仕事の中で、数字を扱う場面って意外と多いものですよね。統計データを処理したり、納品時に見積もりを出したり……。学生時代のように微分や積分といった難解な数学を用いることはありませんが、パパッと簡単な四則演算を概算したり、金額や数値を推定したりする機会は、むしろ学生時代よりも増えているのではないでしょうか。

そんな中、上司や先輩に「数字に強くなれ」「定量的に考えられるようになれ」と言われたことはありませんか? 特に学生時代に文系の専攻だった方は、数字を扱うこと自体が苦手なんてことがあるかもしれません。

そもそも「数字に強い」ってどういうこと……、と悩んでいる方は多いはず。今回はそんな方の悩みを一挙解決すべく、数字に強いビジネスパーソンになる方法をご紹介しましょう。

数字に強いとは「数字の意味が分かる」こと

そもそも、数字に強いって一体どういうことなのでしょうか。計算が速くできることでしょうか? それとも、正確な数値を導き出せることでしょうか?

数字に強い人とは、数字の意味が分かり数字を使ってものを考えられる人のことを指します。ある数字や数値、データを見た時に「ああ、これはこういうことを表しているんだな」と考えられる。また、何か伝えたいことがある時に「ふむふむ、この情報はこんな数値とデータで表せそうだ」と説明できる……。すなわち、「数字と言語の行き来ができる人」が数字に強い人なのです。

例えば「Aの利益が前年度比50%に減少した」というデータを見た時に、単に「経営がうまくいっていない」と捉えて終わるか、より深く調査した結果「先行投資を行ったので、来年以降に利益が伸びるかもしれない」と考えるか。数字の表面的な大小や増減に惑わされずに、数字の意味を考え行動できるか否かが、数字に強い・弱いを決めるのです。

そもそも、計算が速いとか、難しい処理をできるというのは、学生時代に身についた「数学の問題の答えを素早く導き出す」という目的を達成するための手段でしかありません。

ビジネス数学の専門家であり、ビジネスマンの数学力を鍛える活動をしている深沢真太郎氏は、以下のように述べています。

学校数学でそれ(注:唯一の正解を導き出すこと)を常識として数字教育をされてきた私たちは、どうしても正確に、キッチリと、唯一の正解を導き出そうとします。(中略) しかし、どうでしょう。ビジネスシーンにおいては、正解は唯一でしょうか。解を出すための素材は必ず揃っているのでしょうか。答えは、否です。正解なんて誰も知らない。アプローチする素材も用意してもらえない。そんな中で、自ら数字を使い、見えないものごとを数字で捉え、仕事を進めることが私たちにとって必要な能力ではないでしょうか。

(引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|「数字に強い」って、要するにどういうことなの?

正解が一つとは限らないビジネスの世界においては、素早い計算や難解な数式の理解はあまり意味がありません(もちろん、そうした能力が必要になる場面もありますが)。数字の意味が分かること、そして、数字を使ってものを考えられること。その能力が求められているのです。

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数字に強くなるためには「習慣づけ」が大事

しかし、数字に強くなるためには、一体どんなことをしたら良いのでしょうか。一般的には、算数のドリルをやってみたり、数字のパズルをやってみたりといった方法が紹介されていますが、そのほとんどは意味がありません。なぜなら、それは結局「正解をいかに早く導き出すか」という学校の算数・数学レベルの話であり、「数字の意味を考える・数字を使ってものを考える」という習慣がつくことはないからです。

ビジネスパーソンは非常に忙しいもの。そもそも時間がないというのに、効果が薄い数学のドリルや問題集をこなすのは、あまりに非効率的です。そんなことをするより、普段の仕事の中で、数字を使って考える、数字の意味を考える、その「習慣づけ」をするほうが100倍効果があります。

しかし、いきなり数字を使って考えようとしてもうまくいきませんよね。そこで次に、実際に仕事を進める中でどんな風に「数字で考える」習慣をつければいいか、2つの方法をご紹介しましょう。

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1. 数字に強くなるためには「質問に数字で答える」

筆者がおすすめしたいのが「質問に必ず数字を使って答える」ということです。

「今、例のプロジェクトの進捗状況どんな感じ? 」
「このあいだ頼んだ資料作成、いつまでにできそう? 」

こうした問いを上司から投げかけられた時に、

「もうすぐ終わります」
「なるべく早くやります」

こんな風に曖昧な答えを返してはいませんか? これでは数字に強いビジネスパーソンになれるはずもありません。必ず数字を使って回答するようにしましょう。

プロジェクトの進捗状況を報告するなら、工程表を取り出してください。各プロセスにかかる作業量を書類の枚数や担当者ごとに概算し、今どの段階にあるかを把握するのです。その上で、だいたい何パーセントかを答えます。また、いつまでにできるかという問いなら、これまでにかかった時間と、現在の進捗状況を合わせて計算します。3日で60%程度終わったなら、進捗は1日で20%程度と見込めますよね。それなら、あと2日で完了できるはずです。

先ほどご紹介した深沢氏も日本人は「いつ?」に対して数字で答える習慣がない、と嘆いています。どんな問いに対しても数字で答える習慣をつけてみてください。

2. 数字に強くなるためには「すぐ調べない」習慣をつける

仕事をしていると、細かなデータを知りたくなる局面が出てくるはずです。新規事業の市場規模や、競合他社の売上、利益など。小売業界であれば、一店舗あたりの売上を調査する必要が出てきます。

そんな時、「すぐには調べない」習慣をつけてください。まず一度、自分の知る範囲の情報を用いて、算出できないか考えてみましょう。もちろんこの情報化社会、情報が出てこないなんてことはありえません。だからこそ、一度自分の頭で考える癖をつけてみてほしいのです。

「自分の知る範囲の情報を用いて、数値の概算を行うこと」

この手法はフェルミ推定と呼ばれ、近年では就職・転職の際の面接に用いられることでも有名です。以前Study Hackerでも、フェルミ推定について詳しく取り上げたことがあります。こちらの記事「「シカゴにピアノ調律師は何人いるか?」脳をブーストさせるフェルミ推定。」も参照してください。

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数字で考え、数字を扱う習慣をつけること。今回は数字に強いビジネスパーソンになるための方法をご紹介しました。

数字に強いという評判があるだけで、回ってくる仕事の量や期待度も変わってくるはず。周囲の仲間に一歩リードをつけましょう。

(参考)
ダイヤモンド社書籍オンライン|「数字に強い」って、要するにどういうことなの?
ダイヤモンド社書籍オンライン|数字に強くなる「究極の裏ワザ」
東洋経済オンライン|スキルを学ぶ前に、論理的に考える力を磨け 佐藤優氏が説く、ビジネスパーソンの成長に不可欠な視点
CONCERTO|「なぜ、できるビジネスパーソンは数字に強いのか!」~その2~