善策ですね。

■「静かすぎる」よりは「適度な雑音」!?

完全に無音の「静かすぎる」場所だと逆に集中できない……。逆に、少し混雑したカフェぐらいの「ざわざわした」空間のほうが集中できる……。こんな感覚をお持ちの方もいるかもしれませんね。実際に、2012年に米誌『Journal of Consumer Research』で発表された論文では、以下の調査結果が報告されています。

50デシベルの “静かな環境” に比べて、70デシベルの適度に “雑音のある環境” のほうが、創造的なタスクのパフォーマンスが向上しました。一方で、85デシベルの騒音下では創造性が損なわれました。

(引用元:Ravi Mehta, Rui (Juliet) Zhu and Amar Cheema (2012), “Is Noise Always Bad? Exploring the Effects of Ambient Noise on Creative Cognition” , Journal of Consumer Research, Vol. 39, No. 4 , pp. 784-799. より編集部訳(編集部にて一部補足))

この70デシベルという数値が、まさにカフェの店内に該当するのです。その他、邪魔にならない程度の雑音(例:雨音などの環境音)も該当します。

Youtubeで探せばカフェ店内の音源も多数聴けますし、いろいろな種類の環境音を収録したCDも販売されています。ほかにも、カフェの音を再生してくれるサービス「Coffitivity」や、雨音を再生してくれるスマートフォンアプリ「Rainy Mood」などなど、探せばいくらでも出てくるでしょう。雑音や環境音を勉強に取り入れてみてはいかがでしょうか?

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勉強に集中するための4つのコツ

それではここからは、勉強に集中するためのコツを4つご紹介していきましょう。

■勉強エンジンはゆっくりかけよう。その日最初の勉強は「簡単なこと」から始めるべし

集中するも何も、そもそも勉強を始めるのが億劫だ……。こんな方もいるかもしれませんね。集中のお話の前に、まずは勉強への上手な取りかかり方をお伝えしましょう。

私たち人間のやる気は、脳内で分泌されるドーパミンという神経伝達物質に左右されます。しかしドーパミンを分泌する「側坐核」と呼ばれる脳の部位は、実際に行動を起こしているときしか活性化しません。つまり勉強を始めない限り、側坐核はいつまでも “休止状態” であるため、ドーパミンは分泌されずやる気も出ないのです。

したがって、「勉強をとりあえず始めてしまう」のが、実はとても大切なのです。では何から始めれば良いのかと言うと、シンプルで簡単な内容のもので全然かまいません。

いきなり難しい問題や難易度の高い作業から入ろうとすると、すぐに集中力が途切れてしまいます。そういうものは後回しにし、まずは簡単なことから始めてどんどん手を動かしていきまましょう。
大切なのは作業を始めた5分間で、ごく簡単なこと、深く考えずにできることに着手し、一定のリズムをつくることです。

(引用元:メンタリストDaiGo (2016),『自分を操る超集中力』, かんき出版. )

参考書を音読する、単語帳をぱらぱらとめくる、簡単な計算問題を解く、一問一答形式の問題に取り組むなど、“とりあえず” 勉強を始めるのが肝心ですよ。5分も経つころには、勉強を続けるのが苦痛ではなくなっているはずです。

■ポモドーロ・テクニック

この記事の冒頭で、「(本人の心持ち次第で多少は変わるが)集中力はそう長く続くものではない」ということを説明しましたね。集中状態を長時間維持しづらい以上、勉強時間を適度に区切って “集中” と “非集中” のメリハリをつけることが大切になってきます。

そこでおすすめなのがポモドーロ・テクニック。これは、起業家で作家のフランチェスコ・シリロ氏(イタリア)が1990年代初めに考案したタイムマネジメントの手法であり、「25分間の作業+5分間の休憩」を1ポモドーロとし、4ポモドーロ(=2時間)ごとに30分間の休憩を取るというもの。

勉強時間が比較的短めに設定されているぶん、途中でだれてしまうリスクは大きく減るはず。適度に休憩を挟むことで疲れも解消され、次の25分間も集中力を取り戻した状態で勉強に臨むことができます。「25分間でどれくらい進められるか」という意識も、集中力維持に貢献しそうですね。

また、東京大学の池谷裕二教授が中学生を対象に行なった実験でも、勉強の合間に休憩を挟むことで前頭葉(※集中力と関係する脳の部位)のガンマ派が回復したなど、「短時間学習+休憩」で学習効果が高まることが示唆されています。

