「過去問分析って具体的に何をするの?」 資格Hacker 鈴木秀明のシカクロード for StudyHacker【第9回】

なにはなくともまずは過去問! とはいうものの……

「試験対策はまず過去問分析から!」というけれど、具体的には何をどう分析したらいいのでしょうか。「過去問のどこをどうチェックすべきか?」「どのようなポイントに注意して出題傾向を把握し、試験対策の戦略を練っていけばよいのか?」について今回は述べてみたいと思います。

まずそもそも資格試験というのは大きく「筆記試験」「口述試験(面接試験)」「実技試験」などの形式に分けられ、筆記試験についてさらに分類すると「択一式・選択式」「記述式」「論述式」などにタイプ分けできます(最近ではコンピュータを使って解答するというタイプの試験も増えてきていますが、これはとりあえず「筆記試験」の派生物として分類しておきます)。

当然ながら、試験の形式によって、試験攻略に必要な試験対策のやり方は大きく変わってきますが、今回のコラムではその中でも、「択一式・選択式」の筆記試験を基本的には想定した内容で、効率的な試験攻略のための過去問分析ポイントについて述べます。資格試験・検定試験の多くはこのタイプに該当しますし、記述式や論述式などは試験によって対策方法が大きく変わってきますので。

【1】合格基準

これは過去問というよりは試験の仕様・合格条件の分析といったほうが正しいかもしれませんが、絶対に外せない項目です。簡単にいうと「何をどうやったら受かるのか?」をしっかり把握しておくということですが、これがわかっていないと戦略も何も立てられません。

具体的には、「100点満点中何点とればいいのか?」「科目ごとに足切り点(最低限取らないといけない得点)が設定されていたりしないか?」「相対評価か絶対評価か?」というような点がポイントです。

科目ごとに足切り点が設定されている場合はすべての科目をある程度まんべんなく勉強する必要が出てきますが、そうでない場合は、苦手な科目は思い切って捨てて、得意な分野で点を稼ぐという戦略も考えられます。

また、相対評価(受験者の上位〇%が合格)の試験の場合は他の受験者より1点でも多く取ることをできる限り追求していくことが重要ですが、絶対評価(〇点取れば合格)の試験であれば、とりあえずはそのラインを超えることを念頭に試験対策を行っていくことになります。

【2】試験内容・試験範囲

試験対策の初期段階ではあまり細かくは見なくてもよいので、過去問全体をざっと流し読みして「どういう内容が問われるか」「どういう科目があるか」「どの程度の知識が必要そうか」をざっくりと把握しておきましょう。

「どの程度の範囲のこと(広さ)について、どの程度の知識レベル(深さ)が必要そうか」を、なんとなくでよいので認識しておくことからまずは始めましょう。

【3】過去問からの出題傾向

何回分かの過去問をざっと見て、「過去に出題されたのと同じ問題が繰り返し出題される傾向はないか」「過去とまったく同じとまではいかないが類問といえる問題の出題はあるか」「そういった問題が全体に占める割合はどの程度か」を把握します。最低でも5回分、できれば10回分はチェックしておきたいところです。

極端なケースでは、本当に過去問と同じ問題しか出ないという試験も実際あります(国家試験でも普通にあります)。そういう試験では、過去問と答えを丸暗記してさえおけばそれだけで受かります。

そのまんま流用とまではいかなくても、けっこう過去問と似たような問題が繰り返し出ているという傾向がみられるようであれば、とにかく過去問を繰り返し解いて覚えましょう。へたにいろんな参考書などに手を広げすぎると、逆に非効率になってしまいます。

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【4】公式テキストからの出題傾向

【3】と近い内容ですが、「公式テキスト」的なものが設定されている試験では、そこからの出題がどの程度あるか。

公式テキストからほぼ100%出題されるという試験であれば、へたに手を広げずに公式テキストだけをみっちり読み込むのがよいですが、そうでない場合は適宜関連書や専門書を追加で読み込む必要が出てくるかもしれません。

【5】数字や固有名詞など細かい暗記事項の出題傾向

数字・年号・固有名詞など細かい暗記事項を答えさせる問題は、いくら時間をかけて考えたところで知らなければ正答できないので、しっかり暗記をしておく必要があります。

このような「細かい数字や用語の暗記」が必要そうな問題が多く出題される場合は「テキストの細かいところまで読み込む」という勉強が必要になってきますが、そうでなければテキストのざっくりした内容や流れだけつかむという勉強でじゅうぶんです。

【6】問題数と試験時間のバランス

問題の量や内容と比較して試験時間が短い、というような特徴はないか。

具体的にはたとえばTOEICは、英文を読むことにある程度慣れていないと時間内に全問解き切ることすら難しい試験です。また、会計分野・技術分野など計算問題が出るタイプの試験は「時間との戦い」にもなりますので、こうした試験では解答のスピードアップのための訓練などの対策が必要になってきます。

*** 以上のようなポイントを明確に意識することで、「どうすればより得点に結びつく勉強ができるか」を戦略的に考えることができ、試験勉強を大幅に効率化するためのポイントが見つかるはずです。よくいわれる「彼を知り己を知れば百戦危うからず」というのはまさにこういうことです。

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鈴木秀明

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