大事な試験の前や重要な仕事の前など、ついつい寝る間を惜しんで勉強や作業を続けていませんか?

筆者を含め、周りにも切羽詰まって、試験前にいわゆる一夜漬けをしてしまう学生がたくさんいます。そんな短い時間の睡眠を繰り返しているうちに、大事な会議や試験の前に体調を崩してしまった、という苦い経験をした方もきっといるでしょう。

それでもまた睡眠時間を削ってしまうのは努力の証拠ですが、睡眠時間を蔑ろにするのはとても危険です。今回は、そんな蔑ろにされがちな「睡眠」の不足が生む弊害についてご紹介します。

寝ないと風邪を引くのは本当?

「ちゃんと寝ないと風邪引くよ」と、言葉ではよく耳にしますが、実はこれにはしっかりとした科学的根拠があるのです。

睡眠時間と感染症の関係について、アメリカのペンシルバニア州ピッツバーグである実験が行われました。
この実験は18歳から55歳までの男女164名の睡眠状況を一週間記録したのち、ライノウイルス(風邪の原因のおよそ2分の1を占めると言われているウイルス)を投与し、経過を観察するというもの。

その結果、7時間以上睡眠をとっている人に風邪のリスクはほぼありませんでしたが、睡眠時間が5~6時間の人は風邪を発症するリスクが4.24倍、5時間未満の人は4.5倍となりました。

つまり、睡眠時間が6時間以下の場合は風邪を発症する可能性が一気に上がってしまうのです。「寝ないと風邪を引く」というのは本当のことだったんですね。

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睡眠不足は肥満にもつながる?

睡眠不足は、肥満にも繋がります。

睡眠時間が不足すると、満腹中枢を刺激し、食欲を抑制するホルモン「レプチン」の分泌が減り、食欲を増進するホルモン「グレリン」の分泌が増えることが分かっているのです。

コロンビア大学の行った研究によると、7~9時間の睡眠時間の人に比べて睡眠時間が4時間未満の人は肥満率が73%も高いとのこと。慢性的な睡眠不足は、ホルモンバランスを狂わせ、肥満に繋がってしまいます。

このように、睡眠不足には日中眠くなるといった単純な現象だけでなく、見過ごせないデメリットがあるのです。

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見切りをつけて眠るべき!

深夜に作業をしていても、日中に比べてついダラダラと時間をかけて、効率の悪い作業をしていませんか?

勉強に関して言えば、記憶は夜眠っている最中に定着します。夜遅くまで起きて勉強しても、充分な睡眠をとらなければ意味がありません。

また、マウスを用いた実験によると、長期記憶の記憶力が最も高まる時間帯は活動期の前半、すなわち午前中であるという結果も出ています。夜更かしして勉強をするよりも、朝しっかりと勉強をしたほうが記憶の定着が良いことが証明されているのです。睡眠不足によるデメリットを考えても、記憶の定着率を考えても、夜遅くまで作業をするのはハイリスクだということが分かりますよね。

たとえやり残したことがあったとしても、見切りをつけて寝てしまいましょう。そして、いつもより少し早く起きて、やり残した作業や勉強をすればいいのです。または、日中の無駄な時間を無くし、スキマ時間で作業を進めたほうがずっと効率的ですよ。

それでも、あなたは睡眠時間を削りますか?

(参考)
The National Center for Biotechnology Information|Behaviorally Assessed Sleep and Susceptibility to the Common Cold
白川修一郎(2014),「日本における睡眠健康教育の現状と課題」,京都医大誌.
横浜市衛生研究所|ライノウイルスについて
タニタの健康応援ネット からだカルテ|運動不足解消!忙しい人のためのプチエクササイズ
東京大学大学院理学系研究科理学部|長期記憶しやすい時刻の発見とその脳内の仕組み