上手にタイマーを使い、集中と休憩の時間をコントロールしてしまいましょう。

■勉強中断のタイミングは “中途半端なところ” で

休憩に入ろうとするとき、私たちは「この問題を解き終わってから」「ここまで進んだら」など、区切りの良いタイミングを選ぼうとします。しかし実は、区切りの悪い “中途半端なところ” で勉強を中断したほうが、記憶の定着には良いのだそう。これはツァイガルニク効果と呼ばれており、ベルリン大学の心理学者クルト・レヴィンと、リトアニア出身の留学生ブルーマ・ツァイガルニクが解き明かした心理効果です。

彼らは164人の被験者を対象に、「できるだけ早く完成させるように」という指示のもと、5分程度の作業を連続して与えることにしました。このとき、定期的に彼らの作業を邪魔し、別の仕事を与えてみたのだそう。そして実験終了後、割り当てられた作業をできるだけ多く紙に書き出させたところ、邪魔が入って完了させられなかった作業のほうが、よく覚えられていました。つまり、作業に没頭しているときに中断されることで、その作業が記憶に留まる期間が長くなったのです。

これは、上で紹介したポモドーロ・テクニックともうまく組み合わせられそうですね。勉強は内容ではなく時間で区切ることで、「集中」と「記憶の定着」を両立できますよ。

■勉強内容は適切な難易度設定を

アメリカの心理学者であるミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した「フロー」という概念。「人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚」と説明され、特にスポーツ選手が口にすることが多いようですね(例:ボールが止まって見えた、入らない気がしなかった、など)。

このフロー状態に入るための条件として「適切な難易度設定」が挙げられています。つまり、自分の能力を少し超える「背伸びすればなんとか達成できる」程度の難易度が適切なのだとか。

これは勉強でも言えることでしょう。内容があまりにも簡単すぎては勉強している気になりませんし、あまりに難しすぎてもまた、理解に苦しみ諦念の境地に入ってしまいますよね。今の自分のレベルより少し上の難易度の問題に取り組むことで適度に負荷がかかるため、集中力を維持しつつレベルアップしていけるはずです。

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勉強に集中するためのさらなるハック術

■水を飲むと脳が活性化する

頭をしっかりと働かせるうえで、水分を摂取することは非常に重要です。なぜならば、脳のおよそ80%は水分なので、水分が不足すると脳の活動に影響を及ぼしてしまうから。

実際に、水分補給の効果については、イースト・ロンドン大学とウェストミンスター大学の研究によって実証されています。知的作業に集中する前に約0.5Lの水を飲んだ人は、飲まなかった人に比べて反応時間が14%速くなることが発見されたのだそう。定期的にコップ1杯の水を飲むことは、脳の活性化に役立つというわけです。

なお、水の吸収には1時間ほどかかります。勉強を始める少し前にあらかじめ水を飲んでおくのはもちろん、休憩時のこまめな水分補給も忘れないようにしましょうね。

■脳の呼吸を整える

皆さんは「脳の呼吸」をご存知でしょうか。聞き慣れない方のほうが多いかもしれませんね。私たちの脳と脊髄は “膜” に覆われており、“膜” との空間は髄液で満たされています。その髄液をつくるときに脳は「膨張」し、排出するときに「収縮」します。これが「脳の呼吸」です。

この髄液は、脳の毛細血管や静脈系など、体の様々なところが吸収していると考えられています。そのため「脳の呼吸」が乱れると、心や体、思考などにも悪影響を及ぼしてしまうのです。また、「脳の呼吸」は肺呼吸にも影響を及ぼすため、血流を滞らせて軽い酸欠状態を引き起こす可能性があります。そうなると、筋肉や自律神経にまで影響が及ぶかもしれないのです。

そういったことから、『「脳の呼吸」を整えればあなたの全身はよみがえる!』の著者であり、整体師・指圧師・針灸師として多くの患者さんを治療してきた宮野博隆氏は、「息」を整えるだけでなく「脳の呼吸」を整えることが必用だと提唱しています。次にご紹介するように、椅子に座ったまま簡単に行なえる方法がありますよ。

【脳呼吸法(足上げ法)】
1.椅子に座り、つま先を地面につけたまま、右足のかかとを1cmだけ上げて15秒維持する。
2.右足のかかとを下ろし、左足のかかとを同じようにして15秒維持する。
たったこれだけです。これを、左右15秒×4〜12セット(1分〜3分)を行ないます。ただし、脳の呼吸のメカニズムを崩さないよう、かかとを上げて維持する時間は必ず15秒をキープしましょう。また、地面から「1cm」も厳守してください。

【筋膜ストレッチ】
1.両腕を前に伸ばし、左手の手首を右手の手首の上に重ねる。
2.顔を固定した状態で、左側に肩を30度回転させる。この姿勢を15秒維持。
3.上に乗せる手を右手に変えて、同じように行う。
これを、左右交互、各3回行行ないます。筋膜とは、人間の筋肉や内臓を覆っている組織のこと。これをほぐすことで、全身がきちんと髄液を吸収できるようになりますよ。

