ストレスに負けない人間は「首尾一貫感覚」を持つ。自分を壊さないための “戦略的な” 思考法

ストレスは、適度であれば仕事や勉強によい効果をもたらしますが、長く続けば意欲を低下させ、心身の不調にもつながります。とはいえ、適度なストレスだけに接して生きていくのは不可能ですよね。そこで、必要となるのが「首尾一貫感覚」。これを鍛えれば、ストレスに強くなれるはずですよ!

「首尾一貫感覚(SOC)」とは?

首尾一貫感覚(SOC/Sense of coherence)」とは、アメリカの医療社会学者、A・アントノフスキーが、第2次世界大戦中にアウシュビッツなどの強制収容所で過ごしたユダヤ人にインタビューを行い、調査した研究から生まれた概念です。

理不尽かつ過酷な環境で同じように過ごしていたにもかかわらず、ストレスに負けて健康を害した人もいれば、ストレスに打ち勝ち生還したうえ、その後も長く健康を維持できた人もいたとのこと。A・アントノフスキー博士はこの研究により、ストレスに負けない人の共通点を見出しました。それが「首尾一貫感覚(SOC)」です。

なぜストレスが続くと健康を害するのか

ストレスとは、私たちの体に、寒さ・暑さ・騒音・痛み・ウィルス・病気・睡眠不足や、環境の変化、不安や悩みなどの精神的苦痛といった「刺激」や「圧力」が加わったときに生じる緊張状態のこと。外部からの刺激を「ストレッサー」といい、ストレッサーに適応しようと生じる“さまざまな反応”を「ストレス反応」と言います。

心理面でのストレス反応には、意欲の低下や、イライラ、不安、気分の落ち込みなど、身体面でのストレス反応には、節々の痛みや頭痛、肩こり、動悸や息切れ、胃痛や便秘、不眠など、行動面でのストレス反応には、飲酒量や喫煙量の増加、仕事でのミス、注意散漫になって事故にあう・起こすなどがあります。

なぜこうなるかというと、ストレスを受けると副腎からストレスホルモンと呼ばれるコルチゾール、アドレナリンなどが血液中に分泌され、心拍数や血圧が上昇し、血糖値が高まり、体が活動的になるから。そして、その一方で胃腸の働きが悪くなり、免疫細胞の働きが低下してしまうからです。

つまり、ストレスに対処するため、一時的に体は活動力を限界まで高めますが、その際に消化器系の働きや、免疫力などが犠牲になるということなのです。ストレス反応同士の影響もあるでしょう。

テストやプレゼンテーションなどの前であれば、ストレスは一時的なものであり、それによって集中力やモチベーションも高まります。しかし、その状態が延々と続くと体は疲弊してしまいます。

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ストレスに勝つとはどういうことか

では逆に、「ストレスに勝つ」とは、どういうことでしょう。

この世にストレスはつきもの。どんな場所でも、いつになっても、必ずストレッサーはあなたに圧力や刺激を与えてきます。しかし、そんなとき、そのストレスを把握できたとしたら、いかがでしょう?

例えば、「なぜこんなに胃腸が痛むのか」分からないときは「不安」も大きくなって、ますます痛みを強く感じてしまいます。しかし、病院に行き、病名や治療法を知らされたとき、まだ治療は何もしていないのに、心に感じていたストレスが軽減し、痛みまで和らいでくることがあります。その理由は、ストレスを把握し、見通しがつき、「なんとかなる」と感じられたから。

つまり、「ストレスに勝つ」ということは、ストレスを丸ごと理解し、ストレス反応をコントロールしてしまうということ。そのためには、「首尾一貫感覚」を意識することが必要なのです。

3つの感覚からなる「首尾一貫感覚(SOC)」

首尾一貫感覚は、以下3つの感覚(思考)で構成されています。まずこれらを理解し、日々実践していくことで、この感覚は鍛えられます。

1.把握可能感――困難な状況に置かれている自分の状況を、順序よく整理して理解し、受け止め、今後の状況をある程度予測できる感覚。

2.処理可能感――目の前の困難な課題に対し、なんとか対応できる、なんとかなるはず、と思える楽観的な感覚。

3.有意味感――どんな困難に対しても、なんらかの意味を見出せる感覚。

「首尾一貫感覚(SOC)」の考え方

ここで具体的に、「首尾一貫感覚」を意識した場合、つらく困難な状況に接したら、どう考えるべきなのか説明します。たとえば、「繁忙期を迎え、ただでさえ肉体的にも精神的にもきついのに、職場で厳しい言葉を投げかけられる」という状況だとしたら……。

1.【把握可能感】は、「俯瞰して段取りを考える!」

・肉体的にきついのは休めず仕事量が多いから。精神的にきついのは周囲の言葉がきついから。しかし、繁忙期で忙しく、みな苛立っているから当然のこと。それに、この忙しさはあと1ヵ月で終わる。それまでは頑張るしかない。そのあと、しっかり休暇をとるか、この職場について見極めたらいい。

2.【処理可能感】は、「楽天的に考える!」

・厳しいことをいわれても、この職場だけが自分の人生すべてじゃない。誰にでも失敗はある。頑張って失敗しても、それで人生が終わりじゃない。難しければ「難しい」といえばいい。無理なら誰かに手伝ってもらおう。それなら対応できる。きっとなんとかなるはず。

3.【有意味感】は、「チャンスと捉える思考!」

・大変だけど、いまこそ上司や先輩、同僚の信頼を勝ちとるチャンス。この試練が自分に与えられたのは、自分がそれに耐えうる人間だから。自分はこの状況を無駄にしない。いまこそやってやる。よーし、やるぞ!

「やーめた!」といってみるのもいい

なお、筆者がストレスを感じ、この「首尾一貫感覚(SOC)」を意識して考えるとき、まず一番先に悩みを手放してしまいます。その方法は、とっても簡単。

「やーめた!」と、言葉に出すだけです。

不思議なことに、囚われていたような、窮屈だったような感覚が、サッと消えますよ。ぜひお試しを!

*** ストレスは、ときに深刻な症状を起こす場合があります。あまりにも心や体が苦しかったら、「強くなろう」と躍起にならず、ストレスの根源からいったん離れてみたり、専門家に相談してみたりしてくださいね。

(参考) NIKKEI STYLE|医師が明かすストレス対策 心を病まないための習慣 SBアットワーク株式会社|ウェルネスセンターコラム|志と情熱を持ち、輝き続けるためのSOC こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト|1 ストレスとは:ストレス軽減ノウハウ ティーペック健康ニュース|「知っておきたいストレス発生のメカニズム」 東洋経済オンライン|あなたを殺してしまうキラーストレスの恐怖

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