皆さんは毎日、どのくらいの時間眠っていますか?

少し、自身の生活を振り返ってみてください。翌日も朝から忙しいのに気付いた時にはもう日付を越えていて、慌てて布団に入ったもののなかなか眠れず、結局睡眠不足の状態で出社してしまう……なんてことも少なくないのではないでしょうか。睡眠不足のままではいけないことは分かっていても、忙しいビジネスパーソンにとって、睡眠時間を確保するのは難しいもの。

では実際にどの程度の睡眠時間を確保すれば、睡眠不足にならずに済むのでしょうか? 目安が分かれば、その時間に近づけていくことができるかもしれません。今回は、理想的な睡眠時間と、それを満たせない場合の改善方法をご紹介します。

8時間神話は間違い? 睡眠時間の新常識

私たちにとって理想的な睡眠時間はいったい何時間なのでしょう。睡眠が不足するのがいけないのなら、できるだけ多くの睡眠を取ればいいということなのでしょうか。

理想的な睡眠時間という観点では、8時間が最適だという所謂「8時間神話」が一般的には浸透していました。睡眠のリズムが約1.5時間の周期を持っていることを考えると7.5時間が最適に思えますが、その周期は個人のバイオリズムによって変動します。加えて寝付くまでの時間なども考えると8時間睡眠は妥当であるといえそうですね。

しかし最近の研究では、その通説は正しくないということが明らかになっています。実は睡眠時間が7.5~8.5時間の人は、6.5~7.5時間の人に比べて、死亡率が20%も高いのだそうです。また、8時間以上の睡眠をとっていると心疾患のリスクも増加してしまうのだとか。

かといって、6時間のように睡眠時間が少ない状態も問題があります。1.5時間周期の睡眠リズムにも合うし6時間も眠れば十分だ、と考える人もいますが、実は睡眠時間が6時間というのは、人間にとって圧倒的に睡眠が不足してしまう状態なのです。早稲田大学研究戦略センターの枝川義邦教授は、6時間睡眠について以下のように述べています。

6時間睡眠をしたときの脳波をとると「二晩徹夜」したのと同じだったという研究結果が米国から報告されました。4時間睡眠でも同様だったのですが、6時間も眠れば、本人は頭がスッキリしたように感じながらも、認知テストや脳波では徹夜明けと同じことになっている点でやっかいです。

(引用元:NIKKEI STYLE|「睡眠負債」をためない術 6時間では徹夜と同じ?

睡眠時間は長くとも短くともいけないということですね。枝川教授によると、最近の睡眠科学の成果から最適な睡眠時間は7時間であるということが分かってきたのだそう。

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「睡眠負債」をためてはいけない

睡眠時間が足りていないと、心身の疲労を十分に回復させることができず、眠気や疲れが残ってしまった「睡眠不足」の状態になってしまいやすくなります。実はこの睡眠不足、枝川教授によれば「睡眠負債」として身体に蓄積していってしまうものなのだそう。

睡眠が不足すると、その翌日は体調が悪くなってしまいやすく、仕事中のつまらないミスや効率の低下を招いてしまうこととなります。そして実はそれだけではなく、長い目で見ると、肥満や糖尿病、鬱病など、健康上のリスクも大きく高まってしまうというのです。

まだ私は健康だし一日ぐらい睡眠が不足しても大丈夫、と思いながらジワジワと睡眠負債をためていると、ある日突然負債に耐えられなくなってしまいます。身体を壊し、長い期間仕事がストップ、大きな損害を生み出してしまいかねません。睡眠時間を削るというのは、一日耐えれば大丈夫ということではなく、とてもリスクの大きい「禁じ手」なのです。

けれども現実問題として、仕事が繁忙期にさしかかった時など、睡眠時間が十分に確保できない状況もあるのではないかと思います。そのような時に大切なのは、「睡眠負債をためたままにせずにこまめに返す」ということなのです。

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睡眠負債は昼寝で返す

とはいえ、夜間の睡眠時間が十分に確保できない状況なのですから、どうやって睡眠負債を返せばいいのか分かりませんよね。そこでオススメなのが、ちょっとした時間に昼寝を取り入れてみることです。枝川教授も、昼寝は睡眠負債の返済に有効であると述べています。

実は昼寝には、夜間に取る通常の睡眠の三倍もの疲労回復効果があるそうです。また、日中に頭を使ったことによって動きが鈍くなった脳を活性化させたり、集中力や記憶力を増進させたりする働きもあるのだとか。その他にも、昼寝をするとその後の昼過ぎから夕方頃に眠気に襲われるリスクが減少し、更に心臓病のリスクを軽減できる効果があることも分かっています。

上手な昼寝のやり方

「昼寝をしようとしても、なかなか時間や場所が取れない……。」と思っている人もご安心を。なにも横になって何十分も時間を取らなければいけないわけではありません。昼寝は、机に伏せて10分~15分ほどの仮眠を取るだけで十分なのです。むしろ20分~30分以上の時間眠ってしまうと、睡眠が深くなりすぎるため目覚めた時に頭が重くなってしまいます。そのため、昼休みの終わりなどにちょっとだけ仮眠を取る、という程度の昼寝が、睡眠負債を返済して午後の能率を上げるためには適しているのです。

更に昼寝を上手に取るコツとしてオススメなのは、仮眠の前にコーヒーを1杯飲むことです。コーヒーなんて飲んだら眠れなくなるのではないか? と思うかもしれませんが、カフェインは体内に入ってから30分程度でようやく効果が出始めます。そのためコーヒーを飲んですぐに仮眠を取れば、ちょうど目が覚める頃に効きだして、すっきりとした目覚めを実現させることができるのです。

また、大切なのは、昼寝の後には身体を伸ばし、なるべく太陽の光を浴びるということです。太陽の光を浴びると睡眠リズムを司るメラトニンの分泌が抑制され、身体がスムーズに覚醒モードへと移行します。

ちょっとしたコツを駆使して、短い時間を有効に使って睡眠負債をしっかり返していきましょう。

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忙しい毎日の中で、気付かないうちに睡眠時間の確保がおざなりになってしまうこともあるかと思います。しかし、睡眠不足は負債としてどんどん積み重なっていきます。日頃の小さな習慣として昼寝を取り入れ、少しずつ睡眠負債を返済していけると良いですね。

(参考)
NIKKEI STYLE|「睡眠負債」をためない術 6時間では徹夜と同じ?
薬剤師ネット公式ブログ|たった1分でも眠気がスッキリ解消!?今注目の「仮眠」の効果的なとり方まとめ
マイナビウーマン|意外と知らないカフェイン9の真実「効くのは30分後」「浅煎りのコーヒーの方が多い」