■集中力には食べ物も重要。GABAを摂取すべし

脳を活性化させるために、役立つ成分を摂取するのも有効です。とてもデリケートな脳は、フィルター機能によって有害なものから守られています。しかし、必要な栄養成分が不足すると途端に脳は状態を悪くして、さまざまなトラブルを引き起こしてしまうのです。

そこで、おすすめしたいのがGABAの摂取です。GABAは発芽玄米に多く含まれているアミノ酸の一種で、脳の機能を正常に保つ働きがあります。近年は市販のチョコレートなどにも含まれているので知名度は高くなっているはず。実際に行なわれた研究でも、血流を促進して脳細胞の代謝を高めたり、脳内にある神経の興奮を鎮めて精神を安定させたりといった効果が確認されています。

GABAは発芽玄米だけではなく、野菜や果物にも含まれています。普段の食事や、休憩時の間食のときなどに、ちょっと意識して摂取してみてはいかがでしょうか。

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ここまで、勉強に集中する方法について徹底解説しました。これまで勉強に集中できなかった原因について、心当たりのあるものはありましたか?

ぜひこの記事を参考にしながら、集中して勉強に取り組んでいきましょう。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|現代人の集中力持続は金魚以下!IT進化で激減
朝日新聞デジタル|集中力の維持と長期的な学習効果につながる方法(東京大学・池谷裕二教授の見解)
Science Daily|Need a study break to refresh? Maybe not, say researchers
ティナ・シーリグ 著, 高遠裕子 翻訳 (2016),『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』, CCCメディアハウス.
Medical press|The mere presence of your smartphone reduces brain power, study shows
大林史明, 石井裕剛, 下田宏 (2016), “知的作業における集中度評価指標と集中度向上照明” , Panasonic Technical Journal, Vol.62, No.1.
多湖輝 (2014),『多湖 輝先生の合格の心理学』, ゴマブックス.
野村収作 (2014), “青色のストレス反応抑制効果 ~唾液コルチゾールによる検証~” , 映像情報メディア学会誌, Vol.68, No.12, pp.J537-J539.
熊谷千津, 永山香織 (2015), “小学生の計算力と気分に与える精油の影響” , Japan Journal of Aromatherapy, Vol.16, No.1.
日経スタイル|香りが睡眠に及ぼす効果は? アロマで不眠症が治る?
StudyHacker|アロマで集中力と記憶力アップ! 京大生オススメ『アロマ勉強法』
古市幸雄 (2007),『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』, マガジンハウス.
ダイヤモンド・オンライン|勉強する場所を変えるだけで、テストの点数が良くなる!?
茂木健一郎オフィシャルブログ|脳なんでも相談室 集中力の上げ方。
StudyHacker|おすすめ勉強場所を9個まとめてみた。社会人・学生のための「集中環境」の見つけ方。
新井良彦, 柏倉健一 (2012), “BGM聴取時の作業効率に関する脳部位の検討” , 群馬県立県民健康科学大学紀要, 第7巻, 45-53.
ロケットニュース|「モーツァルト」は集中力を高めるのに最高のBGMであることが研究で証明される
中島孝志 (2014),『できる人はなぜ「集中力」がもの凄いのか?』, ゴマブックス株式会社.
Psychology Today|Is Background Music a Boost or a Bummer?
Ravi Mehta, Rui (Juliet) Zhu and Amar Cheema (2012), “Is Noise Always Bad? Exploring the Effects of Ambient Noise on Creative Cognition” , Journal of Consumer Research, Vol. 39, No. 4 , pp. 784-799.
Coffitivity
Rainy Mood
リクナビNEXTジャーナル|生産性がグングン上がる!「ポモドーロ・テクニック」って知ってる?
ダイヤモンド・オンライン|邪魔をされると目標達成しやすくなる
StudyHacker|「やる気」なんか甘え。東大生が教える、やる気がなくても勉強をスタートする方法。
メンタリストDaiGo (2016),『自分を操る超集中力』, かんき出版.
Wikipedia|フロー (心理学)
StudyHacker|フロー状態で勉強が効果的? コツは “ちょっと高め” の目標設定
WIRED.jp|水を飲むと脳が活性化する:研究結果
キャリアアプリ|心身のコンディションを左右する新見解!「脳の呼吸」の影響力とセルフケアの方法
藤林真美, 神谷智康, 高垣欣也, 森谷敏夫 (2008), “GABA経口摂取による自律神経活動の活性化」, 日本栄養・食糧学会誌”, Vol. 61, pp.129-133.
ファンケルコミュニティ|明日はもっと元気 体にいい話記憶力や思考力を向上し、ストレス緩和に「DHA、いちょう葉、PS、GABA」