決断力がない……。

そうお困りの方はいませんか? 仕事をする上で、決断力は欠かせません。目の前のタスクをどの順番でこなすかといった個人レベルのことから、日々の会議における決定事項、さらには社運を決める交渉に至るまで、ビジネスの現場は「決断」で溢れています。

しかし、特に若手のビジネスパーソンにとって、決断力を身に着けるのは簡単ではありません。様々なビジネスシーンでたくさんの決断経験を積み上げてきた人であれば、すでに鋭い決断力が備わっているかもしれません。ですが、上司に頼らず自分で仕事をしなければならない場面が増えてきた若手や、最近になってリーダーの立場に就いたような経験の浅い人にとって、急に決断力を得ることは難しいことだと思います。

今回は、そんなみなさんのために、いつでもどこでもできる決断力の鍛え方をご紹介します。元外資系戦略コンサルタントが薦める、サバイバルゲームでの思考法です。極限の状況をシミュレーションするうちに、みなさんの決断力も研ぎ澄まされることでしょう。

極寒の地に墜落。そのときあなたは何をする?

「雪原に飛行機が墜落、目的地は40km先だが、気温は0℃近く風も強い。救助は遅いと2週間以降先になりそうだ。さて、この状況で生き残るためには、以下に紹介する14品目のうち、どのアイテムを飛行機から取り出せばよいか。優先順位をつけなさい。」
(参考:三谷宏治OFFICIAL WEBSITE|決める力 サバイバル

このケースワークを自身のウェブサイトで公開するのは、三谷宏治氏です。彼は、東大理学部を卒業後、戦略コンサルタントとして20年のキャリアを経験し、現在は全国で「生きる力・決める力・発想力」を軸にして教育活動を展開しています。

詳しい説明と14品目のアイテム解説(縄やマッチ、はちみつ、テントなどがある)は、上記の三谷氏のサイトに譲るとしますが、今回、決断力を磨くための思考トレーニングとしてこのゲームに注目するのは、「ダイジなことから考えて、決める」という考え方の流れを知ることができるからです。

雪原で生き残るためには、アイテムを取り出さねばなりません。グズグズしていれば、墜落した飛行機が爆発したり、沈んだりするかもしれません。このゲームに真剣に取り組むことで、生き残るのに最も重要なファクターは何で、どんな行動から始めればいいのか、優先順位をつけて素早く行動することの重要性が理解できます。

このサバイバルゲームを現実世界に落とし込んで考えてみると、どうでしょう。大抵、ビジネスにおける課題には締め切りが存在します。製品の納期や交渉期限など、大量の情報を素早く処理し、優先順位を決め、最終的な決断をくだすことが求められるはず。極寒の雪原に墜落し、サバイバルする……と一見お遊びにも見えるこのゲームには、ビジネスに必要な決断力をつけるためのエッセンスが詰まっているのです。

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救助を待つか? 目的地へ向かうか?

さきほどの課題文をもとに、取り出すべきアイテムの優先順位をつけてみてください。自分なりの回答は出せましたか? アイテムをどんな風に使うか、周囲は寒いのか、どうやったら生きのびれるのか、色々と考えることがあったのではないでしょうか。

では、このゲームから学べることを詳しく見ていきましょう。

三谷さんはこのゲームを通じて、「大事なコト」をまず決断せよ、というメッセージを残しています。このゲームにおいて「大事なコト」は、もちろん生き残ることです。

そして「生き残る」という目的に対して、どうやったらその目的を達成できるか、大戦略を決めるのだといいます。雪原においては、戦略はたったの2つ。「目的地へ向かうか、救助を待つか」そのどちらかでしょう。

このようにして、大事なコトと大戦略を決めないことには、飛行機から取り出す道具も決まりません。それなのに、そもそもこのゲームの目的が何かや、そのための戦略が何かを考える前に、道具の用途や生存方法について議論を始めてしまった方はいませんか?

例えば、道具の一つに「コンパス」があります。方角を知るのに不可欠な道具ですね。戦略を「目的地へ向かう」に設定し、雪原の中を移動するなら、コンパスは必須です。しかし、戦略を「救助を待つ」に設定し、留まって救助を待ち続けるならば全く必要ありません。

皆さんは、どのように考えましたか? ひょっとして、「周りに木は生えているか?」とか「星が見えれば、コンパスは要らないのでは?」なんていう、細かな話を考えてしまった人も、多いのではないでしょうか。

こうした詳細は、三谷氏の言葉を借りれば「ツール・方策」にすぎません。現状で何が一番「大事なコト」かわからない中、細かいことを考えていても、無意味。「木を見て森を見ず」とはまさにこのことですね。

こうした失敗は、ビジネスの世界でも容易に起こり得ます。

四半期の成績をあげるために従業員に過酷な残業を強い、結局大量の退職者を出してしまう。
納期厳守を意識するあまり、不良品のチェックを怠ってしまう。

本当に大事なことや目的は何で、どんな戦略を立てればいいのか。まずそこから考えるべきだと、このサバイバルゲームは教えてくれるのです。

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大事なコトから、合意をとって進めよう。

さて、このゲームを通じて、みなさんがなぜ普段「決断を下せないのか」がお判りいただけたのではないでしょうか。

サバイバルゲームからわかる通り、決断力不足の原因は以下の2点に集約されるはず。

・優先順位をつけていない。
・「大事なコト」が何かを把握できていない。

何かを決める時、もしくは「決められない」と悩んでいる時。どこから手をつけていいかすら、迷ってはいませんか? 「木を見て森を見ず」の状態になってはいませんか? 少なくとも、着手点、スタート地点は定める必要があります。目的を見据えなければ、細部にばかり目が行って、見当違いな方策を取ってしまいかねないのです。

***

素早く決断を下し、実行に移さねばならないのは、何もサバイバルシーンだけではありません。

今回ご紹介した二つのポイントをしっかり自分のものにして、決断力を高めていってください。

(参考)
三谷宏治OFFICIAL WEBSITE|決める力 サバイバル
早稲田大学マニフェスト研究所|組織の目的共有と職員の当事者意識を育てることについて
三谷宏治OFFICIAL WEBSITE|三谷3研ブログ「サバイバル」はなぜ2回やるのか。1回じゃ、ダメなんです。