勉強や運動、読書など、何かしら有意義なことを習慣化したいと考えるビジネスパーソンは少なくありません。しかし、「まとまった時間を作れないから難しい」と諦めることも多いはず。習慣化が苦手という場合もあるでしょう。

でも、どんなに忙しくても、どんなに習慣化が苦手でも、良い習慣を身につけられるコツがあれば実践してみたいですよね。 それならば、習慣化がスムーズになる「記録」のコツをご紹介しましょう。

なぜ「習慣化」は難しいのか

新しい習慣を身につけるのは、なぜ難しいのでしょう。その原因は、安定を保とうとする脳の性質にありました。

人が何か新しい習慣を身につけようとするとき、脳はその「新習慣」を「危険な存在」だと察知してしまいます。なぜならば、“いつもと変わらない安定した状態”を脅かすものだから。そのため、脳は新しい習慣を拒もうと必死に抵抗するのです。この脳の性質は、「ホメオスタシス(生体恒常性)」というもの。

もちろん、ホメオスタシスは、わたしたちのカラダを環境に適応させ、安定させるために備わった機能なので、悪者ではありません。しかし、良い習慣を身につけるにあたっては、かなり手ごわい抵抗力なのです。

したがって、意外にも三日坊主は人間にもとから備わっている性質。私たちの司令塔、「脳」が良い習慣を身につけようとする行動を邪魔してくるなんて、困ったものですね。

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習慣化はこだわらずシンプルに

新しい習慣を排斥しようとする脳ですが、無理のないシンプルな新習慣をトライし、なおかつ“完璧”を求めなければ、習慣化できる可能性がグンと高まります。仕事の教科書編集部の『人生が変わる!一流の習慣』では、習慣化のための3大原則として

・「新しい習慣はひとつに絞る」
・「行動ルールをシンプルにする」
・「結果にこだわりすぎない」

という3つを挙げています。絞り込まずにあれこれ欲張ると、どれも中途半端になってしまう確率が高くなります。それに、その行動が続かない理由は、自分にとって重要な習慣ではないからかもしれません。そのためにも、自分が本当に必要だと思えることに絞るべきなのです。行動ルールを複雑にするのも、無理するのもNG。それだけで脳が疲れてしまい長続きしません。

また、目標を100%達成できなかったからといって自分を追い込むよりも、「80%できたから上出来!」と考え、「また頑張ろう」とコツコツ続けるほうが継続しやすくなります。

そして習慣化には、「記録」することも非常に重要なのです。

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習慣化には「記録」が効果的

習慣化コンサルタントの古川武士氏は、習慣化について数多くの本を執筆し、セミナーや研修を行って「続けるための原則とコツ」を多くの方に伝えています。しかし、それで習慣化に成功し、人生を変えた方がたくさんいる一方で、成功に至らなかったケースもあったそうです。

そこで古川氏が調べたところ、“「記録」しているか、いないか”という違いがあると分かったそう。同氏いわく記録するメリットは、

1.目標が明確になる→→→最初の一歩を踏み出しやすくなる
2.続けていることを確認できる→→→やる気が出てくる
3.挫折の原因を分析・改善できる→→→挫折しにくくなる

とのこと。それに、無意識のうちに過ごしていた無駄な時間を可視化することもできますよね。

メンタルコーチの大平信孝氏も、著書『1日1分でダメな自分を変える!習慣化イノベーション「続けられない自分」を変える本』のなかで、同氏が開発した「習慣化シート」に取り入れたい習慣を書き込み、それによって“未来の自分はこうなる”と妄想し、さらにそれも記録するよう提唱しています。そうすることでモチベーションを維持できるからです。

習慣に磨きをかけることに多くの時間を費やしてきたというデジタル・マーケターのウィル・ラッセル氏も、何かを成し遂げるために必要なことは「書き出すこと」と結論に達したといいます。

このように、習慣化には「記録」して可視化することが効果絶大なのです

習慣化のための、記録のコツ

多くの識者が習慣化には「記録」が効果的だと述べ、さまざまな記録のコツを伝えています。そこで、それらを参考にしながら、より実践しやすいよう簡単にした記録のコツを紹介します。

用意するものは、ものすごくシンプルなスケジュール帳、あるいは卓上カレンダーでも構いません。そこに「目標」「習慣化したい行動」「それを取り入れるタイミング」を表紙や固定された場所などに目立たせて書くか、何かに書いて貼りましょう。ただし、それを習慣化できている自分を想像(もちろん妄想でもOK)できるものにしてください。例えばこうです。

◆月に1冊も本を読まないAさん◆

目標:「必ず月1冊だけ本を読む」
習慣:「読書習慣」
タイミング:「寝る直前(何分でもいい)」

◆まったく運動をしないBさん◆

目標:「ヒップアップ」
習慣:「毎日10回スクワット」
タイミング:「トイレ休憩」

そして、それを日々達成する度にケジュール帳、あるいは卓上カレンダーに、Aさんならば読書した時間でも、ただ読んだという記で「本」「読」といった1文字でもいいので、毎日記録していきます。Bさんならばスクワットを行った回数の「10」という文字でも、頭の文字をとって「ス」でも構いません。

これを行うことにより、自分が良い習慣を蓄積したことが一目で分かり、なおさら時間や回数を記入しておけば、あとで累積して実感度を高めることもできます。また、記録されなかった日、いわゆる行動を途切れさせてしまった日付も日数も可視化できるので、原因を探りやすくなります。

1つ習慣化できたら、もう1つと、少しずつ増やし、モチベーションが高まれば、今度は時間軸がついたスケジュール帳に記録してもいいでしょう。ただし、無理せずスモールステップを心がけてください。なお、手書きのほうが実感しやすいので、断然手書きをオススメします。

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吉澤ゆか氏の著書『仕事に使える 感情コントロールの技術』によると、ニューヨーク病院の形成外科マクスウェル・マルツ氏や、NLP(神経言語プログラミング)の創始者、ジョン・グリンダー博士とリチャード・バンドラー博士らの研究、医学的根拠などから、21日間続ければ新しいことが習慣化するといわれているそうです。まずは21日間、チャレンジしてみてくださいね!

(参考)
仕事の教科書編集部編集(2016),『人生が変わる!一流の習慣 (仕事の教科書mini) 』,学研プラス.
古川武士著(2010),『「続ける」習慣』,日本実業出版社.
古川武士著(2016),『30日で新しい自分を手に入れる 「習慣化」ワークブック』,ディスカヴァー・トゥエンティワン.
大平信孝著(2015),『1日1分でダメな自分を変える!習慣化イノベーション「続けられない自分」を変える本』,フォレスト出版.
吉澤ゆか著(2013),『仕事に使える 感情コントロールの技術』,CCCメディアハウス.
BUSINESS INSIDER JAPAN|習慣を定着させたいなら、目標を書き出そう ―― あなどれない可視化の効用